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これからは、転職経験のない人が確実に損をする時代 ~大企業エリートの末路~

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これからは、転職経験のない人が確実に損をする時代 ~大企業エリートの末路~ 【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

「転職回数が多いと不利」という常識は、もはや過去のものです。現代のビジネス環境では、むしろ、転職経験ゼロの人が確実に損をする時代が到来しています。
特に、大企業で一見「エリートコース」のようなキャリアを歩んできた人にこそ、そのリスクは顕著です。

――

新卒で日系大手メーカーに入社後、4回の転職を経て外資系大手IT企業では部長も経験され転職デビルこと安斎響市さんに、「 ある程度若いうちに一度は転職を経験しておくことの大切さ 」について伺いました。

転職経験がないことのリスク

一昔前までは、「定年まで一社で勤め上げるのが一番良い」「転職しないならそれに越したことはない」というのが多くの人にとっての定説でした。
しかし、「大転職時代」と呼ばれるようになった現代においては、やや様相が異なります。

逆に、転職経験ゼロだと人材としての評価が下がったり、貴重なチャンスを失ったりすることも十分あり得る状況になってきているのです。
ここからは、 なぜ転職経験がないと損をしてしまうのか、新卒入社から長期間ずっと1社で勤務する大企業社員に共通する課題は何か 、という視点で具体的な例を挙げていきます。

ケース1: スキルの停滞

日系の老舗大手企業においては、新卒入社から長年同じ会社で働く人が圧倒的多数派でしょう。年功序列の文化が根強く残っている場合が多く、ビジネスパーソンとして年齢に見合う成長ができていない人が散見されます。
昇進や昇給は必ずしも能力や実績に基づいて行われるわけではなく、年次や在籍年数が重視されるため、転職市場における「市場価値」が上がらないまま、役職や年収だけ手に入れてしまう人が実際に多くいます。

誰もが知っている有名ブランド企業で働いて、世間的にはエリート扱いされている人の中にも、会社にぶら下がって自らのスキルアップに積極的に取り組まなかった結果、40代になってもビジネススキルが低いままの人が大勢います。悲しい話ですが、それが現実です。

例えば、ある大手企業の部長職に就いていたAさんのケースを見てみましょう。彼は一見すると立派な経歴を持っており、キャリアアップを目指した転職活動では「社内表彰2位」「通期予算達成」といった実績を強調しました。しかし、これらの実績はすべて社内での評価基準に基づくものであり、外部の面接官にとってはその価値を理解するのが難しいものでした。
さらに、その話を詳しく深掘りされると、 その実績はほとんどが会社の看板のおかげで得たものであり、自分自身のスキルやリーダーシップが発揮されたものではなかった ことが明らかになりました。

大手有名企業で立派な仕事をしている人こそ、会社のブランド抜きの個人になると弱いという典型的な例です。

ケース2. 業界知識の偏り

一つの企業に長く勤めることで、その企業特有の業務プロセスや文化には精通しますが、 他の業界や企業で通用する汎用的なスキルや知識が欠ける ことが多いです。
特に大企業の場合、担当するプロジェクトが大規模で知名度のあるものであっても、それは単に組織の決定に従ってルール通りに行動しただけで、自分自身が企画立案したものでないことがしばしばです。

大手IT企業に勤めるBさんは、大規模なシステム導入プロジェクトに関わっていましたが、転職活動での面接で「なぜその案を採用するに至ったのか」「どのような分析と考察をしたのか」など厳しい質問が浴びせられると、「それは役員の指示で…」「私には権限はなかったので…」という歯切れの悪い言葉が繰り返され、自分が具体的にどのようにプロジェクトをリードし、成果を上げたのかをまったく説明できませんでした。

結果として、面接官からは「自己主導で成果を上げる能力がない」「ただ報告資料を作って上層部の指示を仰いでいただけで、ロジカルな考察力には欠ける」と判断されてしまいました。

これからの時代のキャリア戦略

現代のビジネス環境では、誰もが知る大手有名企業で働いた経験さえあれば高く評価されるというわけではありません。様々な異なる環境での業務を通じて経験を積み、スキルを向上させることが求められます。

転職を経験することで新しい環境に飛び込み、異なる業界や企業文化に触れることで、汎用性の高いスキルを身につけることができることもあるでしょう。
転職回数が多い人は中途採用では敬遠されると思われがちですが、最近では、必ずしもそうとは限りません。ある意味で、 過去の転職経験が豊富なことは、柔軟性や適応力が高く、環境が変わっても安定して成果を出せる人材である証明 とも言えます。

もうとっくに「大企業勤務なら安泰」という時代ではない

経営が安定した大企業で働いていたとしても、いつリストラの波が来るかは分かりません。ここ数年だけでも、数々の大手有名企業で数千人規模のリストラが続いています。
その中には、ほんの少し前まで業績好調で、まさかこんなに大規模なリストラをするなんて予想できなかったような、意外な企業も含まれています。

経営基盤が安定しているからこそ、会社の将来を守るための選択肢の一つが「社員のリストラ」になり得るのです。あくまで安定しているのは「企業」であって、そこで働く「社員の雇用」ではありません。
業界シェアの高い大企業だからきっと大丈夫だろう、歴史と知名度のある会社だからウチはきっと問題ない、と安易に考えていると、数年後には地獄を見る可能性があります。

だからこそ、会社の看板に頼ったり、年功序列で得たポジションに甘えたりすることなく、自分自身が強いキャリアを構築していく必要があるのです 。

長期的キャリアにおける転職活動の位置づけ

定期的に自分のキャリアを見直し、市場価値を確認することは、やはり大切です。
最低でも年に一回程度は職務経歴書を更新しましょう。直近の業務について社外にアピールしようと思ったとき、どのような説明ができそうか考えておく必要があります 。

また、仮に直近での転職願望がなかったとしても、転職エージェントとの継続的なつながりを持っておくと良いでしょう。企業との面談などの機会を得ることで、自身のスキルや経験が現在の市場でどのように評価されるのかを知ることができます。

35歳を過ぎて転職活動の経験がまったくないのは、現代のビジネス環境においては大きなリスクです 。
新卒の就職活動以来ずっと、自分自身を人材市場に売りに出してこなかったのですから、「営業マン」としてはすっかり錆びついていると言って良いでしょう。そのような人物が、20年ぶりにあわてて商談の場に出たとしても到底勝ち目はありません。
特に大企業での閉鎖的な環境でのキャリアが長い場合、そのリスクはさらに増大します。

転職未経験のビジネスパーソンは、今こそ勇気を出してその一歩を踏み出し、未来のキャリアに向けて準備を始めるべきです。

プロフィール

安斎響市@転職デビル

1987年生まれ。日系大手メーカー海外営業部、外資系大手IT企業の事業企画部長などを経て、2023年に独立。「転職とキャリア」をテーマに、X(旧Twitter)、note、書籍などで情報発信を続けている。Xフォロワー4.4万人。転職活動の実践ノウハウを語る週刊連載noteマガジンの有料会員は、累計7000名を突破。

代表著書 『私にも転職って、できますか? 〜はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話〜(ソーテック社)』
『転職の最終兵器 未来を変える転職のための21のヒント(かんき出版)』
『すごい面接の技術 転職活動で「選ばれる人」になる唯一の方法(ソーテック社)』
『正しいキャリアの選び方 会社に縛られず「生き残る人材」になる100のルール(ソーテック社)』 X(旧Twitter) 安斎響市@転職デビル ブログ note(安斎響市@転職デビル)
転職デビルは夜しか眠れない。

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