放デイでどんな支援をしてる?相談支援専門員を頼って分かった利用計画作成だけじゃないメリット
監修:鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
セルフプランの作成、提出が大変!「相談支援専門員」活用を提案されて
いくつかの放課後等デイサービスの見学を経て、2か所の施設を利用することに決めたわが家。ある日、長男りーが利用する予定の放課後等デイサービスのA事業所から電話があり、「相談支援専門員についてもらったらどうか」という話を受けました。
相談支援専門員は、障害のある方や障害児の保護者などの相談に応じ、助言や連絡調整などの必要な支援を行うほか、「障害児支援利用計画」の作成を行い、市区町村へ提出するという役割を担っています。
相談支援専門員は当時りーの通っていた療育園にもいましたが、人数も限られていて利用できなかったため、「障害児支援利用計画」の作成や役所への提出などは、私が自分自身で対応していました。3兄弟の育児をする中で、負担が大きいな……と感じていたところだったので、放課後等デイサービスで紹介していただいた相談支援専門員さんを頼ることになりました。
利用して実感!相談支援専門員についてもらうメリット
利用契約の際には家まで来ていただき、りーの状況や家族の要望などを聞き取ったうえで、「障害児支援利用計画」の作成から役所への提出までしてくださいました。当時三男おーが1歳になり活発な頃だったので、役所での手続きをしてもらうのはとてもありがたく感じました。
またわが家では、利用している放課後等デイサービスの各事業所が、どのように支援を行っているかのモニタリングもお願いしていました。
りーは椅子を傾けてゆらゆら遊んでしまうので、それを減らすような支援計画を立てていました。相談支援専門員さんに、計画に沿った支援がどのように行われているのかモニタリングしてもらうと、A事業所ではいすを支援員が押さえる、B事業所ではりーに口頭で伝えて、椅子を自分で戻すという取り組みの違いを教えてもらいました。
各事業所でも面談があるのですが、具体的にどのように支援をしているのか、全てを知ることはできないため、相談支援専門員さんの目を通して、こうした違いを知ることができたのはありがたかったです。
そして、保護者から事業所にはなかなか伝えにくいことも伝えてくれました。というのも、A事業所では保護者用の記録がなく、その日に何をやったのかが分かりませんでした。りーがお話できればよいのですが、それも難しく……。せめてお迎えの際にお話できればとも思ったのですが、支援員の方々は忙しそうにしていて、落ち着いて話をするような雰囲気ではありませんでした。私は日々のりーの様子を知りたいと思っていたので、少し気になっていました。
相談支援専門員さんとの面談の際に「何か各事業所に要望はありますか?」と聞いてくれたので、このことを伝えてみました。すると早速要望を伝えてくださったようで、A事業所を利用した際のお迎え時に、今日はどういう活動をしたか、どういう課題に取り組んでいるかを教えてもらえるようになりました。
継続して見守ってもらえる「相談支援専門員」は頼りになる存在
成長につれて、りーが置かれる環境や周りにいる支援者は変わっていきます。継続してりーの様子を見てくれる相談支援専門員さんは、私たちにとっても頼りになる存在です。
こうして今りーは公立の特別支援学校に通い、2つの放課後等デイサービスを利用し、相談支援専門員さんがついてくれています。
特別支援学校小学部の1年生になったりーは、幼稚園や療育園で過ごしていた時よりものびのび過ごしているように見えます。毎日楽しそうに自分を発揮して、少しずつ言葉も出てきました。紆余曲折ありましたが、今の環境にたどり着くことができて良かったなあと感じています。
執筆/かしりりあ
(監修:鈴木先生より)
知的発達症とASD(自閉スペクトラム症)の診断が出ているなら、学校の担任、相談支援専門員や放課後等デイサービスと主治医との連携も必要かと思われます。医療支援ファイルなるものを作成してそれぞれの立場から困っていることを書面で相談する方法です。可能であればみんなが一堂に集まってカンファレンスを行うのがいいのですが、なかなか時間がなく、できないのが現状です。困っていることをどんどん主治医に相談して書面の上だけでも連携すれば早く解決していきます。ただ、これは保険点数が取れないので、主治医のボランティアとなり、主治医次第でやってくれるドクターとやってくれないドクターに分かれます。主治医が記入しなくても毎回診察時に学校や放課後等デイサービスの状況の記したものを持参して主治医に見てもらうことが重要です。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。