宮島に設置されたスマートごみ箱が活躍中 一方で早くも改善点が見えてきた「鹿のゴミ漁り」
2024年8月8日から観光地・宮島に試験導入されているIoTスマートゴミ箱「SmaGO(スマゴ)」。設置から2週間近く経過したのでその様子を取材してきました。
SmaGO(スマゴ)とは
ゴミ箱内のセンサーにより、投入されたゴミを自動的に約5分の1まで圧縮する機能があり、またゴミ箱内の量がクラウドで把握できることからゴミ回収作業の効率化を図ることが期待されているスマートゴミ箱。ゴミの散乱を抑制し、宮島特有の課題である鹿のゴミ誤食を防止する観点からも成果が期待されています。
宮島にはゴミ箱が少ない
宮島には鹿が多く生息しており、観光エリア内も自由に歩き回っています。その多くが人を警戒せず、観光客が持っている食べ物や紙、そしてゴミを狙っており、隙あらば食べてしまいます。そのため、ゴミが漁られないよう屋外にはほとんどゴミ箱が設置されていません。食べ歩きが楽しい宮島において、ゴミを捨てる場所が少ないことは悩ましい問題となっています。
評価される取り組みの一方で課題も
SmaGO(スマゴ)が設置されているのは宮島口のフェリー乗り場正面と宮島島内の表参道商店街にあるおもてなしトイレ横の2ヶ所。おもてなしトイレでは元々館内にゴミ箱が設置されていましたが、SmaGOの設置により許容量が倍以上になったことと、通りを歩く観光客の多くが目に留まりやすい場所に設置されたことで便利になりました。
一方で、飲み残し用のゴミ箱にはトレイの上にゴミが捨てられることがあり、このゴミを狙って鹿が集まってしまっています。
筆者が訪れた際は、ドリンクに加えられているレモンや牡蠣の殻がトレイに溜まっていました。
このトレイは鹿が届かない高さに設計され、さらに縁があることでゴミが漁れないように対策されていますが、トレイへ無惨に捨てられたゴミが手前に残ってしまった場合、身体の大きな雄の個体が届いてしまう場合があります。
おもてなしトイレ横のスマートゴミ箱では、一度ゴミを食べることに成功した鹿が味をしめて毎日のように訪れてはゴミを狙っているようです。
観光客の中には、鹿が一生懸命首を伸ばして食べ物にありつこうとするその光景が愛らしく映ることがあるようで、見守る姿もありました。
宮島の鹿には食べ物を与えないように注意喚起されていますが、可愛さ余って食べ残しなどを与えてしまう観光客などで多くの鹿が人間に懐いています。この影響で、周りに多くの人が集まっていても、我関せずと言わんばかりにゴミ箱のトレイを漁る状況が生まれており、今後の改善が必要であると考えられます。