海中転落事故防止へ釜石海保など啓発パトロール 夜釣り楽しむ人へ「装備しっかりと」
夜釣り中の事故を防止しようと、釜石海上保安部や釜石警察署などは22日夜、釜石市の釜石港と唐丹漁港で合同パトロールを行い、釣り人へ注意を呼びかけた。この時期は日暮れが早く、海水温も低下するため、転落すると発見の遅れや低体温症による危険性が高まるという。そのため、第2管区海上保安本部の管内では11月を「釣り海難防止活動期間」として注意喚起している。
この日は、同保安部と同署、市、岩手県沿岸広域振興局の職員ら約10人が活動。夜間の寒さが増す冬季は気象条件が厳しい反面、漁港の街灯下にイカなどが寄ってくるため釣り人も少なくない。港内もそうした狙いを持った人たちの姿があり、釣り人一人ひとりに注意を促すチラシを手渡した。
港近くで働く関渡さん(75)は、仕事終わりに釣りを楽しむのが日課。この日も顔なじみの釣り人らと岸壁から釣り糸を垂らしていた。ライフジャケットは着用していたが、事故防止の声がけに「海に落ちたら大変だからね。安全に楽しみたいし、気を付ける」と再確認。狙いのヤリイカは「久しぶりの大漁」だったようで、“いか”にして味わうか考えを巡らせた。
同保安部交通課によると、県内では昨年までの5年間に釣り人の海中転落事故が18件発生。うち夜間に起きたのは12件で半数以上を占める。原因は岸壁などからの足の踏み外し、つまずきなど“不注意”が多いという。
今年は既に3件発生。うち1件が夜釣り中の事案で、釜石市内で起こった。いずれの事故もライフジャケットは未着用だった。
港内を巡った同課の美野重和課長は「救命胴衣を着けていない人が多かった。命に関わる事故に発展しかねないので、万一のために着用を心がけてほしい」と強調。加えて、▽気象や海象を確認し無理な行動はしない▽単独行動は控え複数人で行動する▽危険な場所には立ち入らない▽釣り場環境に応じた装備の選択を▽海の緊急通報は118番―といったポイントも呼びかける。