全国障害者スポーツ大会 「自然体」で射抜く 富士見が丘・佐藤春美さん
佐賀県で10月26日(土)から開催される「全国障害者スポーツ大会」に、富士見が丘在住の佐藤春美さん(67)がアーチェリーの下肢機能障害区分で出場する。佐藤さんは、「自然体で臨みたい」と笑顔で意気込みを語った。
一生、運動を
佐藤さんは、55歳の時に両足の人工股関節置換手術を受けた。「骨棘(こっきょく)」という股関節の軟骨が肥大・増殖し、次第に硬くなり骨化した「とげ」の影響で、歩行が困難に。症状がひどい時には「3歩歩くのもやっとだった」という。
手術後、歩行は問題なくできるようになったが、体のバランスの変化などもあり、「平坦な場所は問題ないが、足の送りがワンテンポ遅れるので傾斜のある所は杖がないと怖い」と話す。
また腰にコルセットを巻くことで体幹を支えることはできるが、医師からは「足腰を守るためには一生運動を続けないとダメ」と注意を受けた。
50代後半でどんな運動が出来るか、と考えた時に出会ったのがアーチェリーだった。「富岡総合公園=金沢区=にアーチェリー場があって、高校時代に弓道をやってみたかったことを思い出し、歩ける体になったからやりたいことをやろう」(佐藤さん)と同園に連絡。利用は健常者のみだったが、障害者スポーツができる横浜ラポール=港北区=を紹介してもらった。
現在は、ほぼ毎日ラポールで練習を続けている。アーチェリーの魅力について佐藤さんは「矢を射ることだけに集中できること」と語った。
佐藤さんを指導する横浜市アーチェリー協会会長で、大会で監督を務める大西敏夫さんによると、アーチェリーは体幹の筋力が必要な競技のため、「下半身に力が入りづらいと肉体的にきついと思うが、毎日、思いを持って練習に励んでいる」と評価する。午前・午後合わせて3時間ほどの長丁場となる試合中、「機械のように常に同じ姿勢でどれだけ撃てるかが鍵」と話す。
滑車付きで初挑戦
佐藤さんが出場するのは、女子コンパウンドダブルラウンドの下肢機能障害区分。30m先の標的に向け、1ラウンド3射×12エンドを2ラウンド、計72射の合計得点で競う。
佐藤さんは2018年以来4回目の出場。過去3回は五輪などでも使用される弓の種類「リカーブ」で出場。今回は弓の先端に滑車がついている「コンパウンド」で初めての出場となる。
「アーチェリーはメンタルのスポーツ。自分の思い通りに飛んでくれなくてもあまり気にしない事」と試合に臨む姿勢を話す佐藤さん。「一生懸命やろうとすると怪我をするので、自然体で臨みたい」と笑った。
アーチェリー競技は10月27日(日)、鹿島市陸上競技場で行われる。