家族みんなが大満足。愛され続ける「ファミリーダイニング 小玉屋」。
新幹線の停車駅「JR浦佐駅」の東口にある「ファミリーダイニング 小玉屋」。エントランスには、誕生日や記念日を祝うために勢揃いした家族の写真がたくさん掲示してあります。それもそのはず、「小玉屋」さんにはラーメン、そば、定食、ステーキ、ハンバーグ、ピザ、パスタなどなど、家族3代、4代でも満足できるメニューが揃っているのです。つい先日「小玉屋」さんで会食した私は、甥っ子と「『小玉屋』さんにないメニューは何か」をクイズにして遊んでいたほど。今回は専務取締役の小島さんに、創業からの歴史や掲げている理念についてなどいろいろとお話を聞いてきました。
小玉屋
小島 雄介 Yusuke Kojima
1984年南魚沼市生まれ。「小玉屋」4代目、専務取締役。近畿大学大学院を修了後、調理の専門学校で学ぶ。東京の老舗イタリアン「アクアパッツアグループ 横須賀アクアマーレ」で3年間修業し、2013年に家業である「「小玉屋」に入る。南魚沼名産「天恵菇」のお刺身「山のあわび」の魅力を伝えるため、YouTubeチャンネル「通販の虎」に出演。
同業が「狂ってる」と驚く、営業スタイル。
――「小玉屋」さんのある浦佐は私の地元なので、小さい頃から何度もお店にお邪魔しています。何を食べても美味しいし、小さいお子さんからご年配まで幅広い年代が満足できるお店だと思うのですが、やっぱりそういうお店づくりをされているんでしょうか?
小島さん:私たちは「幸せは食から」を理念に掲げています。「全てはお客様と私たちの幸せのために 大切な時間をこだわりの料理で皆がひとつのテーブルを囲み 幸せになれる家族の晴れの日のレストラン」を目指していて、ただ料理を作る、提供する、お金をいただくという仕事ではなく「家族を幸せにする」ための料理と雰囲気を作っています。
――「ファミリーダイニング」ですが、ファミレスとは違いますよね。
小島さん:セントラルキッチンで調理するとか、手順に沿って誰でも美味しい料理が作れる仕組とかは当店にはありません。料理は料理人、つまり職人さんが作っているのでチェーン店さんとは違いがあるでしょうか。外観は和食店、メニューはファミレスみたいなお店です。ハンバーグ、パスタ、定食、一品料理、ラーメンなど、たくさんのアラカルトメニューを揃える「都合のいいお店」だと思います。加えてコース料理も提供しているので、料理仲間からは「狂っている」と言われます(笑)
――それだけすごいことをしているってことですね。
小島さん:これだけのメニューがありますから、食材を多く抱えていなくてはなりません。それにうちのお店はけっこうアナログなんですよね。スタッフとお客さまが会話できるように、セルフオーダーシステムは導入していません。通し営業をしていて、アラカルトメニューを調理しながら、同時に宴会メニューも用意する。そういうところが「狂っている」らしいです(笑)
――同じようなお店は、他になかなかないと思っていますよ。
小島さん:このスタイルは、他のお店と差別化できるところかもしれませんね。飲食店のコンサルに携わっている方からすると、メニューを絞って、タッチパネルとネット予約を導入して、人員を削減してと、いろいろ指摘箇所があるんでしょうけど、そうしない「温かさ」があると思っています。「小玉屋」流は、これでいいんじゃないでしょうか。
――今日は絶対に聞きたいことがあるんです。「小玉屋」さんって、メニューが豊富なのに提供までお客さんを待たせませんよね。
小島さん:時間がかかるメニューもありますので、その旨表記していますが、それ以外は10分程度で提供できるオペレーションになっています。厨房の人数は、一般的な飲食店より少し多いかもしれません。もちろん効率化は目指したいですけど、それでお客さまの満足度を下げてしまってはいけません。
食材の魅力を発信する理由。
――先日たまたまコース料理をいただく機会があったんですけど、どれも美味しかったです。しかもリーズナブルですよね。
小島さん:アラカルトメニューもある、宴会メニューもある。それからお客さまのほどんとがファミリーでのご来店であることが、この値段でご提供できる秘密です。関東からいらっしゃる方は、コースの内容と値段にびっくりされます。
――地元の食材もたくさん使われていますよね。お店は浦佐駅のすぐ近くだから観光客を意識しているのか、それとも地域貢献的な思いなのかどうでしょう?
