とっておきのヴィンテージデニム。辻本仁史さん
特別な思い入れや、のちに自分の人生を大きく左右することになったなどの理由から、なかなか手放せないというヴィンテージデニムが、ファッションの賢人たちにも存在するはず。辻本仁史さんにとってのそんなとっておきデニムは、ブランドや年代に左右されずアート性の高さを重視したカバーオール。見せてもらいつつ、そのストーリーを訊いた。
UnKnown Paint Custom Denim Overall
完成度の高いプロダクツで世界的に高い評価を受けるThe REAL McCoy’sの代表を務める辻本氏。クルマ、自転車、カメラを筆頭に幅広い趣味人としても知られている。これまで数多くのヴィンテージを手にし、触れてきた彼にとって、とっておきのヴィンテージとは、この世に1着だけのペイントカスタムが施されたデニムカバーオールだ。
「ブランドや作られた年代には、まったくもって興味がなくて、このジャケットはブランドタグすら見つからないノーブランドですが、ハンドペイントを含め、ジャケットが放つ全体の雰囲気やオーラが格好良いので、数十年前から、気に入って頻繁に着用しています。サイズも比較的大きなジャケットで、自分のサイズにぴったりと合っているため、普段から気兼ねなく愛用しています。服に関してはコレクターではないので実際に着ているものばかりです」
ベースとなっているカバーオールは、ペイントから推測するに1962年以前に作られたもの。フロントは比較的落ち着いたペイントカスタムだが、背面には音を奏でるアヒルのグラフィックが堂々と描かれるアート性の高さ、そして何よりも唯一無二なデザインであることが辻本氏にとって「とっておき」となっているのだ。