32歳3児の父・未経験エンジニア職へ「嫁ブロック」乗りこえ転職した話。
スタジオパーソル編集部が、世に発信されているさまざまな個人のはたらき方ストーリーの中から、気になる記事をピックアップ。今回は、家族から猛反対されていた転職を、3年かけてかなえたエピソードをご紹介します。
もりをさんは3児のパパ。29歳のときに、大手電機メーカーの生産技術職からエンジニア職への転職を決意します。ところが、パートナーから「絶対にだめ」と猛反対されてしまいます。家族と交渉を重ねる中で、32歳で転職活動を成功させた話をnoteに投稿しました。
※本記事の引用部分は、ご本人承諾のもと、投稿記事「3人子持ちの32歳が家族ブロックを乗り越え異業種からエンジニア転職した話」から抜粋したものです。
大手企業が絶対安心!転職を猛反対され、1度は転職をあきらめる
転職をはじめようとした矢先、家族から反対されてしまうこと。これは転職において、「家族ブロック」と呼ばれる問題です。
29歳で転職を決意したもりをさんも、そのブロックを経験したうちの一人。約14年勤めた大手企業での生産技術職の業務にやりがいを失いながらも、仕事と育児の両立がしやすい環境に恩恵を受けていました。そのため、パートナーからは、
「なにが不満なの」「そんなわがままは子供が大きくなってからやりなさい」「嫌なこともあるかもしれないけど、子どもがいるうちは安定性をとりなさい」
3人子持ちの32歳が家族ブロックを乗り越え異業種からエンジニア転職した話 より
と、猛反対されたと語ります。
すべては子どものことを思っての発言に、反論できなかったものの、もりをさんは今の仕事を続けていくことに葛藤がありました。
私は14年と長いこと同じ部署にいたこともあり、自分の成長代にも限界を感じ、周りをみる中で、自分の20年後の将来も容易に想像できました。
3人子持ちの32歳が家族ブロックを乗り越え異業種からエンジニア転職した話 より
さらに、30歳を目前に控え、年齢に対する漠然とした焦りもありました。同時期にキャリアチェンジを目指す仲間がいたこともあり、転職のことで頭がいっぱいになっていたそうです。
「20代のうちに何がなんでも、転職してやる!」と、転職に対する熱量と勢いは凄まじかったと言います。
そのため、反対しているパートナーや義両親を説得しようと試みますが、「自分のことしか考えていない」と、指摘されてしまいます。また、専業主婦として家事・育児をしているパートナーも、自身のキャリアに悩み、新たな挑戦をしたいと考えていたことを知ります。
当時の私は図星を突かれた感覚で何も言えず、また、家族にこんなにも不快感を与えていたのだと気づき、自分が情けなくなりました。
3人子持ちの32歳が家族ブロックを乗り越え異業種からエンジニア転職した話 より
あっけなく異業種への転職が閉ざされてしまい、もりをさんは一度は完全に心が折れてしまいました。
まずはパートナーに応援してもらうために、自分の行動を変えていく
しかし、どうしてもエンジニア職への転職をあきらめきれない。「転職を応援してもらうためにはどうすればいいのだろう」と、過去の自分の言動を振り返ります。
私はエンジニアの勉強を始めてからというもの、平日終業後は、集中して作業できるようカフェに篭り、22:00に帰宅すると深夜まで転職仲間と情報共有する、というような生活を続けておりました。
そんな状況で睡眠時間もまともに取れるはずもなく、唯一の家族時間である休日も眠い状態が続きます。作業時間が取れないと無性にイライラして、家族に当たるときもありました。
3人子持ちの32歳が家族ブロックを乗り越え異業種からエンジニア転職した話 より
このような状況に反省したもりをさん。まずは、パートナーからの信頼を取り戻そうと、家事・育児に積極的に取り組むようになります。その中で、パートナーがいることのありがたみや、抱える大変さをあらためて知り、自然に感謝の言葉が出るようになったそうです。
また、家族内での会話が増えていく中で、現職にとどまるデメリットや転職することで得られるメリットも伝え、転職したかった理由をパートナーが真摯に受け止めてくれるように。
並行して、個人でWebアプリを10ヶ月かけて開発する過程にパートナーも巻き込み、エンジニア職への理解を促しながら、自分の情熱をアピールしたそうです。
こうして、「人生の大半を占めるはたらく時間を、やりがいを持って楽しく生きていきたい」という気持ちを、常にパートナーに伝え続けていきました。
3年の時を経て、家族の絆とエンジニア職の内定をつかみとる
これまでの行動が実を結び、32歳で無事にパートナーから転職への理解を得ることができたと言います。もりをさんの両親からは「みんなが納得する形であれば応援する」との一言。
残るは義両親の説得。内心「どうしよう……」と頭を悩ませていると、これまでは反対していたパートナーが味方についてくれます。
「親はこういう不安を抱えているから、こう言ったほうがいい」「その言い方はマイナス」
3人子持ちの32歳が家族ブロックを乗り越え異業種からエンジニア転職した話 より
義両親への接し方は、他の誰でもなくパートナーが一番よく理解している。そのサポートが得られる状況は本当に心強いものだったと語ります。
義両親との話し合いでは、お酒を持参。パートナーとともに「家族のために転職したい」ことを、誠意を持って伝えます。その場では転職の了承は得られなかったものの、数日後に義母の家族にまで転職の話が発展し、事態は好転。義叔父、義祖父からの「そこまで頑張っているのだから、良いと思うけどな」という一言が後押しになり、無事に義両親から転職を認めてもらいます。
その後、自社開発企業2社からエンジニア職での内定をいただいたもりをさん。エンジニアを目指して奮闘した3年間を振り返り、「自分と家族の気持ちを大事にしながらコツコツと対話を続けることが重要だった」と感じているそうです。思い通りに進まないこともあったそうですが、このように語ってくれました。
全てにおいて言えることは、焦らず自分のペースでやるということです。投じられる時間は人それぞれです。短期戦略もアリですが、子供がいる以上計画通りに進まないことも多く、イライラの矛先が家族になってしまうでしょう。私がそうでした。
3人子持ちの32歳が家族ブロックを乗り越え異業種からエンジニア転職した話 より
また、最初に転職を反対されたお陰で、家族との絆がより深まったと感じているそう。これまでの過程の中で、家族の存在のありがたさを再認識したと言います。
転職に踏み出したいのに、家族の理解が得られない。
そんな厳しい状況下でも、あきらめずに自分のできる範囲内から行動を変えていく。家族との対話を増やしてみる。そうすることで、自分も家族も幸せになれる転職のチャンスをつかみとることができるかもしれません。
<ご紹介した記事>3人子持ちの32歳が家族ブロックを乗り越え異業種からエンジニア転職した話【プロフィール】もりを30代、3児のパパですが、14年のメーカー勤務からRailsエンジニアとなりました!二郎系ラーメン、ワンピース(アニメ勢)、英会話が好き。子育てや仕事も楽しんでおります!
(文:朝海弘子)