「底が抜けた」いまの日本、国民がおとなしすぎる?
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、12月18日の放送に、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘が出演。今月発売された『底が抜けた国 自浄能力を失った日本は再生できるのか?』に関連し、「底が抜けた」という日本の現状について語った。
大竹まこと「今回の御本は『底が抜けた国 自浄能力を失った日本は再生できるのか?』ということです。タイトルからして相当怒っていらっしゃる?」
山崎雅弘「そうですね。この本を出版して、既に買って下さって『タイトルの“底が抜けた”という言葉の感覚がわかります』『同じように感じます』という方がけっこうおられて。長く続いてきた自民党政権の中でも、ここ10年ぐらいの底の抜け方。具体的には様々な不正や横暴、違法,脱法がうやむやにされる状況というのに、どうしてこうなったんだろう、という戸惑いも含めて、驚きと怒りの感情を持っている方が多いと」
大竹「その10年間が来て、賃金が上がらない中で物価だけが上がっていく。皆もう少し、いろんなことに怒っていいはずなのに怒らずに……」
山崎「そう。大企業を国がある程度、応援するというのはどこの国でも多少している。それ自体が悪いとは言いませんが、ここ5~10年を見るとそれが極端すぎる、と。国民の生活も目配りしつつ大企業を応援する、というのではなく、大企業や富裕層しか見ていない」
大竹「はい」
山崎「国民の暮らしがどんどん締め付けられて苦しんでいる。たとえば母子家庭で、子供に栄養あるものを食べさせるためにお母さんが食費を削って栄養失調になっている、そんなのはもう先進国といえません。NHKが放送している以上、社会的に皆、知っているはずなのに。それでもまだ国民に顔を向けずに大企業や富裕層、あるいはアメリカといった、力を持ったところだけ優先する政治をしている。異常だなと」
大竹「自国第一主義と新自由主義」
山崎「国民も含めた自国第一主義ならいいと思うんです、そうではない感じがする」
大竹「そうですねえ。この10年を含めた、いまのこの国を見て、10年後の未来から見たら、国の状態がいま、いちばん悪いことになっているのでは、とおっしゃっています」
山崎「いまがいちばん悪い、ということではなく。この状況を放置しておけば年々、さらに悪くなっていくと思うんですね。5年前といまとを比べればそれは言えると思います。この流れを止める、緩める、そういう努力をしていかないと、この先どんどん悪くなっていくのではないか、と」
大竹「韓国の状況がいい、とは言いませんけど。あれだけ市民たちが賛成と反対に分かれて路上に出て声を上げるのと比べると、この国は……」
山崎「そうなんですよ。一般の国民がおとなしすぎるんです。本当はもっと韓国のように、おかしいと思ったら怒っていいんですよ。偉い人にでも。それなのに日本では『偉い人に従わないといけない』と子供のころから刷り込まれてしまう、というのがある。理不尽だと思っても上の人の言うことなら従う、『おかしい』と言わない。過剰な従順さみたいなものが、さらに状態を悪くしていると思います」