上質なイタリアン×ソムリエ厳選ワイン!みなみ野『COLTa』でかけがえのないひとときを
八王子みなみ野駅から10分程度歩いたところに、大切な人と過ごす時間にとっておきのイタリアンがあるのでご紹介したいと思います。「本当は教えたくない!」「プライベートで行きたい!!!」と、切実に思いながら取材してきた珠玉のお料理とワインのレポートをご覧ください!
木のぬくもりを感じるシックでセンス溢れるお店
ランダムに木材を配したおしゃれなドア。大きな窓は光を取り込み、観葉植物が店先を彩ります。
所在地:東京都八王子市西片倉2-12-14 アルカディアみなみ野102
中に入るとセンターテーブルに季節の植物が。座席は座り心地のいいソファと椅子が並び、ゆったりとした席間です。
ランチフルコースとソムリエが選ぶペアリングワイン
今回は、『MENU DI PRANZO(ランチフルコース)5500円』をいただきました。スープ、冷菜、パスタ、魚料理、肉料理、デザートが楽しめます。ドリンクは、ワインや自家製カクテル、クラフトビール、ソフトドリンクから選んで注文できます。
また、ランチタイム限定の『昼のみお試しワインペアリング』をお願いすることにしました。ソムリエが常駐してらっしゃるので、お料理とワインのペアリング、味わいのマリアージュが楽しみです。
ペアリングワインセットは4種類を楽しむことができます。スープと冷菜、パスタ、魚料理、肉料理にそれぞれ合わせて出していただきました。
八王子産 春蕪のポタージュ
最初は温かいスープ。味わいのある焼き物の器に入ってやってきました。温かみのある柔らかな白いポタージュに、蕪(かぶ)の角切りと葉、オリーブオイルがかかっています。顔を近づける前から、あたり一面を優しい蕪の香りがふんわりと広がります。
いただいてみると、なめらかで濃厚な口当たりの上品な味わい。甘みはふわっと優しく、後味はあっさりとしています。絶妙な硬さの蕪の食感と、シャキシャキとした歯触りの葉、オリーブオイルの軽やかな青みから、春らしさを感じます。
桜鯛のタルタル
桜鯛、うど、ホワイトアスパラを2週間塩水に漬けて、かつおだしでまとめた一品。弾力を感じる桜鯛の食感と、うどとアスパラのシャキシャキとした食感が楽しい!かつおだしが上品に香り、洋の味わいを保ちつつ和を感じる旨みが味わえます。香味野菜がふわっと香り、野菜から感じられる甘さとほのかな苦みが多層的な味わいを創り出しています。
1杯目:クレマン ド リム―(フランス/泡)
シャンパーニュと同じ、瓶内二次発酵で造られている南ラングドックのスパークリングワイン。泡は細かくて強く、口の中でなめらかに弾けて気持ちいい飲み心地。青リンゴを思わせる軽快な甘酸っぱさ、アプリコットのような味わいも感じます。余韻に心地よい酸味とほんのりとした甘みが続き、その中に発酵感がわずかに感じられて上品です。
最初の温かいスープの優しい甘さには、クレマンの爽やかでフルーティーな甘酸っぱさが合っているなと感じました。桜鯛のタルタルをいただくころには少し温度が上がり、最初よりアルコール感と発酵感が感じられるようになっていて、タルタルの後味とクレマンの後味が全体に奥行を出していたように感じました。
自家製サルシッチャと八王子産筍 アーリオ・オーリオ
腸詰め前の状態のサルシッチャのジューシーな肉の旨みとハーブの香りが、まずは口の中に広がります。そして、柔らかくシャクシャクとした筍の食感と、ニンニクの香りがやってきます。フレッシュトマトから感じられるほのかな酸味が全体を優しくまとめている印象を受けました。
細いのパスタが、サルシッチャの旨みと香り、ニンニクらしさをしっかり絡めとっていて、パスタを食べると混然一体となった香りが口から鼻に抜けていきます。食べ応えと上品さ、どちらも感じられるパスタは初めて!
