住民の絆つなぐライトアップ花見会 栗林町砂子畑で4年目の開催 “笑顔”も咲く
釜石市内の桜前線が市街地から山間地域に移る中、同市栗林町砂子畑地区では19日夜、ライトアップした桜を愛でる花見会が開かれた。地元町内会「砂子畑共正会」(栗澤陽一会長、113世帯)が主催する地域交流行事の一環。今年で4年目の開催で、約30人が飲食を共にしながら、楽しい時間を過ごした。
ライトアップされたのは、市指定文化財(天然記念物)の巨木「明神かつら」からほど近い、鵜住居川沿いの私有地に生えるソメイヨシノ。土地所有者の藤原信孝さん(76)の弟啓二さん(故人)が1985年ごろに植えたもので、根本から7本に分かれて幹を伸ばす姿が独特の樹形を生み出している。背後の藤原さん宅の庭には、同時期に濃桃色の花を咲かせるハナモモの木などがあり、開花時期には3色の花が競演。川をはさんだ対岸を走る県道釜石遠野線からも目に付く春の光景となっている。
藤原さんによると、今年の桜の開花は例年より2~3日遅かった。当初、花見会を予定した12日時点では2~3分咲きだったため、1週間延期してこの日の開催となった。その間に風雨に見舞われる日もあり、花は満開のピークを若干過ぎていたが、ライトに照らされた桜は例年通りの存在感を放った。
参加者はビールやお茶を飲みながら、おでんや焼きそば、ホルモン焼きなどを食した。近所に住む女性(78)はライトアップされた桜を眺め、「すてきだよね~。見ると気持ちが浮き浮きする」とにっこり。「こうしてみんなと話をするのも好き。いろいろな情報も入るので。他にも行事をやってほしい」と望んだ。
桜のライトアップは栗澤会長(65)が発案。新型コロナウイルス禍で2年ほど町内会行事ができなかったこともあり、感染拡大が収束に向かった2022年に初めて試験的に実施した。夜桜を見ながらの飲食も解禁。以来、町内会行事として継続している。栗澤会長は「今年は開花時期が読めなくて、周知がうまくいかなかったところもあるが、開催できて何より。会は世代間交流の場にもなっている。少子化などで人口減は避けられないが、そうした中だからこそ大切な機会。ぜひ、これからも続けていきたい」と話した。