皆春荘が公開再開 庭園整備で往時の姿復元
小田原市板橋にある市所有の歴史的建造物「皆春荘」の庭園整備工事がこのほど完了し、3月5日から公開が再開された。1日には関係者らを招いたリニューアル内覧会と特別講演が行われた。
皆春荘は大正期に内閣総理大臣を務めた清浦奎吾の別邸として建てられた。1914(大正3)年には明治の元勲、山縣有朋が隣接していた邸宅、古稀庵の別庵として編入。山縣は日本庭園に造詣が深く、皆春荘も椿山荘(東京都)や無鄰菴(むりんあん)(京都府)などと同様に、自ら庭師に作庭を指揮したといわれている。
皆春荘の運営・管理は、民間企業の提案による活用促進を目的に2022年度から(株)トープラ(大滝靖生代表取締役)に委託されている。昨年4月からは経年により意匠が損なわれた庭園や表門の補修・修復などを目的に整備工事を実施し、10月末からは全面休館していた。整備後は庭園の特徴である「水景」(不定期)などが楽しめるほか、バリアフリールートも設置されている。
内覧会には加藤憲一市長や商業、観光、市議会、地元自治会の関係者ら約20人が出席。加藤市長は「作庭の特徴が表れた庭園を見られるようになった。多くの方に大切な財産の一つとして感じていただければ」とあいさつ。大滝代表取締役は「上質な文化や歴史を学び、知り、体感できる施設運営を目指してきた。施設の周知と板橋地区の回遊性を高めていくことができるよう、努力していきたい」と述べた。
また特別講演として無鄰菴の指定管理者で、椿山荘(現ホテル椿山荘東京)の庭園育成管理を行う植彌加藤造園(株)・加藤友規代表取締役社長による「皆春荘庭園鑑賞講座〜山縣三名園を旅する〜」を開催。加藤社長の解説で古稀庵と皆春荘庭園の見学も行われた。
開館は午前10時(4月からは11時)から午後4時(最終入館は3時30分)で入館無料。月曜・火曜休館(月曜・火曜祝日の場合は翌平日)。