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愛猫の死期が迫ったら…穏やかな最期のために『看取りのときにやってあげたい』5つのこと

ねこちゃんホンポ

1.そばにいる時間を大切にする

猫は自分の身体が弱って思うように動けなくなると、不安や恐怖を感じることがあります。周囲の環境に対しても敏感になり、緊張するような様子が見られることもあります。

以前と変わってしまった愛猫を見ると、あれこれ手を出したくなるかもしれませんが、必要以上に触れたり動かしたりする必要はありません。ただ、食事の介助や水分補給、排泄のサポートなどを行い、支えてあげましょう。

最近では猫用オムツもありますが、汚れたままでは衛生面で問題がありますので、オムツ交換のタイミングを見計らうことも、飼い主さんの大切な役目です。

家族が心配しすぎて押しつぶされそうな気持ちで接すると、猫がそれを感じ取り、逆に心配させてしまうこともあります。猫が安心して過ごせるようにするために、猫の反応を見ながら穏やかに接することが猫にとって、何よりの支えとなります。

2.刺激の少ない環境を作る

体力を失いつつある猫は、外からの刺激に対して敏感になっていることがあり、大きな音や急な環境の変化はストレスになることがありますので、猫がいる空間は、できるだけ静かな環境にしてあげましょう。

具体的には、テレビや音楽など部屋の音量は下げて、室内の照明も薄暗いくらいのほうが猫は落ち着きます。また、家族がいる場合は人の出入りも最小限にしましょう。室温はすこし暖かいくらいが快適です。

多くの場合、一定の期間から寝たきりになり、猫は自分で好きな場所へ移動できなくなりますので、できるだけ刺激の少ない落ち着いた環境を整えてあげましょう。

ただし、定期的な観察は必要ですから、長時間放置せずにこまめに様子を見るようにしましょう。

3.痛みや不快感の緩和

終末期の猫に痛みや不快感がある状態は、心身にともに大きな負担です。少しでも苦痛を和らげるためにも、猫の表情や寝方、呼吸の様子などによく注意し、痛みのサインに気づくことが重要です。

たとえば、身体を硬くしてこわばらせる、触られるのを避ける、呼吸が浅くてはやい、鳴き声に変化がある場合、痛みや不快感があるかもしれません。

猫は弱っていても極力痛みを隠そうとするので、小さな異変は見逃さないように注意です。かかりつけの獣医師と相談して、痛みや苦しみを軽減できるようにしてもらいましょう。

家庭では、寝床の工夫をしましょう。寝ているところの体圧を分散できるようにタオルを重ねたり、身体の下にそっとクッションを入れたりすることで、関節などの器官への負担を軽減できます。冷えや暑さがつらそうなときは、風が直接当たらないように調整したり、温度管理に気をつけたりしましょう。

4.普段通りの生活リズムを保つ

猫が終末期を迎えても、そうなってほしくない飼い主としては何か特別なことをしてあげたくなるものです。しかし、実は「いつも通り」の日常を保つことが、猫にとっては一番大切な安心になります。

飼い主さんも愛猫の看護をしながら、お仕事や家事など日常の生活を送ることになります。食事の時間や投薬、排泄のお世話などで、日々のスケジュールが狂いがちになりますが、出来る限り猫ちゃんファーストで猫ちゃんの体調や起床時間に合わせてあげてください。

また、猫は飼い主の心の動きにも非常に敏感です。見送る側の私たちが過度に慌ただしくしたり、動揺したりすると、それが猫にも伝わってしまいます。もちろん感情を押し殺す必要はありませんが、できるだけ呼吸を整えて落ちついて過ごすようにしましょう。

5.お別れの準備

愛猫とのお別れを考えるのはとてもツライものですが、その時になってあわてないために準備をしておきましょう。必要な道具は次のようなものです。

✔遺体を寝かせる箱やペット用の棺
✔保冷剤(多めに)
✔タオルやバスタオル
✔ペットシーツ
✔好きだった毛布や敷物
✔ドライアイス(入手可能であれば)

あらかじめ安置するための箱を用意して、中にビニールを敷いて液体漏れを防止し、その上にペットシーツやタオルを敷きます。火葬する場合は、燃えない素材は使えません。ドライアイスは、氷販売店や葬儀屋さんがあれば販売してもらえることがあるので、近くにあるか調べておきましょう。

また、愛猫が臨終のときには、叫んだり、苦しそうにもがいたりすることもあります。呼吸の乱れやけいれんは生理的な反応なので、止めることはできません。無理に止めようとすると、かえって猫が苦しむこともあるため、落ち着いてなでたり、声を掛けたりして猫の気持ちを和らげてあげましょう。

まとめ

これまで共に過ごしてきた愛猫を見送ることは、誰にとっても決して容易なことではありません。だからこそ、最期にしてあげられるのは、猫が無理なく、安心して眠れる環境を整えてあげることです。

おそらく多くの飼い主さんは、きっと介護の段階から、すでに無理のない安心できる環境づくりを心がけていることでしょう。

愛猫との別れはできれば考えたくないものですが、もしそのときが来ても、愛猫が安心して旅立てるよう、準備を整えておくことは決してネガティブなことではありません。それは、むしろ愛猫との貴重な思い出を作る大切な機会になるでしょう。


(獣医師監修:葛野莉奈)

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