「ぶた」の「やきとり」弁当を初体験! 函館名物にびっくり仰天&大満足
北海道・函館にあるコンビニチェーン「ハセガワストア」では「やきとり弁当」が売っているそう。
と、それだけ聞くとただの弁当情報ですが、実はこの弁当、「やきとり」と名付けられているにもかかわらず、使われているのはなんと鶏肉ではなく豚肉。
やき“とり”なのに、“ぶた”?どういうこと?真相を確かめるべく、実際に買って食べてみました!
■ 道南では一般的な“ぶた”の“やきとり”!
ハセガワストアの公式サイトによると、函館をはじめ北海道の南の方では、「やきとりといったら『豚精肉』」になるそうです。地域に養豚場が多く、鶏よりも豚の方が手に入りやすかったことが1番の理由にあげられています。
また、北海道の厳しい自然を生きるためには、栄養やスタミナに優れる豚肉の方が重宝された可能性もあり、そういった理由によって「ぶたのやきとり」が道南になじんだのではないかと考えられています。
よって、函館で「やきとりくさだい」と頼むと豚肉がでてきてしまうため、鶏の方のやきとりが欲しい場合は「やきとり 鶏肉で」と注文する必要があるのだとか。
ちなみに「ぶたのやきとり」は、函館以外に福岡でも見られます。福岡のやきとりは、戦後の屋台文化の中で根付いたものとされ、豚以外に牛肉やししゃもなども「やきとり」として販売されています。こっちは完全に「やきとりのフリースタイル」。
話を戻すと、そんな「ぶたのやきとり」を使った「やきとり弁当」を販売しているのは、函館地区に店舗を構えるローカルコンビニ「ハセガワストア」。
本来であれば現地にいかなければ食べられないものですが、7月4日から17日まで札幌の「丸井今井札幌本店大通館」で開催されていた「北海道味紀行」というフェアに登場。
たまたま札幌を訪れていたこともあり、筆者は「これは行かねば!」とまたとないチャンスに飛びつきました。
平日午前中の早い段階に向かったのですが、「ハセガワストア」のコーナーはかなりの盛況っぷりで、筆者の前に十数人の列ができていました。
しかし同じ列に並んでいた人が話していたところによれば「今日はかなり空いている」とのこと。いったいどれだけ人気なんだ、やきとり弁当。期待が高まります。
弁当は「たれ」「塩」「塩だれ」「うま辛」の4種があり、値段はいずれも750円(税込)。4つ全部食べたいくらいですが、さすがにそこまでの胃袋は持ち合わせていないので、悩みに悩んだ結果、「たれ」を選びました。
お会計を済ませた後は近くのイートインスペースに移動。箱越しに漂ってくる美味しそうなたれの香りが、食欲をそそります。
■ 弁当を購入したはいいが……これどうやって食べればいいの?
弁当は仕切りがないタイプで、温かなごはんの上に海苔が敷かれ、その上にねぎまのやきとりがのっているという3層構造。そのほか、小袋に入った紅生姜もついてきます。
今回「ぶたのやきとり」というユニークさに惹かれて飛びつきましたが、落ち着いて考えると「やきとり」がのった弁当というのも、なかなか見ません。
蓋を外した弁当を見下ろしながら「どう食べればいいんだ……?」と筆者はしばし思考停止。片手に串を持ちながら、もう片方の手でごはんを食べる?いや、でもなんかそれは食べづらいような。
そんなことを思っていると、隣で同じく「やきとり弁当」を購入し食べようとしていた男性が、蓋と容器の隙間に串を挟み、串だけを抜き取るような動きをしているではありませんか。
調べてみたところ、どうやら「やきとり弁当」には食べ方があるみたいです。
よく見ると容器のフチにはミゾがあり、これは串を置くためのスペースとのこと。蓋を開けたらまずはそのミゾに串の持ち手を置き、再び蓋をします。
蓋が外れないようしっかり手でおさえたら、あとは串の持ち手をねじりながら引っこ抜くだけ。
再び蓋を開けると、やきとりが串から外れてごはんの上に広がっています。おまけにたれもまんべんなく行き渡り、ひと目見ただけで「これが正しい食べ方だ……!」と分かるビジュアルに変化しました。
完全に準備万端。食べていきます。
■ ジューシーな豚肉と、甘じょっぱいたれが、仕事に支障をきたすレベルの美味しさ
やきとり弁当は、炭火とタレがとにかくいい香り。香りだけをおかずに、ごはんが掻き込めそうです。
豚肉はとてもジューシー。歯を突き立てた瞬間、肉の旨味と脂の甘味が口いっぱいに広がります。
噛み応えがかなりあり、しかし固くはないという絶妙な加減。しっかりとした肉肉しさを感じることができます。
甘じょっぱいたれともよく絡み、ごはんとの相性も抜群。豚肉を口に入れたまま、その下の海苔とごはんをごそっとすくって口に運ぶ喜びたるや。
分厚くて香り高い海苔が、たれやごはんにまた合う……。ちょうど昼どきでお腹が空いていたこともあって、箸が止まりません。
「記事のための写真を撮らなければ」と思いつつ、「もうひとくち食べたら写真」と自分に何度も言い聞かせながら、一向にカメラを構えられない始末。美味しすぎて仕事に支障が出てくるレベルです。困ったな。
さらに、やきとり弁当はネギも主役級の味です。シャキシャキと軽快な食感を残しつつ、甘みもしっかりあって、豚肉とたれの濃い味の合間に挟む具として完璧。
というかこれ、ネギだけでもごはんが食べられます。それくらい旨味たっぷりの、美味しいネギです。
夢中で食べている間に紅生姜があったことを忘れていたので、最後の一口に紅生姜をのせてみます。
甘じょっぱいたれに爽やかな辛さが加わり、口の中が一気にさっぱり。味がさらに大きく広がる感じがしました。味変としてこれ以上ないほどの組み合わせ。なんでもっと早く味変をしていなかったんだ、自分。時を戻して欲しい。
函館地区の「ハセガワストア」で購入できる、ぶたを使用した「やきとり弁当」。名前も味もどちらも心に残るお弁当なので、訪れた際にはぜひ食べてみてほしいです。
<参考・引用>
ハセガワストア「やきとり弁当誕生秘話~こうしてやき弁は生まれた」
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025071803.html