天神・博多駅界隈で食べるべき【豚骨ラーメン5選!】
アクセス至便な天神・博多駅周辺で絶対食べるべき豚骨ラーメンを、ラーメンライター上村敏行がセレクトしました。やっぱりここは外せない! 王道店だけでなく、中心地でも意外に知られていない名店をラインナップしています。出張、観光で福岡を訪れる方に胸を張っておすすめできるのはもちろん、地元民も改めて啜ってほしいバリうまの麺々。要注目です。
味ほ(博多駅前)
「博多駅前にそんなラーメン店あったっけ?」
地元福岡市民でも知らない人が多いかもしれません。
場所は大博通り北側の博多駅前1丁目。福岡中心部ですが、観光エリアとしては意外に盲点となっている裏通りに豚骨ラーメン店「味ほ」(みほ)はあります。2019年のオープン以来、僕はこの店を多くの方に薦めてきました。特にJR利用の出張客から「帰る前にうまい豚骨ラーメンが食べたい」との要望があった時に重宝しています。ど定番ではない、程よい穴場感がありますし、何より味は一級品ですから。皆満足してくれますね。
「味ほ」は、雑餉隈にある名店「味心」のラーメンに感銘を受けた店主が修業の末、「味」の一字をもらい開業した店です。メニュー表にある定番の「ラーメン」(650円)は、「味心」に習った“豚骨醤油”ラーメン。茶褐色スープを飲むと、豚骨らしいパンチとともに醤油ダレの優しい甘さが口一杯に広がります。そして、スープがむちゃくちゃ“熱々”なのがいいですね。ぬるくないのは最低限。と思われるかもしれませんが、とにかく熱っ! となるくらい高温で、替え玉の時までしっかりほかほかをキープ。これは、スープにブレを出さない狙いも含めて手鍋仕立てにしているということと、丼自体も茹で麺機の上にさらしてしっかりと温めているからなんです。「最高の状態でお出ししたい」との店主の丁寧な手仕事がカウンター越しに感じられて好印象ですね。厨房の掃除も細かいところまでが行き届き清潔感があります。ジャンルでいうと醤油豚骨の「ラーメン」のほか、キリッとした昔ながらの「しおとんこつラーメン」もあるので、食べ比べてみてください。
博多ラーメン 二代目けんのすけ 天神本店(天神)
「天神のど真ん中で、猛々しい呼び戻し豚骨ラーメンが味わえる」。
「博多ラーメン 二代目けんのすけ 天神本店」の魅力はそれに尽きます。
というのも豚骨ラーメン、特に複数の釜のスープを操り熟成させる“呼び戻し”手法のスープは、芳しい豚骨フレーバーの排気などの問題もあるため、繁華街や住宅地で炊き出すのはいろいろとハードルがあるんです。同店はそれらをクリアし、2020年12月、天神中央郵便局近くにオープンしました。
厨房に直径60cmの大釜をドスンと据え、荒々しさも適度に感じる極上の特濃スープを仕込んでいます。カウンター越しに見られる釜の中で煮込まれている豚の部位は、ゲンコツと背骨。甘味とこってり感を出すために豚の「背脂」はよく使われる材料ですが、よりねっとりとした粘度を生む「腹脂」を使っているのが“けんのすけ流”です。
「味玉ラーメン」(840円)は、一口目からハッ!とするインパクトがあります。
大名にある「ジョーキュウ醤油」のタレが、重厚感のあるスープにふくよかな甘味を添えていて、文句なしのうまさですね。
サイドメニューでは、チャーハンがテッパンですが、実は天津飯も推し。
爽やかな酸味のあるとろみあんが、濃厚豚骨スープとよく合います。
天神エリアで、豚骨スイッチが入ったら迷わず駆け込んでください。
中洲川端 きりん(上川端町)
場所は中洲の繁華街から歩いてすぐの上川端。
なんてったって“ほぼ24時間営業”ですから、この近くに宿を取った出張者も、飲み会帰りの人も、思い立った時に啜れる頼もしさ。そして安定のうまさでプッシュいたします。
「豚骨ラーメン」(650円、写真は煮卵入り750円)を目の前にして、最初に思うのは「スープがなみなみっ!」
運んでくるスタッフも、こぼさないようにおそるおそる持ってきてくれます(嬉しいけど、大変そう……)。
