【東広島】安心して過ごせる居場所に 不登校経験のある若者たちでつくる「みんなプラス☆コミュプラ」
小・中学校で不登校経験のある東広島市内の高校生以上の若者たちでつくるグループ「みんなプラス☆コミュプラ」は、メンバーが主体となり家でも学校でもない安心して過ごせる第三の居場所づくりを進めている。
(文・撮影 山北)
コミュプラとは
コミュプラとは、コミュニケーションプラスを略したグループ名。高校生らが、コミュニケーションを通してメンバーそれぞれにとってプラスになるものを得ていこうという思いを込めて名付けた。メンバーは、市内の高校生ら5人と、グループを卒業した大学生らのサポーター4人。
2022年9月から活動をスタート。月1回(午後4時~6時)、東広島イノベーションラボミライノ+(同市西条岡町)で定例会を行い、グループワークなどを通してコミュニケーション力や自己表現力を磨いている。また年1回、メンバーの得意なことを生かしたイベント「ミニ展示会とワークショップ」を開催。
定例会の活動
コミュプラメンバー6人が6月12日の午後4時、活動拠点のミライノに集まった。今回は散歩後、イベントの打ち合わせとゲームをする。サポーター4人が話し合い企画した。
早速、みんなでJR西条駅裏の御建神社を目指した。同神社までの道のりをゆっくりと歩き、メンバー同士が気軽に話しながら自分らしくいられる時間を楽しんでいた。
同神社に到着し参拝した後、おみくじを引き、それぞれ「大吉」「中吉」「吉」を引き当てた。おみくじの内容を見せ合い共通の話題で会話が弾んだ。
この後、ミライノに戻り、コミュプラの活動の一環として9月初旬に開くダンスイベントの内容について意見交換した。イベントについて話が盛り上がり、予定していたゲームはできなかったが、みんなが触れ合いお互いを知り合えるようなゲームを考え楽しんでいる会もあるそう。
1年前から参加して、自分の成長を感じているというメンバーのはるかさんは定例会で散策をし、「一人で歩いたら気分が落ちるけど、同じ境遇のメンバーなので話しやすく、一緒に散歩して楽しかった!」と話し、「コミュプラのイベントは、自分が一歩前に出るきっかけになっている」と充実した表情を見せた。サポーターのゆりなさんは「最初は、年が一番上だったのでみんなを引っ張らなくてはと思っていたが、メンバーそれぞれ得意なことがあるのでみんなから学ばせてもらっている」と笑顔だった。
メンバーらは、無理のない関わりの中で少しずつ仲間とつながり笑顔が増え、ここにいてもいいと思える時間を大切につくっている。
コミュプラはメンバーにとってどんな場所?
・同じ悩みを持つ仲間なので、学校では話せないことでも話すことができる。
・自分のペースで自分らしく安心して過ごせる。
・違う学校に通う人と話をしたり、思いを共感したりできる。
・自分がやってみたいことに挑戦できる。
・苦手だと思っていたことが、楽しみになる。
立ち上げのきっかけ
不登校の子どもたちは小中学校までは義務教育の中で公的なサポートを受けられるが、高校に進学すると相談先や居場所などのサポート体制が減ってしまう現状がある。そこで同市教委のスクールソーシャルワーカーの土居和子さんが同市健康福祉部地域共生推進課に相談したことがきっかけで始まった。子どもたちが少しずつ社会につながっていける『場』として、メンバーの「やってみたい!」を応援し、困り事などの思いを受け止めながら、人とのコミュニケーションを学び、自分らしさを見つけ人間関係を楽しめるようにサポートしていく。土居さんは「安心できる場所があれば、みんな発揮できる力を持っている。彼女たちが社会に羽ばたく前の羽休めのような安心できる『場』になれたら」、同課の保健師は「不登校経験のある若者が中学校を卒業してもコミュプラの活動の場があるということを知ってもらえたら」と話していた。
プレスネット編集部