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パーカーズ『君にもらった愛』インタビュー――ポップスも無骨なロックンロールもパーカーズ色で展開する第二章の幕開け

encore

――去年の1st Full ALBUM『POP STAR』のリリースと『POPS 日本代表 VICTORY TOUR』後にバンドとして変わったところはありますか?

豊田賢一郎(Vo/Gt)「自分の中では結構ライブ面で変わったなっていう瞬間が多くて。というのも今までは自分たちの曲を最大限に聴いてもらうスタンスでいたんですけど、そうじゃなくてライブに来てくれたお客さんの一人ひとりと目を合わせてちゃんとコミュニケーションをとることだったり、その日その空間で起きたことを大事にするというか…現場で起きたハプニングだったりそういうのも全部エンターテイメントに変えようっていう心持ちに変わってきましたね」

ナオキ(Gt)「賢ちゃんが言ったことに加えると、“その日にしかできないライブ”ですね。“毎回来てくれる人にも新しさがあるようなライブ”っていうか…“やっぱりこの日も良かったです。今日来て良かった!”って言ってもらえるようなライブを作りたいという気持ちがより深まりました」

ねたろ(Gt)「アルバム制作では、『POP STAR』はパーカーズのそれまでの集大成でした。“ポップスをまとめたよ!”ってアルバムをリリースしたんですけど、その中には意外とロックな曲もあって、アルバムをリリースしてからより“新しいパーカーズを作っていこう”って想いが強くなっていて。『POP STAR』がパーカーズの第一シーズンだとしたら今回のEP『君にもらった愛』は“第二シーズンが始まったな”という感じがします」

――確かに次のフェーズって感じがしますよね。フカツさんはいかがですか?

フカツ(Dr)「僕も『POP STAR』ってアルバムがやっぱりパーカーズの第一シーズンの一つの区切りだったのかな?と思っていて。『POP STAR』の曲って新曲も含めてですけど、今までリリースしてきて人気だった曲も含めてのアルバムだったんですけど、改めて、“こういう曲が求められてるな”とか“こういう曲を聴きたいんだな”っていうのが顕著に現れているなと感じていて。SNSとかの反応を見ていても、そこでも人によってどういう曲が好きだっていうのがあって、そういう声を聞いて作詞作曲の二人に投げて、今回のEPの作詞作曲につながってきたのかな? とは思っています」

――では、もう少しカジュアルな切り口で『POP STAR』後の変化というと?

フカツ「カジュアルな感じだと、プライベートの話になっちゃいますけど、僕たちずっとシェアハウスをしていたんですね、4人で。それが『POP STAR』を皮切りに終わったんです。各々の生活が始まるっていう第二章です(笑)。それで制作の仕方とかも結構変わりました。あとは単純にみんなの素行が分からなくなったというか(笑)、以前は僕が酔っ払って帰って来て叩き起こすことも全然あったんですけど、そういうことがなくなってしまって…」

豊田「本当最悪だから(笑)」

フカツ「今はもうそういうのがないので。家に帰ったら一人だし…」

――いち生活者としてもちょっとムードが変わってきたと。そういうのってバンド活動そのものには影響しないですか?

フカツ「それこそさっき言った制作面だと、前までは一緒のパソコンでやっていたのが各々が自分のパソコンを使って遠隔でやったりっていうのはあるので、そこはバンドとして大きく変わったかなと思いつつも、その結果、作詞作曲二人の“ひとり時間”が結構増えたと思って。ね? なんかあれでしょ、カフェ?(笑)…」

豊田「作曲の仕方もすごく変わって、ずっと憧れていた作り方があったんですけど、カフェに行って作詞をするっていう。カッコいいじゃないですか?」

フカツ「(笑)」

豊田「それがやりたくて、そういうことにチャレンジしてみたり。今回リリースした曲にもつながってくるんですけど、それで生まれた曲もありますし、そういう曲の作り方でさえも新しい挑戦をできるようになったかな?と思います」

豊田賢一郎(Vo/Gt)

――環境を変えて出てくる歌詞って違うものですか?