2杯目:ナビゲーター(カリフォルニア/白)
7:3でステンレスタンク熟成と樽熟成を組み合わせているというシャルドネのワインです。『個性がないのが個性』と言われるシャルドネですが、こちらは甘いフローラル系の複雑な香りを感じました。果実味や酸は上品でややすっきりとした味わいで、バニラやバターのようなリッチな香りと飲みごたえがあります。後味はなめらかながらあっさりとしていて、ウィスキーを思わせる樽のような香りを感じました。
お料理に合わせていただくと、しっかりとした旨みのアーリオ・オーリオを柔らかく受け止めて、優しく見送ってくれる懐の深さがあるように思いました。提供時の説明で「食事に寄り添う上品なシャルドネです」と聞いていたのが、まさしくふさわしい表現だと舌で理解しました。
佐賀県唐津市 鱸(すずき)のポワレ~ドライトマト・島ラッキョウ・榎~
鱸のポワレはバターの風味が豊かで、噛み締める白身の味わいと、皮目の歯応えが楽しめます。ソースは、生ハムと鱸からとっただしに、細かく刻まれた食材が入っています。サラッとしたタイプのソースですが、見た目の軽やかさに反して旨みがギュッと凝縮されている印象です。どこか和風な安心感も味わえる、甘みと塩気の塩梅が絶妙なソースでした。
ちりばめられているブロンズフェンネルの柔らかな青さがアクセントになっています。塩気とバターの風味をはらんだポワレ単体でもおいしいですが、ソースがよりおいしさを引き出しています!食感とにじみ出る旨みを味わいながら、旨みたっぷりのソースとハーブの香りを存分に堪能できました。
3杯目:トゥーレーヌ ソーヴィニヨン(フランス/白)
ロワール地方のソーヴィニヨンブランのワイン。ソーヴィニヨンブランにしては、飲み口に少しの粘度とふくよかな甘みがあるな、と感じました。香りはフルーティーな印象が強いものの、口に含み、喉を通るときにミネラルの硬さ(飲みごたえ)を感じます。スーッとした清涼感を伴う、ミントや青々としたハーブのような香りも口の中に広がります。
「ナチュール寄りの造りで旨みを伴うタイプのワインです」という説明にもあったように、味わいのバランスから旨みが感じられ、鱸の味わいやソースの複雑な旨みと絡み合い、ブロンズフェンネルの香りとワインの清涼感がリンクしていたと感じました。
山形豚のロースト
北海道の農家さんが育てた味の濃い極太アスパラと、間引きのメロン(お漬物とかに使われるアレ)の素焼きが添えられた、華やかな一品。とろみを感じるソースですが、こちらはブイヨンに香ばしく焼いた鶏のだしを合わせてあるとのこと。香味野菜の香りに鶏の上品なコクを足してあり、存在感はあるのに上品で深い味わいです。
豚肉は、赤身の肉質が細やかで、脂の入り具合が絶妙。ソースをつけてお肉をいただくと、味わい深いソースに豚肉のしっかりした旨みと甘みが加わり、得も言われぬおいしさ!ローストってことは焼いてるよな?なのにこの柔らかさと肉汁?!と驚きながら、しっかりと味わいました。
4杯目:ルイジ ジョルダーノ ランゲ ネッビオーロ(イタリア/赤)
これは、個人的に、飲めて嬉しかった1杯です。ちょっとワインうんちくを挟みますが、ネッビオーロという品種は『イタリアワインの王』と呼ばれるバローロや、『イタリアワインの女王』と呼ばれるバルバレスコというワインを造る品種で、ワインの色としてはしっかりとした赤ワインの色をしています。今回豚肉のローストとのペアリングで提供していただいたのですが、そのワインの色がとても華やかで可愛らしい色だったんです。口に入れると、ベリーのような華やかさと柔らかな甘みのすぐ後から、しっかりとしてなめらかなタンニンの引き締まった味わいが感じられます。
見た目に惑わされがちですが、味わいはしっかりしていて、とてもキレイで上品です。渋みとアルコール感がブイヨンソースの複雑さとお肉の甘みにキレをもたらし、後味をすっきりとさせてくれます。またお酒特有の苦みが、付け合わせの野菜由来のほんのりとした苦みとリンクしていると感じました。存在感はたしかにあるのに、とても上品で、メインのお肉を引き立たせていた、素敵なペアリングを堪能しました。
季節のおまかせドルチェ
『一保堂茶舗』の抹茶のパンナコッタと、和三盆でつくったカラメルにトンカ豆の香りを移したソース。焦がしバターのサブレを乗せてあります。春から初夏に向けて、新緑が茂って深みを増す様子を表すかのような、しっかりした抹茶の緑が目に鮮やかです。パンナコッタが濃密かつクリーミーで、口に入れると体温でトロリととろけます。それと同時に上品な甘さ、抹茶の豊かな香り、オトナな渋みが口の中に広がって絶品!
