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特別な一日の賑わいを日常に。長岡の複合施設「KAKIGAWA LIVING PARK」。

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特別な一日の賑わいを日常に。長岡の複合施設「KAKIGAWA LIVING PARK」。

長岡市の「KAKIGAWA LIVING PARK」は、総合建設業「株式会社池田組」の不動産事業部「かきがわ不動産」が運営する複合施設です。カフェやフォトスタジオなどが入るこの建物の向かいには、緑豊かな「平和の森公園」が広がり、目の前には柿川が流れています。今回は「KAKIGAWA LIVING PARK」の責任者 池田さんに、複合施設をスタートした理由やまちづくりへの考えについてお話を聞いてきました。

KAKIGAWA LIVING PARK

池田 雄一郎 Yuichiro Ikeda

1981年長岡市生まれ。大学卒業後、長岡市の設計事務所に勤務。その後、株式会社池田組へ入社し、現在は専務取締役を務める。キャンプ、スキー、子どもとバレーボールなど、さまざまアクティビティを満喫している。

災害で痛感した家づくり、街づくりへの思い。

――「KAKIGAWA LIVING PARK」を運営されているのは、「かきがわ不動産」。そして「かきざわ不動産」の母体は「株式会社池田組」なんですよね。

池田さん:その通りです。「かきがわ不動産」が立ち上がったのは、7年ほど前になるかと思います。

――どうして不動産事業をはじめられたんでしょう?

池田さん:空き家問題や人口減少など、地域を取り巻く社会課題を解決できないものかと考えたんです。小学生の子どもがいるんですが、学校の子どもの数が激減していると肌で感じています。若者の流出も増加傾向にありますよね。そこで、空き家をリノベーションするなどして、子どもからお年寄りまで、地域の人たちが世代を超えて交流できる場所を作れたらいいなと思い「かきがわ不動産」を立ち上げたんです。

――母体の建設業は、まちづくりにつながるお仕事です。やっぱり「まちづくり」の視点から、そういった課題を感じるようになったんですか?

池田さん:「池田組」は、耐震性のある省エネ建築に特に力を入れています。実は私の中で「災害」が、ターニングポイントになっていて。社会人1年目のときに中越地震で被災し、仕事ではさらに被害の大きかった地域に調査に行きました。そういった経験から、建物の構造や耐震性について深く考えるようになり、「建物をより長く、安全に」という信念にたどり着きました。その後に東日本大震災が発生し、原発事故が起きて……。「エネルギーについてよくよく考えなくてはいけない」と、できるだけ少ないエネルギーで持続可能な建物をつくろうと取り組んでいるんです。

――それが「池田組」さんの家づくりなんですね。

池田さん:建物はハード面、一方で空き家問題や人口減少などはソフト面の課題だと思っています。まちづくりにはハードとソフト、両方を考えていくことが大事だよなという思いがあって。それが「かきがわ不動産」につながっています。

複合施設がもたらす、特別な日の賑わい。

――「KAKIGAWA LIVING PARK」が誕生した経緯についても教えてください。

池田さん:私たちは地元の有志と、2020年から柿川周辺を歩いて楽しめるさんぽ型マーケット「かきがわ ひらき」を開催していました。目の前に「平和の森公園」が広がる、この建物のあたりが会場だったんです。そして、ここには住宅設備機器メーカーさんが入っていました。でもその会社さんが移転されて、空き物件になってしまったんです。

――皆さんにご縁のある場所に空き家が出たんですね。

池田さん:「かきがわ ひらき」には、「イベントの賑わいが継続しない」という課題がありました。当日はたくさんの人が来てくださるんだけど、その活気を地域に根付かせることができなくて。「かきがわ ひらき」が日常的に街に溶け込んでいるような「何か」ができないものかと、空き家となったこの建物の1階、2階をリノベーションし、複合施設にしたんです。コンセプトは「街のリビングが日常的にある風景」です。

――なるほど。常設の「かきがわ ひらき」ができるんじゃないかということですね。

池田さん:全国展開しているチェーン店は、もちろん魅力的なんですけど、そうではなく、ちょっと個性のある店舗さんに入ってもらっています。

――どんな店舗が集まっているんでしょう?

池田さん:発酵食材やスパイスを使ったメニューが楽しめる「a-sun kitchen」やフォトスタジオ、ヘアサロン、カフェなどいろいろなお店さんに協力してもらっています。共用スペースでは、「かきがわ ひらき」のようなイベントも不定期で開催しているんですよ。

生まれ育った街への、貢献。

――いろいろな試みをされていますが、池田さんにとって柿川周辺は特別な場所なんですか?

池田さん:生まれ育った場所がすぐ近くでして。弊社は大工で創業し、さかのぼって、柿川がまだ物流ルートとして使われていた頃は船を出していたそうです。そういう意味では、柿川にルーツがありますね。大手通りが賑わう前は、このあたりがメインの商店街だったんですよ。歴史のある街ではありますが、長岡は空襲の被害を受け、何もかもなくなってしまいました。大昔からの観光資源がない環境で、空き家の解消やまちづくりにつながる取り組みをすることには意味があると思っています。

――「KAKIGAWA LIVING PARK」さんの事業と本業の総合建設業とでは、どんな違いがあるでしょうか?

池田さん:大きな再開発とはちょっと違って、「小さくはじめて、大きく育てる」仕事かもしれませんね。より地域に密着している感じがしています。

――今後はどんなまちづくりをしたいですか?

池田さん:より心地よく、誰かの日常の一部になれるような場所を育てていきたいと思っています。「生まれ育った街の表情が少しずつ豊かになっていく」、その変化に触れられることを何よりありがたく感じています。そんな場所が増えていけば、街への誇りや愛着も、ゆっくり育っていくのではないかと思っています。

KAKIGAWA LIVING PARK

長岡市中島4-12-5

0258-84-7781

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