ヴァレッタ(マルタ共和国)を訪ねて~作家・秋山秀一「旅の記憶(36)」
訪れた国や地域90以上、海外への旅は227回。旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。
秋山秀一さん
旅行作家、元東京成徳大学教授、NHK文化センター講師。日本エッセイスト・クラブ常務理事、日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。『鎌ケ谷 まち歩きの楽しみ』『世界観光事情 まち歩きの楽しみ』『ウクライナとモルドバ』『旅にでる、エッセイを書く』など著書多数。鎌ケ谷市在住。鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)会長、鎌ケ谷市都市計画審議会会長。
聖ヨハネ騎士団が築いた城塞都市を歩く
地中海の中央、イタリア・シチリア島の南約90㎞に位置する島国、マルタ共和国。
首都ヴァレッタは、地中海の要衝マルタ島にある周囲を堡塁で囲まれた、聖ヨハネ騎士団がオスマン帝国の襲撃に備えて16世紀に建設した城塞都市である。
リパブリック通りが、メインストリート。
この通りに面して建つ国会議事堂と劇場との間の道を右折。
道なりに左へ進み、右折。広場に面した建物が、首相官邸である。
この建物は1574年にスペイン・ポルトガル出身の騎士団の宿泊所として建設され、18世紀、ピント騎士団長の時代に正面が改装されたもので、入口上部に、騎士団長の胸像がある。
その先のアッパー・バラッカ・ガーデンは、市民にとっての、憩いの場所。
展望台の下に広がる、グランド・ハーバー、行き交う船、対岸に広がるスリー・シティーズを一望することができる。
展望台の北東の角に立つと、聖エルモ砦へと続く堡塁が眺められる。
教会や宮殿…ヨーロッパ近世の建造物
聖ヨハネ大聖堂は、16世紀に建設された、マルタ騎士団の守護聖人ヨハネに捧げられた教会。
建物の正面に向かって右手に、文字盤が3つ。
中央の文字盤が時間を表し、右下が曜日、左下が日付を表している。
パレス広場に面して建つ大きな建物が、1547年に完成した騎士団長の宮殿。
現在は、大統領府と議会が置かれている。
色大理石の床、脇に並ぶ甲冑。兵器庫通路を歩き、部屋に飾られたタペストリーの数々を観た。
(文・写真/秋山秀一)