和三盆のカラメルは温かみのある甘さで、トンカ豆由来の杏仁のような香りも楽しめます。黒蜜でもカラメルでもない、唯一無二の華やかなソースです。焦がしバターのサブレは、これだけでもバターの風味が感じられるハイクオリティなおいしさ。全部を一緒に口に入れたら、また違った印象に。抹茶の風味を華やかに押し上げるトンカ豆の香りとさらりとした甘みのソースに、香ばしさとサクサクの食感が加わり、どこまでも余韻を楽しめる香りと味わいになりました。
1つ1つがとても上質で「これが脇役だなんてもったいない…」と思うぐらい、食材や味わいへのしっかりとしたこだわりが細やかな部分にまで感じられました。それがすべて掛け合わさった瞬間、相乗効果が何倍にもなって味わいが豊かになるという、味のヴェールを何重にも重ねた奥深い味わいが感じられました。
ソムリエ横山さんにお話を伺いました
――ワインのペアリングや説明についてとても分かりやすく、おいしかったです。ソムリエ歴は長いのですか?
ソムリエ横山さん:ソムリエ資格を取ったのは2021年なので、約3年です。とにかく広い知識が必要だったので、一生懸命勉強をして資格を取りました。コロナ禍ということもあり、味覚嗅覚が大事なため体調管理にはとにかく気を付けていました。
――ワインの仕入れはどのようにして行っていますか?
横山さん:インポーター(輸入販売会社)さんと情報を共有しながら仕入れをしています。様々な味わいを取り揃えながら、イタリアワインを主軸に産地まんべんなくワインを仕入れるようにしています。またInstagramで見つけたものや、勉強のため伺ったレストランで飲んだものなど、実際に足を運んで味を確認して仕入れることも心がけています。
――ワイン選びの心がけや、嬉しい一言などはありますか?
横山さん:ワインと料理のペアリングについては、仕入れたワインの味に合うように料理を寄せてもらうこともありますし、周年イベントや他のお店さんとのコラボの時には、料理に合わせてワインをセレクトするようにしています。ワイン選びについては、スーパーには出回っていない、お客様個人では日ごろ飲む機会のなさそうなワインを探します。なので「普段飲んだことない」が嬉しい褒め言葉ですね。
オーナーシェフ渡辺さんにお話を伺いました
――八王子に出店した理由や経緯があれば教えてください
オーナーシェフ渡辺さん:地元が八王子であることと、独立する前は八王子みなみ野にあるフレンチレストラン『レジェ』で働いていて、みなみ野に馴染みがあったのが理由ですね。ご縁があって今の場所にレストランを構えることになりました。
――お皿や盛り付けも素敵で、食材や味の組み合わせも素敵でした。料理の発想はどのようにして生まれるのですか?
渡辺さん:日ごろから、他のレストランへ食事へ行って勉強をすることが多いです。1人で行くこともあるし、スタッフと一緒に行くこともあります。料理についてはもちろん、内装や全体のサービスなども勉強になります。そうして得た経験の中から、組み合わせを考えて提供をするようにしています。
――中でもこだわりや考えていることはありますか?
渡辺さん:料理以外に趣味らしい趣味は特になく、料理のことを考えていることが多いです。季節ごとに変えるメニューは悩むことがありますが、『以前と同じものは出したくない』『ひと味変わった形で提供したい』ということを思いながらメニューをつくります。
――Instagramを拝見したら、出張料理についても記載がありました。現在でもやっていますか?
渡辺さん:ご要望があれば、お受けしています。特に詳細なことは決めておらず、大枠の予算を相談させていただき、当日はキッチンをお借りして調理をします。お皿などもお店から持って行きますので、特に必要なものはありません。その時はホームパーティーだったので、ワインはお客様自身でお好みのものを用意されていましたが、ご相談いただければワインもお持ちすることができます。
――今後の目標や、やってみたいことがあれば教えてください。
渡辺さん:今は、コース料理とともにアラカルトもお出ししていますが、ゆくゆくはコースをメインにおまかせで料理を提供できるようになれたらと思っています。その方が、色々なバリエーションの料理を存分に楽しんでいただけるようになると考えているからです。ですが、アラカルトを完全になくしてしまうことで、来にくいと感じてしまうお客様もいるかも知れないので、その塩梅が悩みどころではあります。
――読者の方へ一言お願いします。
渡辺さん:当店は『日常に小さな驚きと感動を』をテーマに、手間を惜しまず、手を加えすぎないよう気をつけながら日々料理を提供しています。デートや記念日など、大切な人と過ごす時間のために来てくださるお客様が増えたら嬉しいと考えています。よろしくお願いいたします。
お客さんが店に入ってくる前にお出迎えをしていたり、好き嫌いやアレルギーに配慮してくださったり、分かりやすい言葉で料理やワインについて説明していただいたり…と、ホスピタリティ溢れる対応をされていたのが印象に残りました。取材をしながら「この幸せな時間を大切な人と共有できたら更に幸せだろうな」と思いながら、次の記念日はCOLTaさんで過ごそうと心に決めました。記念日を彩るお店を探している方は、ぜひCOLTaさんに足を運んでみてほしいと思います。