【福崎町】沙羅の寺「應聖寺」♪1日しか咲かない花の魅力とは?書院から眺める庭園も絶景!
梅雨の時期になると清らかな白い花を咲かせる「沙羅(さら)」。1日で散ってしまう“はかなさ”に魅了される人も多く、仏教と深い関わりがある花としても知られています。2025年の開花は例年通りの予想で、6月下旬が見ごろ。沙羅を愛した先代住職の思いがあふれる福崎町の花の寺「應聖寺(おうしょうじ)」を訪ねてみませんか。
・花の寺「應聖寺(おうしょうじ)」
関西花の寺の第8番霊場「應聖寺(おうしょうじ)」。白雉年間(650年ごろ)にインドの僧・法道仙人によって開基し、南北朝時代には播磨国守護・赤松則祐の祈願所として繁栄しました。江戸時代には姫路城主が訪れ、その遺品が残っています。
桜の時期が終わると境内は花でいっぱいに。アヤメやサツキ、シャクナゲなどが一斉に咲き始め、色鮮やかな花で彩られます。
なかでも注目してほしいのは、6月中旬~7月上旬に純白の花を咲かせる沙羅の花。
別名ナツツバキとも呼ばれ、朝に咲き、夕方には散ってしまう“はかなさ”に心を打たれる人も多いのでは。2025年の見ごろは6月下旬だそう。
・先代住職と沙羅にまつわる不思議なエピソード
お釈迦(しゃか)様の入滅を現した涅槃(ねはん)図の四隅に描かれているほか、平家物語の一節「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」にも登場するなど、誰もが一度は耳にしたことがある花です。
※入滅…亡くなること
※涅槃図…亡くなる様子を描いた絵図
仏教と縁の深い沙羅に魅了された先代住職は、境内に約200本の木を植え、大切に育てました。
19年前の6月2日に亡くなったとき、まだ咲くはずのない花が一輪だけ咲いたそうです。きっと大好きだった沙羅に見守られていたのかもしれませんね。
・季節によって衣を替える涅槃仏がお出迎え
山門左には「涅槃(ねはん)の庭」があります。四隅には沙羅の木が植えられ、涅槃図を立体的に表現。春にはサツキやツツジ、初夏になると衣は緑一色で覆われ、季節によって衣を替えます。穏やかな顔で眠る涅槃仏を見ているとほっこりした気持ちになります。
・本坊裏にある名勝應聖寺庭園もお見逃しなく!
本坊裏には山の斜面を利用し、大小の石を巧みに重ねあわせた江戸時代前期の名勝・應聖寺庭園(県指定文化財)があります。※別途、庭園拝観料500円が必要(抹茶と和菓子付き)
書院から庭を見ると、サツキやモミジ、山野草に彩られ、まるで襖(ふすま)絵を見ているかのよう。
SNSで話題になったのが、書院に置かれている座卓に庭園の景色が写り込んだ写真。黒光りする座卓に緑の木々が映る位置を探してシャッターを切ると幻想的な写真を撮ることができます。スマホやカメラ持参で、インスタ映えする一枚を狙ってみては?
書院に入ると出てくるのが抹茶と銘菓「沙羅」。
涅槃仏を作った先代住職が沙羅のつぼみをイメージして考案しました。真っ白い羽二重餅の中にほっこりした甘さの黄身あんが入っていて、1911(明治44)年に創業した姫路の和菓子店「杵屋(きねや)」から販売されています。
沙羅の時期には、お寺でも購入することができます。
・庭の山野草や蓮、花手水も見どころの一つ
境内一帯には約1,000種類を超える山野草が季節ごとに花開きます。山野草の魅力は飾らず、控えめな姿。ひっそりと咲く花を探すのも楽しみの一つ。
6月下旬~7月下旬まで、本殿前に並べられた鉢では蓮(はす)が花を咲かせます。蓮も仏教と深い関係があり、仏の慈悲(じひ)や悟りを象徴する花。雨上がり、葉に水滴が乗ると、コロコロと転がる様子を眺めるのも心癒されますね。
※慈悲…他者に対して楽を与え、苦しみを取り除きたいと願う心
手水舎には沙羅が咲く時期と同じころ、見ごろを迎えるアジサイが浮かべられ、境内に彩りを添えます。
耳を澄ますとどこからともなく聞こえてくるカエルの鳴き声。庭園の池に張り出す木の枝には6~7月ごろ、泡に包まれたモリアオガエルの卵を見ることができます。
心も体もリフレッシュしたい人は、静寂に包まれた「應聖寺」で、沙羅の花を眺めながら、のんびりした時間を過ごしてみては。
■詳細情報
■DATA
沙羅の寺 應聖寺(さらのてら おうしょうじ)
所在地
兵庫県神崎郡福崎町高岡1912
電話番号
0790-22-1077
営業時間
拝観時間:9:00~17:00