豊田「やってみて感じたのは景色が新鮮なので出てくる言葉っていうよりかは煮詰まっていたものが新鮮になることによってクリアになってくるので、そういう意味では言葉を選びやすくなったかな?っていうのは感じています。出ないときは一回休憩するんです。例えばサブスクで『ドラえもん』を見たりして一回リフレッシュして(笑)」

――それ、家でやってることとあんまり変わらないような(笑)。

一同「ははは」

――ねたろさんはなにか変わりましたか?

ねたろ「僕はもともと一人の方が集中できるタイプなので、シェアハウスをしていた時はみんながいる時は“集中できないな…”と思いながら制作したんですけど、一人暮らしになってより集中できるようになりました。自分で作ってそれをみんなに投げて、みんながまた送ってきてくれるやり方に変わったので」

フカツ「でもシェアハウスの時も部屋に籠ってたじゃん?」

ねたろ「あ、そうだね(笑)」

――デモの精度は上がっているんですか?

フカツ「多分ねたろくんはひとりの時間がすごく増えたからか分かんないですけどデモのクオリティが確実に上がってきていて、今まで使ってこなかった音色だったり、単純にデモのクオリティ問題とかも全部がすごく底上げされてて、単純に曲を上げてくるスピードも速くなっていて…最近、寝てるのかな?(笑)」

ねたろ「寝てはいる!」

ねたろ(Gt)

――では、収録曲についてお聞きしたいと思います。「I LOVE YOU KIMI NO ZENBU」、ねたろさんはこの曲はどんなところから発想を?

ねたろ「自分は他人に“愛してるよ”って言うことって“恥ずかしい!”と思っちゃうんです。恥ずかしくない人もいるかもしれないですけど、そういう人が多いんじゃないかな?と思って。聴いている時とかライブの時だけは全力でその言葉を叫んでほしいと思ってこの曲を作りました」

――これまで絵コンテを書けそうな歌詞だったのがすごくストレートになりましたね。

ねたろ「そうですね(笑)。もともと僕がMONGOL800が好きなのもあって、モンパチの無骨でいいところを取り入れようと思って作りました」

――私の印象はサンボマスターだったんですよ。

一同「あー!」

豊田「僕ももらった時、そういう印象はありました」

――ソウルっぽい感じもあって。

豊田「熱いラブですよね」

ねたろ「無骨でピュアな感じ!」

――意外ではあったんですよね。アレンジ面での聴きどころはどうですか?

フカツ「送られてきたデモの段階ですごい武骨な感じというか…どストレートな感じもあったので、ドラムも“どストレートに行こう!”って感じで、そんなに難しいことをするっていう考えもなくとにかくストレートに叩いてカッコよくしたいと思いました。フィルインとかでカッコよくしようっていうのはあったんですけど自分の思うままに自分らしく叩いた感じがします」

――ナオキさんのマシンガンギターが新鮮です。

ナオキ「ギターソロは“俺だ!”って感じで弾いたんですけど、それ以外のところは割とシンプルに。歌詞がどストレートなので、歌詞を邪魔したくないと思ったので意外とシンプルなギターの味付けにしてギターソロはカッコよく仕上げていこうかな?っていう気持ちで弾きました」

――ステージの様子が見えるような仕上がりですよね。

豊田「そうですね。本当にライブが見えるような曲です。僕もそういうつもりで歌いました」

――「旅するココロ」は豊田さんの作詞作曲です。一曲一曲のカラーの違いも楽しいEPですが、この曲はどういうところから始まったんですか?

豊田「この曲はまさにカフェで作詞をした曲なんです。初めて作詞から曲を書いてみたんですけど、この曲に込めた思いっていうのは“自分がいつも大事にしている人に教えてもらった感情”とか、“寄り添ってくれる気持ち”とか、そういうものってギュッとまとめて愛だな、人を愛するっていうことだと思って。そういう教えられたものを自分も持って、そういう気持ちで接したくて書いた曲なんです。だからそんな気持ちを純粋に歌詞に込めましたし、ポップさと爽やかさという王道なパーカーズっぽさのあるサウンドで出来たので、すごくいい曲ができたなっていう気持ちです」

――リスナーに対する想いにも聴こえますし、取りようによってはプロポーズソングに聴こえたりもしますね。

豊田「そうですね。聴く人によって本当にいろんな感情が生まれてくるような気がします。ラブソングっぽいんですけど、僕の中ではどちらかというと、いつもお世話になってる人とか大事にしてもらっている人に向けて書いた曲です」

――この曲の歌詞の中にEPのタイトルである<君にもらった愛>というフレーズが出てきますが、これは歌詞の方が先なんですか?

