横浜市教育委員会 いじめ自死対応と傍聴動員問題で幹部職員ら処分
横浜市立中学校の生徒がいじめを受けて自死し、その後の対応に問題があった件と教員による性犯罪事件の公判に市教育委員会の職員を動員していた問題に関し、市教委は8月23日、それぞれに関わった職員の処分を発表した。
いじめ自死問題は、2020年3月に生徒が自死し、学校の対応が不十分でいじめの認知がなされなかったもの。その後の基本調査でも市教委が遺族への報告原稿から「いじめ」の文言を削除していたことも問題視されている。
発表された処分では20年度の市教委の人権教育部長ら2人が減給とされたが、同部長はすでに退職している。ほかに、生徒が通っていた中学の校長など計8人が対象となったが、5人は退職している。
傍聴動員問題では、動員の協力依頼を行った学校教育事務所長など6人に戒告、依頼を受けて動員に関与した19年度の総務部長など12人を教育長文書訓戒とした。計18人のうち6人は退職している。
鯉淵前教育長が減給相当額を返納へ
両方の問題が起きた当時に教育長を務め、24年3月末に退任した鯉渕信也前教育長について、市教委はいじめ自死問題では管理監督者としての組織のマネジメントが不十分、傍聴動員問題では意思決定を行った責任があると判断。いじめ自死問題では文書訓戒に相当するとして厳重注意、傍聴動員問題では減給10分の1、3カ月相当の行為とした。
市教委は鯉渕氏を直接処分することはできないが、23日に市役所で山中竹春市長が処分相当の内容を記した文書を手渡した。市教委によると、鯉渕氏は減給相当額の28万2千円を自主返納する意向を示したという。いじめ自死問題については、「至らない点を反省している」、傍聴動員問題に関しては「(動員は)誤った判断に基づき開始したものと受け止めており、意思決定は私の責任のもとで行われたもので、深く反省している」とのコメントを市教委に伝えた。
市教委が23日に行った会見は約3時間に及んだが、下田康晴教育長は出席せず、処分が出たことについてのコメントを発表するのみだった。