「上小川・中小川集会所」落成 供用開始祝う会で住民にお披露目 2町内会合併で組織力強化へ
釜石市甲子町の上小川、中小川両地区住民が利用できる新しい集会所が完成し、4月から供用を開始した。27日、新しい施設のお披露目を兼ねた落成を祝う会が開かれ、歌や踊り、食事を楽しみながら住民が交流した。両地区の町内会は本年度から合併。単一組織として新たな住民活動をスタートさせる。
新集会所の名称は「上小川・中小川集会所」。甲子町第15地割内、住宅型有料老人ホーム「カサ・デ・ファミリア」の隣接地に市が整備した。敷地面積は1674平方メートル。建物は木造平屋建てで、延べ床面積は214平方メートル。ホール、会議室、和室、調理室などを備え、物資収納に活用できるロフトも整備した。昨年5月に着工、今年2月に完成した。
両地区にはこれまで、それぞれに集会所(上小川は地域所有・管理)があったが、共に築45年余りが経過。老朽化が進んでいたことから、住民から建て替えの要望が出されていた。市は世帯数、人口の減少を鑑み、各地区町内会と協議し、両地区住民が利用可能な施設整備を検討。2024年度事業で建設した。
新集会所の建設と並行し、両町内会は組織の再編を模索。上小川町内会が役員不足などで5年間活動を休止していたことから、中小川町内会が上小川住民の加入を受け入れる形で、新・中小川町内会を発足することになった。役員会や新規加入の住民説明会を経て、27日に合併に伴う初の町内会総会を開催。新組織の役員に上小川住民が入り、中小川町内会長を務めてきた佐々木正雪さん(75)が新町内会の会長に選出された。
総会後は新集会所落成を祝う会がホールで開かれた。町内会婦人部が調理したひっつみ汁や惣菜をテーブルに並べ、飲食とステージイベントを楽しんだ。同市在住の歌手・尾崎都さんの歌、舞踊家・尚玉泉さんの踊りに続き、「釜石応援ふるさと大使」の書家・支部蘭蹊さん(宮城県仙台市在住)による書のパフォーマンスがあった。支部さんは大判紙に「夢」「希」などの字を書いて見せたほか、同集会所に掲げるケヤキの看板に集会所名などをしたためた。
食事の準備をした町内会婦人部の女性(80)は「新しい集会所は調理室も広くて使いやすい。ありがたいですね。コロナ禍などでしばらく行事もできなかったので、これからここを利用してみんなで集まる機会を増やせれば」と望んだ。新町内会に加入した上小川地区の女性(71)は「歴史ある上小川町内会に終止符が打たれるのは寂しいが、高齢化や役員のなり手不足、未加入世帯の増加などで町内会運営は難しい時代」と、今回の合併を受け入れ。近年、多発する自然災害を見据え、「やはり町内会単位の連絡が密でないと…。横のつながりは一層必要。互いに助け合っていかなければ」と気を引き締める。
約420世帯が暮らす両地区は周辺が山に囲まれ、地区内には小川川が流れる。同河川は市内有数のゲンジボタルの生息地で、古くから住民らによる環境保全活動が続けられてきた。中小川町内会は防災活動も盛ん。佐々木会長は新集会所の整備について、「紆余(うよ)曲折あったが、長年の懸案がようやく解決できた」と一安心。新町内会のスタートにあたり、「人口減や高齢化は避けられないが、年間行事を活発化させ、両地区住民、世代間の交流を図れれば。要支援者の支援、防災活動にもさらに力を入れていきたい」と話した。