これまでのエイリアン映画は「原点からかけ離れたものになってしまった」 ─ 監督が語る『エイリアン:ロムルス』原点回帰「1作目に戻す」
1979年にリドリー・スコットが生んだ傑作SFホラー映画『エイリアン』は、現在に至るまでに数々の“進化”を辿った。映画では、ジェームズ・キャメロン監督の『エイリアン2』(1986)が続いた後、1990年代のうちに『エイリアン3』(1992)『エイリアン4』(1997)が登場。21世紀にはリドリー・スコットが監督に復帰した『プロメテウス』(2012)『エイリアン:コヴェナント』(2017)が公開されている。
劇中で襲いかかるエイリアンも作品によって様々に描写されたが、やはり1作目の『エイリアン』こそ至高だと考えるファンは少なくない。最新作『エイリアン:ロムルス』を手がけたフェデ・アルバレス監督もそう考える一人であり、同作では1作目への回帰を強く意識したという。
「45年続くシリーズにとって、ここ数年、ここ何本かの映画は、このシリーズの絶え間ない進化の必要性の産物として、どの映画も違っていなければいけませんでした。何か新しいものを(映画の中に)もたらさなければいけませんでした。そして、常にそういった進化を求めるんです。その結果、原点からかけ離れたものになってしまいました。」
このように『エイリアン』シリーズには失われたものがあると話すアルバレスは、『エイリアン:ロムルス』をこれまでの全ての作品と違う作品にするために、「1作目のシンプルさに戻ること」を心がけたと続けている。
「あの1作目は、1979年当時のカルチャーに衝撃を与えたんです。なぜなら、それは、人々がスクリーンで見た最も恐ろしいものだったからです。そういった作品はありませんでした。今日このシリーズを素晴らしいものにしているすべての要素については、(その当時)劇場にいた観客は考えていなかったと言えるでしょう。彼らはただ、とんでもなく怖がっていたんです。彼らは、自分たちがそういったことを見ているのが信じられませんでした。
今振り返って、私たちはそれを分析します。そして、それは映画以上のものだったと気づくんです。でも当時は、それは体験でした。そして、それがこの映画で私がやりたかったことなんです。純粋な恐ろしさというシンプルな原点に立ち返ることが。そして願わくば、この映画を観たときに、あなたたちにそれ以上のものを見つけてもらいたいんです。(本作での)狙いはそれをすることでした。」
エイリアンの製作では、初期作に携わったレジェンドたちを呼び戻した。「レガシー(LEGACY EFFECTSハリウッドを代表するスペシャル・エフェクトの会社)の人たち、シェーン・メイハン(レガシーの創始者の一人)は『エイリアン2』に関わった一人だし、アレック・ギリスもそうでした。二人とも20代前半で、ジェームズ・キャメロンの『エイリアン2』に携わったんです。そして、彼らはこの映画でもチェストバスターとゼノモーフの製作を担当しました」。
彼らと共にした製作においては、「このクリーチャーを元のルーツに戻そう。オリジナルのデザインにしよう」ということをモットーにしていたと、監督は振り返る。「このクリーチャー(エイリアン)はいろんな映画を通してかなり変異していました。私は、このクリーチャーを1作目のクリーチャーに戻したいと思ったんです。具体的には、このクリーチャーのバイオメカニカルな側面を取り戻すということでした。それは何年も経つうちに失われていたんです。それは回を重ねるごとに、より有機的になっていきました。バイオメカニカルは常に恐ろしいんです(笑)。メカニカルな面と有機的な面を混ぜ合わせると、何か理解できない顔になるんです。それより恐ろしいものはないでしょ?」
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長く続いた映画シリーズにおいて原点回帰を図ることは決して容易いことではないが、『エイリアン:ロムルス』は見事に成功していると言える。全米では初登場1位、レビューでは批評家、一般観客ともに概ね高評価だ。『エイリアン:ロムルス』は2024年9月6日、ついに日本上陸。
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