あふれんばかりに注がれた日本酒のように、まずは口を丼の縁に付けて豚骨スープをズズリ。はぁ〜、体全体にスウ〜と染み渡る……。
スープ自体の豚骨濃度は決して高くはなく、どちらかというと昨今注目が増している“博多シャバ系”や“食堂系”です。けれども、豚骨から染み出た自然の脂や醤油ダレの優しい甘さも相まって、物足りなさを感じさせないうま味、コク深さが次々と押し寄せてくるんです。
「製麺屋 慶史」に特注している麺は一般的な博多ラーメンよりやや太めで、心地よいツルモチ感。麺の形状や太さの好みも人ぞれぞれですが、僕的にはこれがベストですね。
大判で柔らかい豚肩ロースのチャーシューもうまいです。
ラーメン1杯650円で、卓上のキムチ、豚味噌が自由に取れるのもうれしいポイント。
20種の乾物を合わせた「醤油ラーメン」や「つけ麺」など、メニューのバリエーションもあるので、何度でも通いたくなる店です。
博多だるま 総本店(渡辺通1丁目)
「博多だるま」は、博多ラーメンの横綱格として有名ですから訪れたことのある方も多いでしょう。秀ちゃんこと河原秀登さんが今は亡き父親より継承した1963(昭和38年)創業の老舗です。実は昨年の12月、58周年を迎えたタイミングで渡辺通「総本店」のみ、他系列店では味わえない“原点の一杯”に戻していることをご存知でしょうか。
同店はもともと超濃厚な豚骨ラーメンが顔ですが、さらに上をいく厚み、どっしり感のあるラーメンとなりました。
豚骨ラーメンは一般的に、苦味やエグミが出る“あたり”(釜の底に溜まった骨や骨粉が焦げ付くこと)はタブーとされていますが、昨今福岡では“昭和の豚骨ラーメンの愛すべき点”として逆に見直されています。
秀ちゃんは先代の製法を踏襲しながら“あたりも美学”と捉え、往年のファンには懐かしく、若い客には新鮮さを感じる豚骨ラーメンを作り上げました。
私自身食べた瞬間、あまりの感動に「むちゃくちゃうまい!」と厨房に向かって叫んだほどです(変な客だったでしょうけど)。
半世紀以上前にこの激うまの豚骨ラーメンが当たり前にあったとするならば震えます。
編み出した秀ちゃんのお父さん・登さんは本当に天才ですね。
「博多だるま」は各地に展開していますが、「総本店」でしか食べられないラーメン。
これは絶対に啜らなきゃダメですよ。
博多一双 博多駅東本店(博多駅東)
「博多駅周辺で最も長い行列を作るラーメン店は?」
そう。
間違いなく「博多一双 博多駅東本店」です。
スープを脂泡(しほう)が覆った通称“豚骨カプチーノ”。
量は違えど元来、豚骨ラーメンにつきものであった泡を、よりキメ細やかに丁寧に立て、
「本物の豚骨ラーメンの証」として昇華した同店の功績はとても大きいと思います。
言わずと知れた名店ですが、改めて啜ってみるとやっぱりうまいですね。
泡=濃厚のイメージが先に立ちますが、意識しながら食べると実は、口当たりをライトにしてくれている効果もあることに気付きます。
レンゲですくったスープの表面、そして麺に絡んだ細かく大量の泡が口で優しく弾け、スルスルと入ってきます。パンチがありつつ老若男女食べやすい人気の理由はこの辺にあるのかもしれません。
そして、店主の山田兄弟の人柄、どんなに人気店になろうと謙虚に、より高みを目指す姿勢がいいですね。彼らの思いに賛同し集まった職人たちも皆、ホスピタリティにあふれていて接客も気持ちがいいです。
「博多 一双」は今年、創業10周年という節目で、さまざまな展開を予定しています。
秋頃には大々的な周年祭も行うとのこと。
楽しみですね。
《味ほ》
福岡市博多区博多駅前1-29-49
《博多ラーメン 二代目けんのすけ 天神本店》
福岡市中央区天神1-13-13
092-713-7113
《中洲川端 きりん》
福岡市博多区上川端町9-151
092-292-6563
《博多だるま 総本店》
福岡市中央区渡辺通1-8-25
092-761-1958
《博多一双 博多駅東本店》
福岡市博多区博多駅東3-1-6
092-472-7739
※掲載しているメニューや価格は取材時のものです。お店のSNSや電話等で確認の上、訪問してください。