豊田「はい。歌詞の方が先で、ドラムのフカツが“このタイトル、どうかな?”って言ってくれたんです」

フカツ「僕が今回、EPのタイトルを考えさせてもらったんですけど、収録している4曲を通して“愛”っていうのがテーマにできるなと思いました。その中で「旅するココロ」が“愛についていろいろな形がある”っていうのを歌詞で書いているので、この曲からタイトルにするのが一番このEPに合っているなと思って歌詞を抜粋させてもらいました」

――この曲もそれぞれのアレンジが印象的で、特にイントロのギターは曲の情景にハマっていますね。

ナオキ「パーカーズ節が出たギターだと思いますし、ねたろと僕とでは、弾いてるフレーズは一緒のように聴こえて全然違っていて面白いイントロにできたと思います。あと、個人的なことなんですけど、僕、いつも曲を作る時に自分の限界に挑戦したくなっちゃって、ギターのフレーズを毎回すごく難しく作っちゃうんです。それを「旅するココロ」ではやっちゃっていて(笑)、ギターソロに自分が一番苦手なレガート奏法を無理やりブチ込んで、“この曲を弾けるようになればレガート奏法を弾けるようになる!”っていうふうにしました」

フカツ「(笑)。教則本みたいな?」

ナオキ「そう。自分を鍛えるための曲として(笑)、自分でフレーズを作ったんですけど。で、たくさん練習して全然弾けるようになったんですけどね(笑)」

一同「ははは!」

ナオキ(Gt)

――そして「Zoo」はおそらくねたろさんがで一人でチクチク作っているのがわかるというか…。

ねたろ「想像できますか(笑)」

――仕上がりは全然開かれているけど、アイデアは一人から出てきたものなのかな?と思いました。これは人間動物園=Zooってアイディアがあったんですか?

ねたろ「曲を作ろうってなったときに、以前、メンバーが“動物園をテーマにしてほしいな”って話していたのを思い出して、“なんで動物園なんだろうな?”と思ったんです。特定の動物じゃなくて動物園ってなるとちょっと難しいな…と思いながらもこの曲を作ったのは覚えています」

――そんなに多くないですけど古今東西、人を動物に喩える曲はありますね。

ねたろ「まさにそうですね。動物園を人の人間関係に比喩して、“みんなと同じとこも愛するけど、違うところも愛するようになったらいいな“と思って作った曲です」

――動物が具体的に登場する箇所はライブで楽しみですが、でそういう意味では振り切っていますよね。

フカツ「かなり振り切った感じがします。初めて一人ずつがこれを歌うっていう…」

――誰がどの動物なんですか?

ねたろ「僕が猫で」

フカツ「僕が熊で、ナオキが狼で豊田がネズミです。<くまさん余計なおせっかい>とか<ネズミさん愛を確かめたい>とかなんですけど、猫だけなんか軽い…<猫さんいつも気まぐれだぜ>って(笑)」

ねたろ「軽いですよね(笑)」

フカツ「あたり障りないこと言ってる。これは作者の悪意を…」

ねたろ「ははは。そんなことはない(笑)」

――動物を比喩として出したことでむしろ愛について書きやすくなったのでは?