小島さん:その両方でしょうか。一例なんですけど、僕が家業に入った10年前は、ご飯メニューは「ライス」と書かれているだけでした。今ある「南魚沼産コシヒカリ」の表記がなくて。お客さまが日本のトップブランド米と知らずにご飯を食べるのはもったいないと思っていました。
――この辺りでは当たり前のように地元のコシヒカリが出てきますもんね。
小島さん:ステーキの付け合わせのジャガイモは雪室保存したものを使っているんですが、あるとき、まるまる残されてしまって。そういうことが単純に悔しかったんですね。ふと「これってお客さまが食材のことを知らないからなのでは」と思ったんです。食材に込められた思いを伝えれば、食べ残しが少なくなるかもしれないと考えました。それで自分たちで直接生産者さんを取材し、パネルや敷紙にしてお伝えしているんです。僕たちがちゃんと食材を勉強することにもなるし、生産者さんも「こういうお料理になっているんだ」と喜んでくださいます。
――地元食材をPRしているのかと思いましたが、最初は食材について伝えようとスタートしたんですね。
小島さん:もともとはお客さまに料理を残さず召し上がって欲しいと思ってはじめた取り組みです。「ライスは南魚沼産コシヒカリですよ」という情報があるだけで、原価は変わらないんだけど、お客さまの満足度が1.1倍になるかもしれません。地元の食材を使うと出張や観光で来られた方が喜ばれますし、地元の方にも「こんな美味しいものがあるんだ」と知っていただくことになりますよね。
――そういう再発見って嬉しいですよね。
小島さん:地元の常連さんからのつながりで、日本のトップシェフが当店に来てくださるようになりました。トップシェフって、料理や下準備、盛り付け、提供までの時間など、何から何までほんとうにすごいです。「小玉屋」はそれとはちょっと違うんだけど、これだけのメニューと宴会コースをこなしながら、ちゃんと発信もしています。しかも、3世代、4世代のご家族皆さんを満足させられる。そういうところが「狂っている」って言われる理由なんでしょうね(笑)
創業40周年。地元に根付き、地元の活性化を目指して。
――「小玉屋」さんの歴史も伺いたいと思います。去年、創業40周年を迎えられたそうですね。
小島さん:以前は、浦佐駅の反対側でスキーにいらっしゃる観光客向けのお土産店をしていました。その中で飲食店営業をしていたんですね。新幹線が開通するとき、祖父が「これからは駅のこちらが側が盛んになる」と浦佐駅東口に移転をしたようです。
――それは大きなご判断だったでしょうね。
小島さん:ちょうどその頃大手のファミリーレストランが増えてきました。ファミレスを参考にしたところもあると思いますよ。今の「小玉屋」の基本となるところは、両親が培ってきました。料理やサービス面、それと家族を大切にして営業しようという姿勢の部分です。僕と妻は、それを伝えていくことに力を注いでいる感じでしょうか。
――小島さんは、いずれ「小玉屋」さんを継ごうを思っていました?
小島さん:大学院生の頃は迷っていましたけど、実家に戻る前提で逆算して修業の期間と就職先を選びました。有名なお店で自分が「美味いな」と思った料理を学びたくて。
――お家で働きはじめて、びっくりしたことはありませんでした?
小島さん:修業していたイタリアンの店とは単価が違うし「この商売で大丈夫なのか」って気持ちはありました。葛藤があったっていうか。でも両親ともに「もっと良くしたい」って思いが強いから、いろいろな面が変わっているんですよ。社長自らラーメンや寿司の修業に出向いていますし。社長も僕と同じで、実家に入る前の修業期間は3年間なんです。「小玉屋」がリニューアルするまでに修業を終えなくちゃいけなかったので。だから「もっと探求したい」って思いがずっとあるんだと思います。
――ちなみに、いちばん人気のメニューはどれなんですか?
小島さん:ずっとラーメンが人気でしたけど、今は「メキシカンライス」です。「本気丼」などのイベントがある度に目玉にして、ずっとブランディングを図ってきたメニューです。今では地元のソウルフードみたいな存在になったと思っています。
――南魚沼市のブランドきのこ「天恵菇」のメニューも豊富ですよね。
小島さん:お刺身のように食べていただくスタイルは、当店の提案です。
――小島さんは、これからどんなお店にしていきたいと思っているんでしょうか?
小島さん:地元で事業をしていますし、「この地域に貢献したい」って最近よく考えるようになりました。若い人も事業所の数もどんどん減っている中で、地元を盛り上げるためにも、たくさんの方に利用していただくお店にする必要があると思っています。「天恵菇」というコンテンツがあるから、それを商品化して販売していきたいんですよね。メディアに露出することで「浦佐に美味しそうなものがあるな」って、立ち寄ってくれる方が増えるかもしれません。浦佐駅が近くにあるメリットも生かして、地元のためになることをしっかりかたちにしていきたいと思っています。
――今後も期待していますね。
小島さん:今まで通り、地元の方が家族の集まりだとか「ここぞというとき」に足を運んでくれるお店でありたいです。それがお客さまの幸せになって、その幸せが従業員の幸せになるっていうのが、僕の最終目標です。「家族が『小玉屋』で働いているなんて、ありがてぇな」と思ってもらえる仕組みを作りたいと思っています。
ファミリーダイニング 小玉屋
南魚沼市浦佐1355-1
tel/025-777-2072
営業/11:00~22:00
定休日/火曜日