南大沢小 薬の働きや工夫を体感 全薬工業が出前授業
地域資源を生かして子どもたちのキャリア教育の推進や郷土愛の醸成などにつなげようと、市立南大沢小学校(安田尚民校長)は今年度、学校周辺にある企業と連携した特別授業を展開している。2月12日には南大沢に研究開発センターを構える全薬工業株式会社の社員を学校に招いた授業を、6年生を対象に実施した。
同校では今年度、南大沢の豊かな地域資源を生かして街づくりと学校づくりの連動を追究する「南大沢ブランディング教育構想」を立ち上げ、近隣の企業や大学などに連携を打診。CSRなどの観点からこれに賛同したJQA(日本品質保証機構)、ヤマザキ動物看護大学、東京都立大学と施設見学や出前授業などの連携を実現している。安田校長は「学校内や映像教材だけでは得られない説得力のある授業が実現し、きっと児童一人ひとりの心に残る。今後も連携の輪を広げていくとともに、学習成果の発表や発信に力を入れていきたい」と展望を語った。
製薬に興味津々
この日は同センターから5人が南大沢小を訪れ、「薬の正しい使い方」をテーマに講義と実験を行った。児童らは薬の種類や働きについてクイズ形式を交えて楽しみながら学んだ後、成分が腸で溶けるように設計されている薬などの研究が同センターで行われていることを知った。
また「薬をジュースで飲むとどうなるか」を確認する実験にも取り組み、胃薬に見立てた重曹を入れたジュースから泡があふれる様子に驚きの声を上げた。講師を務めた社員からは「薬を体の中できちんと働かせるためにも用法・用量を守って、水かぬるま湯で飲むようにしてほしい」と注意が呼びかけられた。社員から業務内容ややりがいなどについて話を聞く時間も設けられ、児童からは「安全な薬が販売されるまで10年以上もかかることがあると知って驚いた」「将来、自分も薬の開発をしたい」などの感想が出た。
同社は「当初は施設見学を希望されていたが、研究施設のためノウハウのある出前授業という形で協力させてもらった。全薬グループでは次世代を担う子どもたちのキャリア教育支援に取り組んでおり、今後も近隣の学校などからの要望にできる範囲で応えていきたい」としている。