【鎌倉 イベントレポ】インクルーシブビーチクリーン‐由比ガ浜の海藻を拾って豚を育てよう!
インクルーシブビーチクリーン with 鎌倉海藻ポークは、2025年5月29日に鎌倉市由比ガ浜で行われた、鎌倉海藻ポーク※の飼料となる海藻集めとゴミ拾いのイベントです。
※鎌倉海藻ポークとは、餌の一部に海藻を混ぜて育てた鎌倉初のブランド豚のことで、詳しくは記事の後半で紹介します。
主催は鎌倉漁師とインクルージョン協議会、共催は神奈川県で、誰でも予約不要で参加できます。
240人で一斉に45分間、ワカメとゴミを拾います
当日、由比ガ浜の集合場所に行きました。参加人数はこれまでで最多の240人だそうです。
開会のあいさつの後、海藻用、燃えるゴミ用、燃えないゴミ用などの分別用ごみ袋を受け取り、ビーチクリーンを開始します。
お子さんが「豚のエサにするんだよ」と楽しそうに海藻を拾っていたり、
「久しぶりにこんなに海の近くまで来た」と言って、車椅子をそのまま載せられる水陸両用車で波打ち際での海藻集めをされている方もいました。
他にも車椅子用のモビマットも砂浜に設置されており、誰もが参加しやすいような配慮が各所に感じられました。
あっという間に45分が過ぎ、たくさんの海藻とゴミが集まりました。
集まった海藻は障害福祉サービス事業所や高校のボランティア部などに運ばれ、洗浄・乾燥・粉砕され、鎌倉海藻ポークの飼料となります。
鎌倉海藻ポークとは?
鎌倉の由比ガ浜で集めた海藻で作った飼料を餌に混ぜて飼育した豚のことです。
水産・畜産・福祉の連携で生まれた鎌倉初のブランド豚として認知されており、ミネラルやたんぱく質が豊富で、通常の豚よりも脂の溶ける温度が低く、口の中で早くとろけます。
画像出典:料理家 矢野ふき子
厚木市にある臼井農産という養豚場で飼育されており、生産数が少ないため一般には流通しておらず、鎌倉市小町のレストランCafé&Meal Muji(メトロポリタン鎌倉)や鎌倉市立の学校給食などで提供されています。
鎌倉海藻ポークがはじまったきっかけ
もともと由比ガ浜の海には大量の海藻が漂着し、それらはすべて廃棄されていたそうです。
料理家の矢野さんは、この海藻を何かに利用できないかと考え、ドングリを食べるイベリコ豚やお茶を飼料に利用する事例も参考に、湘南漁協鎌倉支所、臼井農産の協力を得て海藻の回収・飼料化に取り組みます。
そして、矢野さんはこの海藻の回収・飼料化を障がい者の方々にお仕事としてお願いしようと考えたそうです。
「障がい者の方々は障害福祉サービス事業所でクッキーや手作り小物を作って販売し、収入を得ますが、原材料費がかかります。でも、海藻は漁協の協力があれば、原材料費がかかりません」と矢野さんは言います。
最初は一つの障害福祉サービス事業所から始まったこの取り組みですが、今では鎌倉市内の6ヶ所の障害福祉サービス事業所、デイサービス、老人ホームに広がり、障がい者や高齢者、地域の方々の社会参画の機会となっているそうです。
もっと鎌倉海藻ポークの生産を増やせないかといった話もあったそうですが、矢野さんは「鎌倉海藻ポークや海藻飼料をたくさん売るのが目的ではなく、ただ、障がいを持つ方々や、それに従事する方々と一緒に世の中を少しだけ変えたいんです」と話されていました。
次回のインクルーシブビーチクリーンは今年の秋の開催を予定しています。世の中にもっとこの取り組みが認知され、広がっていくように、私も応援していきたいと思います。
インクルーシブビーチクリーン with 鎌倉海藻ポーク
開催日時
2025年5 月29日 10:30〜11:30(集合は10時から)
開催場所
由比ヶ浜海岸
住所:鎌倉市由比ガ浜4丁目
参加費
無料
主催/共催
主催:鎌倉漁師とインクルージョン協議会 共催:神奈川県