ねたろ「そうですね。メンバーのことを思い浮かべながら作ったっていうか、例えばフカツくんはすごくお酒を飲むけど僕はあまり飲まない。でもフカツくんの気持ちもわかってあげたいなという意味でお酒飲んで“ああ確かに楽しいな”と。そういうのがわかるとよりそのメンバーに対しての愛が深まると思って作った曲です」

――なるほど。この曲はすごくビートがタイトで。

フカツ「今までのパーカーズの曲で一番レコーディングに時間がかかってしまいました。一番手こずってしまった曲です。これまでこのテンポ感でこのリズムの感じをやったことなくて、むしろそういう意味で思い出深いです。なおかつ、動物園だからちょっとジャングル感を出したくてタムでリズムを刻んだりいろいろやっていたらとても難しくなってしまって…。かなり手こずりましたけど、いい感じに仕上がりました」

フカツ(Dr)

――ラストの「GOOD DAY」もドラム始まりですね。

フカツ「そうですね。もともと“お散歩の曲だよ”って豊田から聞いていて、“お散歩かぁ”って考えながら叩いたら、「Zoo」と真逆なんですけど一番すんなりレコーディングがうまくいった曲です。お客さんもこのビートを聴いてルンルンしてくれるようなビートを叩こうって考えながら叩いたらツルッとうまくいって。このEPの中で唯一シャッフルのリズムなんですけど、今まではどちらかというとパーカーズって基本そっちなんです。でも今回は唯一「GOOD DAY」だけそのリズムだったので、逆に“パーカーズ節をここでドラマーとして出していかないと!”っていうのもあって気合いが入った曲ではあります」

豊田「お散歩とか時間に追われない瞬間がすごく好きなんです。そういう曲を書きたいと思って「GOOD DAY」を書きました。“もう自分じゃないか?”っていうくらいかなりプライベートなところを書いていて、起きたらいつも寝癖すごいし別に誰に見せるわけでもないんだけど一人で洋服合わせちゃって、“今日はこれ着ていこう”ってやるんですけど、そういうのをいい意味で露骨に書けた曲です。その上で、聴いてくれる人に向けて作りたい歌なので、背中押せるじゃないですけど、2AからCメロの詞は聴いてくれるリスナーに向けて書きました。“いいことばかりじゃないけどそういうのも噛みしめていい日にしていこう、前に進んでいこう”って曲です」

――確かに<悲しい思い出ぎゅっと抱きしめて>という一行があることで、より曲に入り込めますね。

豊田「そうですね。そうじゃないといい日ってわからないですよね」

――2月15日からは対バンツアー『PERKERS SPRING TOUR「I LOVE YOU KIMI NO ZENBU」』が始まります。少し先輩バンドが多いんでしょうか?

フカツ「大先輩です。reGretGirlとかthe shes goneはそうですね。“ずっと対バンしてみたい”っていう思いがあった中で、今回僕たちのツアーに出てもらえて本当に楽しみな日になりそうです」

――そしてファイナルの東京はリキッドルームでワンマンですね。

豊田「最大キャパです。挑戦します!」

――どんな展望がありますか?

フカツ「これまでの僕たちの中で一番大きい会場ってのもあるので、もちろん人数もそうですけど、前回、渋谷CLUB QUATTROでのワンマンのときには出来てなかったライブパフォーマンスだったりセットリストも含めてお客さんが“前回と全然違う!”と思えるようなライブにしたいです。全編において何回お客さんをドキッとさせられるか?っていうのが僕の中でライブの勝負だと思ってるのでリキッドルームではいろいろ仕掛けを作りたいと思っています。楽しみにしていてください!」

(おわり)

取材・文/石角友香

RELEASE INFROMATION

2025年1月15日(水)配信

パーカーズ『君にもらった愛』

LIVE INFORMATION

【対バン公演】
2月15日(土) 千葉 LOOK w/ プッシュプルポット
2月22日(土) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK w/ bokula.
2月24日(月) 静岡 UMBER w/ TRACK15
3月9日(日) 仙台 enn 2nd w/ セカンドバッカー
3月15日(土) 広島 CAVE-BE w/ reGretGirl
3月20日(木) 福岡 LIVEHOUSE CB w/ シンガーズハイ
3月22日(土) 名古屋 SPADE BOX w/ the shes gone
3月23日(日) 大阪 Music Club JANUS w/ Arakezuri

【ワンマン公演】
3月28日(金) 東京 恵比寿LIQUIDROOMPERKERS SPRING TOUR「I LOVE YOU KIMI NO ZENBU」

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