第10回ふくやまオーガニックマルシェ (2024年6月30日開催) 〜 芦田川から地球の未来を考える
オーガニックってよく聞くけど、何だろう?
なんとなく良さそうだけど、何から始めたらいいんだろう?
手に取る商品に疑問を持ちつつ過ごしていたところ、オーガニックマルシェが開かれると聞いて2024年6月30日(日)に芦田川かわまち広場を訪れました。
オーガニックマルシェとは
オーガニックとは、有機JAS(品質を保証するための規格)で禁止された農薬や化学肥料を使用しない栽培方法です。自然の恵みを生かした生産が可能なため、環境への負荷が少ないといわれています。オーガニックを選択することは、子どもたちへより良い環境を残すことにもつながります。
美しい福山を子どもたちに残したい、体にも地球にもやさしい生活がしたい、という思いから営まれているふくやまオーガニックマルシェは、今回で10回目を迎えました。
会場は、広島県福山市の芦田川かわまち広場(親水広場)の芝生広場A。
芦田川かわまち広場は2020年に整備され、芦田川の美しい景観を楽しめます。
駐車場は、信号「水呑大橋東詰」上流側の無料駐車場か、隣接しているエフピコアリーナふくやま(福山市総合体育館)の体育館が利用可能です。
体育館の駐車場は2時間無料のため、マルシェを利用しやすくなっています。
体育館の駐車場から出ると、会場へと案内してくれる立て看板を発見。
マルシェ会場では、やわらかな芝とカラフルなテントが来場客を出迎えてくれていました。
楽しいお店いろいろ
会場入り口には、マルシェの案内図が貼られています。それぞれが写真に撮ることで、ペーパーレスに貢献するシステムです。
会場には30軒近いお店がテントを並べていました。
オーガニックマルシェは、限りある資源を有効に使うため、エコバッグや容器の用意を推奨しています。
筆者もエコバッグを用意して参加。
会場にはゴミ箱が設置されていないため、参加する際には食べ終えたものを入れるビニール袋などを用意しておくのがおすすめです。
ここからは、筆者が立ち寄ったお店を紹介します。
ながみねファーム
白いクロスに惹かれて訪れたのは、広島県福山市芦田町で養鶏をおこなっているながみねファームです。ながみねファームでは平飼いにこだわり、鶏が元気にのびのびと卵を産むための環境を整えています。
一般的な養鶏場において、鶏はケージのなかで育ち、卵を産むもの。一方、ながみねファームでは、鶏が広々とした大地を自由に走り回れる環境を大切にしています。
鶏が適度に運動することで、ストレスを溜め込まず、健康的な体に育つのだそう。鶏たちはヒヨコの頃から抗生物質などを一切使わず、自然に近い環境で育てられています。
ながみねファームは、飼料にもこだわっています。
卵の黄身の色は、与える餌によって変わるのだそうです。パプリカの色素を与えればオレンジ色の卵に、とうもろこしやマリーゴールドの色素を与えれば黄色の濃い卵になるのだそう。
ながみねファームの鶏たちは、遺伝子組み換え原料や添加物を使わない自己配合の発酵飼料を食べて育ちます。その結果、卵は本来の色であるやさしいレモンイエローに仕上がります。
おすすめの食べかたは、卵本来のおいしさが味わえる卵かけごはん。筆者は生卵が苦手なのですが、ながみねファームの卵にはナマモノ特有の臭みがなく、するすると食べられました。
コナノワ
コナノワは、瀬戸内海に浮かぶ大島から参加したベーグルのお店です。
大島は愛媛県今治市に属する小さな島。目の前の瀬戸内海と遠くに見える四国山脈を眺めながら、ベーグルを焼いています。
マルシェには、一つひとつていねいに包まれたこだわりのベーグルが並んでいました。
おもな材料となるのは北海道産の契約栽培小麦。ベーグルに使用する具材には、地元のオーガニック農家の食材を中心に採用しています。
筆者はお店でも人気だという抹茶あんこのベーグルをいただきました。
一口頬張ると、もちもちとした食感と濃厚な抹茶の香りが口いっぱいに広がります。あんこの甘さは抹茶の香りを邪魔しないよう、ひかえめ。
牛乳、卵、油を使わずに仕上げたこだわりの生地には弾力があり、食べごたえばつぐん!
