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銀座駅のおすすめ待ち合わせ場所12スポット~酷暑や極寒の時季でも安心! 地下鉄の強みを生かしてスマートに集合~

さんたつ

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「待ち合わせ」、それは情緒あふれる響きである。ところがスマホが浸透した現在、ひとは特に「待ち合わせ」をしなくても、なんとなく会えるようになってしまった。それでも駅に行けば、今日も多くの人たちが、誰かを待っている。皆はなぜ駅で待ち合わせるのだろう、そして駅のどこを目印にすれば相手に会えるのだろう。複数の地下鉄路線が乗り入れている商業の中心地、オシャレなイメージの強い銀座駅で、おすすめ待ち合わせスポットを探っていきたい。

買い物客などでにぎわう銀座駅周辺

銀座という街にどのようなイメージを持っているだろうか。オシャレ、あふれる高級感、楽しいショッピング……といった言葉が次々と浮かんでくる。街行く人たちも心なしかセンスが良さそうに見える。そんな銀座で待ち合わせをする場合、どこを目印にしたらいいだろう。

これまで当コラムで取り上げてきた渋谷駅、新宿駅、池袋駅、品川駅は、いずれもJRや私鉄など、複数の鉄道会社の路線が乗り入れるターミナル駅であった。一方銀座駅は、銀座線・丸ノ内線・日比谷線と、いずれも東京メトロの路線である(徒歩圏内にJR有楽町駅や東京メトロ・都営地下鉄の日比谷駅、東銀座駅などもあるが、今回は「銀座駅」のみに限ろう)。とはいえ利用者はとても多く、東京メトロ各駅の1日乗降客数では、池袋・大手町・北千住に次いで4位(約23万人)である(※1)。その多くは買い物などで銀座を訪れていると思われ、商業の中心地であることがうかがえる。

マーキュリー像

さて、銀座駅の改札内に良い待ち合わせ場所はないかと探していると、印象的なブロンズ像が目に入った。説明書きによると「マーキュリー像」と題されたこの像は、彫刻家・笠置季男氏の作であり、「昭和26年、銀座駅などの出入口に設置され地下鉄のシンボルとなった」とのことである。

マーキュリーはローマ神話の商業の神で、この像は銀座駅の他にも大手町駅や上野駅、日本橋駅などにも設置されている。

現在は改札口に設置されているこのマーキュリー像、待ち合わせに最適かと思いきや、銀座駅だけでも銀座四丁目交差点改札(2体)、数寄屋橋交差点改札、中央改札の4体が設置されており、どの改札のものかも伝えたほうがよいかもしれない。

銀座三越(ライオン)/和光/GINZA PLACE【銀座四丁目交差点】

A1~A10あたりの出口を通って地上に出てみよう。そうすると、銀座を象徴する場所である銀座四丁目交差点に出る。4つの角にそれぞれ『銀座三越』、『SEIKO HOUSE GINZA』(和光)、『GINZA PLACE』(銀座プレイス)といった印象的な建物があり、待ち合わせ場所としても最適だ(もう1つの角にあったインパクトのある円筒状のビル・「三愛ドリームセンター」は、2025年7月現在建て替えのため工事中である)。

昭和5年(1930)に開店した歴史ある『銀座三越』。2020年のリニューアル時に設置された巨大なシャンデリアレリーフは、夜になると光る。
時計塔が特徴的な『SEIKO HOUSE GINZA』(和光)のビル。昭和7年(1932)に竣工した現在の建物は、経済産業省により「近代化産業遺産」に認定されている(WAKOホームぺージより)。
網目状の外壁が特徴的な複合施設『銀座プレイス』。1階には日産のショールームがあり、車好きの人におすすめの待ち合わせ場所である。

特に『三越』入り口のライオン、和光のショーウインドーは有名でわかりやすい。

『三越』を象徴する入り口のライオン像。最近では外国人観光客もよく待ち合わせ場所として利用している。
季節感あふれる『和光』のウインドーディスプレイ。筆者もデッサン学校に通っている時、先生から「センスを身につけたいなら和光のディスプレイを見なさい」とよく言われた。

天賞堂のキューピッド/数寄屋橋交番/数寄屋橋公園(若い時計台)【丸ノ内線銀座駅・数寄屋橋方面】

ここから、晴海通りを丸ノ内線銀座駅のある数寄屋橋方面に進んでみる(丸ノ内線は開業当初は「西銀座駅」という別の駅であったことからもわかるように、銀座線のホームとは少し距離があり、日比谷線のホームがちょうど中間にあるような格好である)。この途中にも銀座天賞堂の天使像(キューピッド)など、かわいらしい目印がいくつかある。

