温泉を持ち歩く!ボディシートになった日本の資源
朝晩はひんやりする日も増えてきましたが、今日は「温泉を持ち歩く」という、なんとも不思議なお話。
エスプレッソのような温泉を染み込ませたボディシート!
それは、「湯るまる」というボディシートなのですが、実はこれ、温泉そのものが染み込ませてあるんです。温泉を染み込ませる、とはどういうことなのか?「湯るまる」を開発した、株式会社Le Furo代表取締役、三田直樹さんにお話を聞きました。
株式会社Le Furo代表取締役 三田直樹さん
温泉だけを使ったボディシートになってまして、温泉だけを使っている、まあ温泉を濃くした、我々『クラフト温泉』と呼んでいるんですけど、簡単に言うと、温泉の中の成分濃度を上げる。
温泉って、地下でお湯が溜まっていく中で、木とか石の中の温泉成分が、何万年という単位でドリップされて溶けて行くんですけれども、そのドリップをもう一度やり直すことで、クラフト温泉というのは、だいたい天然温泉と比べると数千倍に成分濃度が濃くなるんで、ホントに文字通りエスプレッソのような温泉になりますので、ごくわずかな量を染み込ませてあげることで、ポケットの中に温泉を持ち歩けるみたいな、そういう発想で、今作ってます。
元々のお話というのは、実は宇宙開発事業団ってJAXAというところと共同開発をして、要は宇宙飛行士の方って、半年間くらい宇宙空間に滞在しますけど、その間、お風呂一回も入れないので、お風呂が恋しい、リラックスしたい、かつ、清潔を保ちたいということで、まだ、実装はしてないんですけども、近々、宇宙へ持っていこうと、そういうお話になってます。
もとは宇宙飛行士のために開発されたものなんですね。宇宙空間は、水分やアルコール成分など、様々な制約がある場所。その中でも、なんとか少しでも快適に過ごせないか?ということで、JAXAとの共同開発で誕生したのが、このボディシートということです。
「湯るまる」 これは無香料タイプです
三田さんによると、普通の温泉がアメリカンだとすると、石に溶け残った温泉成分を抽出し直したクラフト温泉は、温泉のエスプレッソ。これを作る技術によって生まれたこのボディシート。『温泉のエスプレッソ』を染み込ませているので、温泉成分はばっちり入っていて、拭くとポカポカしてきたり、実際の温泉と同様の効能が期待できるのだとか。
しっとり!スッキリ!お風呂上がりみたい!!
せっかくなので、実際に街のみなさんに、温泉のボディシートを試してもらいました。
「しっとりしてると思います、これ、今も、クリーム塗ったみたいになってます。」
「ええぇ~?(腕拭きましたね)さっぱりするけど、浸かってるゆったり感が無いからどうなんだろうって感じです、お湯に。浸かってるリラックス感にはちょっと勝てないかな。でも、あったらリフレッシュはできるんじゃないかなと思います。」
「うん、しっとり・・しますよ。そう言われればちょっとあったかくなってきたような気がするけどね、うん。」
「拭いた感じは普通です。まだちょっと直後に変化は無いです。(ポカポカしてくるはずなんですけど)えええ~?とりあえず、まだして参りません。まだしてこないですね。」
「はい、温泉好きです。あ!うん!お風呂上りっぽい!拭いた後の肌がお風呂上がりの肌っぽくなる、かな?うん、あったかくはないんですよね。あったかくはならないんですけど、気持ちいいです!」
一般的な汗拭きシートよりも大判です。
拭いていると温かくなるのを実感できた方はいませんでしたが・・・しっとりする、お風呂上がりみたいな肌になる、と、使用感はなかなか好評。(ちなみに、「現場にアタック」放送5分後くらいに、泰子さんからポカポカしてきた!と報告がありました!)
三田さんは、宇宙飛行士だけでなく、例えば災害時の避難所などでも使ってもらえればとおっしゃっていました。用途は様々に広がりそうです。
温泉は、中東の石油のような資源!!
ところが、これが思わぬところから注目されて、三田さんは、ボディシートだけでなく、温泉そのものが世界へはばたくかも、とおっしゃいます。
株式会社Le Furo代表取締役 三田直樹さん
イスラム圏っていうのは、アルコールを禁忌する文化なので、コロナ禍で手を洗わなきゃいけない習慣のときに、アルコールをどうしても使わなきゃいけないというので、結構みなさん抵抗があったらしいんですね。で、その時に、僕ら試作品の時に、これを中東に持ち込んだら、ぜひこれを置かせてくれ、というお話がたくさん来てですね、温泉って、たしかに、殺菌とか消毒作用が温泉成分の中に含まれているので、アルコールの殺菌作用を代替できるんだっていうのが、僕らも改めて気づかされた温泉の効能だと思いますね。
日本には源泉の数だけで言うと、2万8000か所あるんですよ。これって全世界の、一応確認されている温泉と言われてるものの数の比率で言うと9割くらい。源泉の数だけで言うと9割日本にあるんですよ。
だから、温泉って、地下資源で見たときにはすごい希少な資源で、それこそ中東の石油のような感覚ですね。だから、用途と価値が外国の人たちがクリアになると、恐らく、供給先って日本がメインになるので、なんていうの?石油ガスみたいに取引が可能になって、そこに値段がつけば、日本っていうのが温泉を買いたいという人が殺到しても全然おかしくはない資源だと思ってて、そのために色んな用途開発をしてる、という感じです。
温泉が、中東の石油みたいな資源!?びっくりしましたが、世界の源泉の9割が日本にある、と聞くとなるほどね~という気持ちになります。
しかも、温泉のエスプレッソにできれば、どこへでも持っていけるわけですから、イスラム圏で、「湯るまる」がアルコール消毒の代わりで需要が高いように、エスプレッソの温泉を使った商品の開発が、翻って温泉の価値をさらに高めてくれる、今まで地産地消でしかなかった「資源」・温泉を、世界へ広げられると期待しています。(需要が高かったイスラム圏は、「湯るまる」の世界販売のスタート地点になるそうです!)
どんどん湧いてくる温泉。かけ流しで捨てているお湯もすごく多いので、もったいない、と西田さん。ボディシート「湯るまる」も、例えば草津、例えば湯布院、という具合に、温泉地ごとに広げていきたい、と話していました。
日本にいるとあまり気づかない、資源としての温泉の希少さ・・・。石油になるのでしょうか??
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)