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和歌山毒物カレー事件を検証する映画『マミー』が公開。メディア報道の問題点について考える

文化放送

8月30日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーで、ジャーナリスト・青木理氏を招き、ニュースとメディア報道について話を伺った。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「今月、1998年に起きた和歌山毒物カレー事件を検証する映画『マミー』が公開になりました。和歌山毒物カレー事件は1998年7月のことでした。夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入。67人がヒソ中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡しました。そして、犯人と目されたのは近くに住む林真須美。顔も名前も皆さんよく覚えていると思いますが、凄惨な事件にメディアスクラムは本当に過熱を極めたと思います。彼女は容疑を否認したんですが、2009年に最高裁で死刑が確定ということで、今も獄中から無実を訴えて続けています」

長野智子「『マミー』は大変評判で。たくさんの方がいま観に行っているということなんですけど、ちょうどあたしは今日の収録の前に二村真弘監督と対談をしてきて、その中で二村監督が言っていてすごく印象的だったことがあったんですね。というのは『マミー』って、林真須美死刑囚は冤罪なのではないだろうか、って結構巷で言われていたんですけども、それを直球で立証していくっていうことはあまりみんなしてこなかったですよね。二村さんは一つ一つのポイント、裁判でも証拠となったポイントっていうのを、この映画の中でどんどん消していってるんですけども。なんで二村さんが言ったことが印象に残ったかっていうと、すべてのことを立証していったんだけれども、映画の中で取材を通して二村さんが知り得た情報・内容のほとんどを、実は主要メディアの記者やディレクターたちに聞いたら、彼らは把握していたんだということを言ったんですよ。だけども彼らは冤罪の可能性を全く報じてないじゃないですか。で、二村監督と現場で知り合った若い記者が言っていたのが、冤罪の可能性を記事にしても上司にボツにされました、と。そうした上司たちは事件当時に現場を取材して、林真須美が犯人に間違いないと書いてきた人たち。で、ボツになったっていうことを聞いて、これが非常に恐ろしかった。いろんな疑問があるにも関わらず、放置してここに至っているのは誰の責任なのか、っていう問いかけを二村さんがしていて、青木さんにもこのあたりを是非伺いたいです」

青木理「事件当時に取材をしていないので軽々なことは言えないんですけども、のちに(この事件の)弁護人になられた弁護士さんが以前から親しく取材させていただいている方で、その方から聞いたことで言うと、少なくとも死刑っていう刑罰を課すほど確固とした証拠がある事件では全くないということなんですよね。そういう意味でいうと、こちらは僕が本当に取材をしたんですけども、福岡で起きた飯塚事件。こちらも『正義の行方』っていうドキュメンタリーが非常に話題になって、こちらは僕も観て感動するような映画でしたけれども『この証拠で死刑になって大丈夫なの?』と。『もしかしたらそれは犯人かもしれないけれども、それは犯人じゃない可能性も充分あるよね?』っていうようなケースで命を奪う刑罰を課していいのか、っていう問題点がある。一方で、このカレー事件っていうのは林真須美氏と夫の健治氏が、いわゆるヒ素を使った保険金詐欺をやってきたっていうのは、これは間違いないようなんですね。だからつまり、逆に言えば保険金詐欺をやるような人たちが、言葉は悪いけれども、カレーにヒ素を入れても1円もなりやしない、と。そんなことやるのか、っていう疑問が決定的に湧くんですけれども。『でもそういう保険金詐欺をやってきたような悪いやつが、カレー事件で捕まったというんだったら、もうしょうがないんじゃないの?』っていうようなところで、メディアも世間も思考停止しちゃっているところはあると思うんですよね。ただ、『本当にそれでいいんですか?死刑でいいんですか?』っていうあたりは、我々は深刻に問わないといけない問題だなぁとは思いますよね」

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