銀座天賞堂の天使。道行く人をのぞき込むようなポーズがかわいい。

丸ノ内線銀座駅付近の数寄屋橋交差点に着くと、レンガ造りにトンガリ屋根のかわいらしい建物が目に入る。デザイン交番の先駆けともいえる数寄屋橋交番だ。

数寄屋橋交番。写真には写っていないが、トンガリ屋根の先から延びたポールには、金属球があしらわれている。

その横には案内地図があり、道に迷った人には何とも心強い。案内地図の隣にいる「はぐれっ子」と題された少女像がここにいる気持ちもわかる。

地図の横で途方に暮れるはぐれっ子。こんな状態になったならば、目の前の交番で道を聞くべきである。

晴海通りを挟んだ反対側には数寄屋橋公園があり、緑に囲まれたベンチで落ち着いて人を待つこともできる。

数寄屋橋公園は緑も多く、気候の良い時は休息する人でにぎわう。

この公園、落ち着くスペースばかりかと思いきや、敷地内にはド派手な時計の顔を持つ巨像がいるではないか。この芸術家・岡本太郎作の「若い時計台」は、夜になるとライトアップされ、待ち合わせ場所としても目立っている。

一目で岡本太郎作とわかる「若い時計台」。時刻によって表情が異なる。

有楽町マリオン

何となく、「ここが銀座駅と日比谷駅の境目かな」と思う建物が、『有楽町マリオン』である。『有楽町マリオン』の外壁に設置された大時計は、毎正時(10~22時)になると時計板が上がって、中からからくり人形が登場して音楽を奏でてくれる。

時計の中から出てきた少年少女人形が鉄琴を鳴らすパフォーマンスを見られる。

「〇時ちょうどに待ち合わせ」といった時には、この時計の下で待ち合わせれば、待っている時間も楽しく過ごすことができるに違いない。

早川徳次像/メトロ銀座ギャラリー/ワークスペース/松屋メトロード【銀座駅コンコース】

と、ここまで地上の待ち合わせ場所を紹介してきたが、取材時(2025年7月)のような猛暑や寒い冬、雨天などの悪天候時は、屋外での待ち合わせはなかなか厳しいものがある。そこは地下鉄駅である銀座駅の強み、「地下での待ち合わせ場所」を探してみようではないか。

まず日比谷線のコンコースを進むと、「地下鉄の父・早川徳次像」と題された胸像がある。

地下鉄の父・早川徳次。ライトアップもされているので、わりと目につきやすい。

東京地下鉄道会社を創設し、日本というよりアジアで最初の地下鉄(上野-浅草間)を昭和2年(1927)に開業させた功労者である。この胸像前で待ち合わせをすることで、地下鉄により強い思いを持てるかもしれない。

この胸像近くには「メトロ銀座ギャラリー」として、美術や工芸作品を展示するスペースがある。

3面のウインドーディスプレイからなるメトロ銀座ギャラリー。若い才能に触れよう。

取材時点では東京藝術大学卒業・修了作品の中から選抜された優秀作品が展示されており(~2025年7月19日)、芸術作品を鑑賞しながら優雅に待ち合わせできる。またB6出口付近にも、デザイナー・吉岡徳仁氏が手がけたクリスタルガラスの壁面「光の結晶」が設置され、こちらも待ち合わせ場所として利用できそうだ。

敷き詰められたクリスタルガラスが照明を反射してキラキラ光り、通りかかった人はもれなく「わぁきれい」「すごい」などと反応していた。

同じく日比谷線のコンコースには、広々としたワークスペースが設けられている。スタンディングデスクには無料で使えるコンセントが設置されており、仕事をしながら待ち合わせをするにはとても便利だ。

都心でこれだけのワークスペースが設けられているのはなかなかない。
各テーブルの下には電源もあり、快適に作業できそう。

一方、有楽町線銀座一丁目駅方面に進んでいくと、松屋銀座の地下入り口につながるA13出口にたどりつく。

松屋メトロード。落ち着いた色合いながら、目を引く華やかさがある。

この松屋に続く地下通路「松屋メトロード」は、2019年の松屋創業150周年を記念してリニューアルされたもので、美濃焼のモザイクタイルで彩られた壁面が美しい。特に10から1まで番号が付けられた柱は、百貨店に入るためのカウントダウンのようで楽しくもある。

数字が振られた各柱も、とても細工が細かい。

「松屋の5番の柱で待ち合わせね」などという使い方もできるかもしれない。

天候に左右されずに「地下でスマートに待ち合わせ」というのは、オシャレな銀座という街に、よく似合うような気もする。

イラスト・文・撮影=オギリマサホ

※1:東京メトロホームページ(https://www.tokyometro.jp/corporate/enterprise/passenger_rail/transportation/passengers/index.html)

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書に『半径3メートルの倫理』(産業編集センター)、『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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