流山児★事務所が、高取英&天野天街を偲びつつ『冥王星の使者』を40周年記念公演として上演、11/21より開幕
流山児★事務所(主宰/芸術監督:流山児祥)は40周年記念公演として『冥王星の使者』(作:高取英)を、2024年11月21日(木)より新宿スターフィールドで上演する(12月1日(日)まで)。このほど編集部に届いた最新の舞台稽古写真と共に本作を紹介する。
『冥王星の使者』は、『聖ミカエラ学園漂流記』『帝国月光写真館』など数々の名作で地下演劇界を牽引してきた月蝕歌劇団の高取英が、今から40年前の1984年、流山児★事務所の前身だった「演劇団」の解散公演のために書き下ろした記念碑的作品。今回は当初、時間軸や因果律の遣い手として才気を放っていた天野天街(少年王者舘)が、「正史」の裏に消えていった「弱き者」の視点に思いを寄せる劇作術が特徴の高取作品群の中から《最新作》としてセレクトし、“高取英七回忌”として演出を手掛ける予定だった。しかし、天野が今年7月に死去。そのため流山児祥が演出を務めることとなり、天野の遺した「演出プラン」を軸に、元・月蝕歌劇団の三坂知絵子と森永理科、高取英の教え子だったV・銀太と共同で上演台本を創り上げた。
音楽担当には天野の熱望した巻上公一(ヒカシュー)を招き、さらに人形製作には天野の代表的人形劇作品『高丘親王航海記』で注目されたITOプロジェクトの山田俊彦、そして映像に浜嶋将裕、振付に池田遼といった少年王者舘スタッフも参加し、天野のテイストが随所にまぶされた舞台となる。出演は、伊藤弘子、栗原茂、上田和弘、里美和彦、平野直美/三坂知絵子(客演)、森春介(少年王者舘)/流山児祥ら総勢18名の予定。
かくして、冥王星と海王星の軌道の交点に生まれる永遠のモノガタリ『冥王星の使者』が、故・高取英と故・天野天街を偲びながら、流山児★事務所でしか出来ない総天然色の《アングラ音楽劇》として同劇団のオールスタアによって披露されること、大いに期待したい。
【あらすじ】
アマテラスに奪われた地上の統治権を奪い返すべく国津神の復権を唱える宗教集団が不敬罪で弾圧される。京都の学生下宿で静御前の夢を見ていた高橋はいつの間にか教団の世話をすることに。やがて、教団は国家権力との全面戦争を決意し、信徒に一斉蜂起を呼び掛ける。「宇宙一切をゆるす本当の平穏」はこの地に訪れるのか?
70年代の若者たちを熱狂させた高橋和巳の長編小説「邪宗門」に想を得て、実在の宗教弾圧事件と義経伝説を融合させたタイムパラドックス演劇。
■流山児祥 コメント
『冥王星の使者』は、敬愛する高取英と天野天街というアングラの天才に捧げる公演です。
本来、高取英七回忌として天野天街の演出で上演予定でしたが、七月七日、演出家・天野天街の死でそれは叶わぬ夢となりました。アマノの「演出プラン」を軸に、元・月蝕歌劇団の三坂知絵子と森永理科、高取英の教え子だったV・銀太と共同で上演台本を創り上げました。随所に天野テイストをまぶし、彼が熱望した巻上公一&ヒカシューサウンドを全編に散りばめ、人形製作はアマノの代表作『高丘親王航海記』のITOプロジェクトの山田俊彦さん、映像・浜嶋将裕、振付・池田遼といった少年王者舘スタッフも加わって、流山児★事務所でしか出来ない総天然色の《アングラ音楽劇》に仕上がりました。
『冥王星の使者』は、70年安保闘争の最中に発表され、当時の若者たちを熱狂させた高橋和巳のベストセラー小説「邪宗門」に想を得て、高取が1984年、流山児★事務所の前身「演劇団」のために書き下ろしました。太平洋戦争開戦前夜の昭和初期、ある宗教団体の弾圧事件と義経伝説を絡ませた奇想天外なるタイムパラドックス演劇であり、現状変革をアジテートする劇です。70年安保、戦前の昭和、鎌倉時代を旅し、すでに「戦前」と呼ぶべき《現在》へと辿り着きます。是非じっくり、高取・天野演劇のテーマである「時間とは、歴史とは、宇宙とは、人間とは」何か?を想像力の翼を広げて考えてみてください。
月蝕ファンも 少年王者舘ファンも必見のノンストップ・エンターテイメント、乞うご期待!!アングラは死なない!
流山児祥