一つでお腹と幸せがいっぱいになるベーグルでした。
百種ファーミング
岡山県井原市にある百種(ももくさ)ファーミングでは、粉からこだわった自家製パンを販売していました。
パンに扱う小麦粉は自家栽培で農薬や化学肥料を用いないミナミノカオリと農林61号を使用。パンをふくらませる酵母も、2017年に自家栽培の無農薬ぶどうから起こし、現在までかけ継いでいるそうです。
手間と愛情をかけたパン生地は、赤土を使用した土窯で使いていねいに焼かれます。なんと、畑周りの雑木を薪にしてパンを焼いているそう。
とことん手作りにこだわったパン屋さんです。
いただいたパンは小麦の香ばしい香りが鼻から抜けていくような、味わい深いお味でした(香りの良さは農林61号の特徴だとか)。
お手頃価格の干しパンは、カンパーニュをスライスして乾燥させたもの。薪で芯まで火を通しているため、賞味期限が20日先に設定されています。
ほのかな塩味と香ばしさ、バリバリした食感がクセになる一品でした。
pasión
ひときわ賑わっていたのが、テーブルにところ狭しとお菓子を並べていたpasión(パシオン)です。
pasiónは、備後地域の食材を使ったお菓子作りを営むお店です。
地域や農家さんとのつながりを大切にし、素材のおいしさが伝わるお菓子を提供しています。
「キウイスコーンのキウイは、有機農法に取り組んでいる農家さんのものを使っているんですよ。緑の色がしっかり出るうえに、甘みが強いので助かっています」と語るpasiónの山脇さん。
こだわりの食材を使いたいという思いが強く感じられました。
筆者は、数種類並べられた瓶のなかから、5種類のスコーンを購入しました。
どれも粉の味が濃く、小麦の風味が口いっぱいに広がります。
具材もただの風味付けではなく、ごろごろと果肉が入ったぜいたくな一品。スコーンのホロホロした生地と果物のくにくにした食感のコントラストが楽しめます。
満足感が大きく、「あの人にも食べさせてあげたいな」が自然に起こるやさしいお菓子でした。
こいちゃんファーム
大きな看板に惹かれて訪れたのは、広島県三原市でオーガニックの野菜やハーブを栽培している農家「こいちゃんファーム」です。
ふくやまオーガニックマルシェでは、ハーブを漬けた蜂蜜やハーブをねりこんだ石鹸、オリジナルブレンドのハーブティーなどを取り扱っていました。
こいちゃんファームでは、きれいな色に惹かれてハーブドリンクを購入しました。
ドリンクに使われているのは、ハーブをシロップで煮込んでできる液体、コーディアルです。カラフルなドリンクは着色料を使わず、植物の色を大切にしているそう。
紫色のハーブドリンクはバタフライピーというハーブから色を取っています。バタフライピーには抗酸化物質であるアントシアニンが豊富に含まれており、アンチエイジングが期待できるのだとか。
オレンジ色のハーブドリンクには、ローゼル(ハイビスカスの仲間)とオレンジジュースから色が出ています。ローゼルとオレンジに豊富に含まれるビタミンCは、体をストレスから守るはたらきがあり、夏の暑さに負けない体作りを助けてくれます。
自然の色でできたコーディアルをソーダで割ったハーブドリンク。
コーディアルの甘さとソーダの刺激がおいしい1杯でした。
きれいな芦田川を眺めてオーガニックを思う
オーガニックマルシェでは、芦田川の利用促進活動をおこなう芦活部の協力のもと、ゴミ拾いもおこなわれていました。
かつては中国地方ワーストの汚染度だった芦田川ですが、市民の小さな活動から美しい景観を取り戻しつつあります。
オーガニックは、農薬や化学肥料といった環境負荷の高いものを、できるだけ排除した生産方法です。
筆者はマルシェに参加して、オーガニックを選ぶことは美しい地球を守るための選択肢の一つと知りました。
地球と体を想い、できるところから、おいしいものから未来につなげていく。一人ひとりの選択が未来を変えていく。ふくやまオーガニックマルシェは、毎年梅雨と冬に開催しています。次回は2024年12月15日(日)午前10時~午後2時に開催予定。
まずはマルシェに参加して楽しむことから、オーガニックに触れてみてはいかがでしょうか。