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<毒親のせいで……?>英語が飛び交う新しい職場「留学していれば……」自信がない私【まんが】

ママスタセレクト

写真:ママスタセレクト

これは最近の話です。私は30代のマリカ。夫と3歳の息子との3人暮らしです。最近は私が勤める会社にもグローバル化の波が。私自身は語学力にまったく自信がないため、海外との仕事では同僚の協力を仰ぐこともあります。こんなことならば学生時代、もっと英語の勉強に力を入れておけばよかった……と思う日々。しかし小さな子どもがいる今は勉強に時間を割くことがなかなかできず、歯がゆい思いを抱いています。

今日も私はオフィスで忙しく働いています。同僚が声をかけてきました。「マリカさん、頼まれてた企画書です! 翻訳しておきました」「ありがとう! いつもごめんね。私、英語できなくて……」

「みんなすごいよね」私が感心してつぶやくと、周りの同僚たちは励ましてくれます。「マリカさんだって日常会話は問題ないですし、もう一息じゃないですか!」「英会話スクールとかどうですか? 私ずっと通ってますけど楽しいですよ?」「僕は学生時代に留学して……現地で英語漬けになったのが良かったかなー」

私は大学生の頃のことを思い出します。あのとき留学に行けていたら……。

私が海外留学に向けて準備していることを、両親も知っていたはずです。「大学で短期留学の希望者を募っている」という話をして、パンフレットなども見せたのです。特に反対はされなかったので、てっきり行かせてもらえるものと思っていました。しかし……。

返ってきたのは「うちにそんな余裕はない」「お金は出さない」という言葉でした。

結局、経済的な理由で留学を許してはもらえませんでした。あのときの絶望感を忘れることはできません。だから私は今でも思ってしまうのです。

あのとき留学していれば、もっと活躍できていたはず。いちいち同僚に翻訳をお願いしなくてもいいし、今のチームでこんなに肩身の狭い思いをせずとも済んだのです。英語が十分にできないことで、どうしても周りに引け目を感じてしまっている自分がいます。

考えても仕方がないと頭では理解しているものの、あのとき留学さえしていれば……。今ごろ流暢な英語でプレゼンできているかもしれない……。私は華々しく活躍する自分を想像してしまったのでした。

会社ではそれなりの役割を任されて働いているものの、今の部署に来てから「あのとき留学さえしていれば」という思いが日に日に強くなっています。きっと私の人生はもっと明るく、華々しく活躍できたはず……。小さな子どもがいる今は勉強に時間を割くことがなかなかできず、歯がゆい思いを抱いています。もっと英語ができれば、あのとき留学していれば、今の自分にも自信が生まれていたことでしょう。

ビックリ!同窓会で再会した友人「ニューヨーク赴任するの~」

懐かしいメンバーの顔を見て思わず顔もほころびます。30代になった友人たちはそれぞれ仕事で活躍していたり、結婚していたり、子どもがいたりとさまざまです。すると仲良しだったサキが私の姿を見つけて声をかけてきました。

サキが遠方の大学に進学したこともあり、ずいぶん会っていませんでした。久しぶりの再会に私たちは大興奮です。

会うなり一瞬で、仲良しだった高校時代の感覚に戻った私たち。「今どの辺に住んでるの?」「大学を卒業してから何してるの?」などお互いの近況を話して盛り上がりました。そして……。

「ニューヨーク……!?」私は驚いて聞き返しました。

思わず驚いてしまいました。しかしそれは純粋な驚きではありません。嫉妬も入り混じった感情でした。サキはそんな私の気持ちに気付かず、さらに話します。

さっきまで楽しかったはずの同窓会が、なんだかぼんやりと色あせて見えはじめました。自分のショックの原因が「サキが遠く離れた場所へ行ってしまうこと」ではないと、わかっています。

サキは海外赴任を任されるほどになっているのです。なんだか置いて行かれたような気持ちです。高校時代はむしろ私よりも成績が下だったサキ。いつの間にか逆転されて、それどころかずいぶん差がついてしまったような……。

留学を断念したときの悔しさがよみがえります。自分のなかでぐるぐる回るイヤな感情が止められなくなってしまいました。

高校生の頃には同じように過ごしていたサキと私。ところがサキはニューヨーク赴任という華々しい道を歩き、一方で私は英語ができずに仕事のたびに同僚に頼りきっている始末。しばらく会っていなかったとはいえ、なんだかずいぶん引き離されてしまったような気がします。はからずもコンプレックスを刺激されて、私はイライラを抑えきれません。私だって留学したかった……。どうしたらこの気持ちを鎮められるのでしょうか。

「夢をツブされた」学生時代の悔しさ、両親へぶつけると……?

同窓会の翌日。私は息子を連れて、車で1時間ほどの場所にある実家へ向かいました。共働きの毎日は忙しく、息子の顔を見せに行くのも数ヶ月ぶりのことです。息子を遊ばせながら両親と会話しているうち、話は前日の高校同窓会での出来事になりました。

両親も、私と仲の良かったサキのことはよく覚えていました。「サキちゃん、元気だった?」「元気どころか……」私は少し口をつぐんだあと、先を話しました。

「今度ニューヨークに赴任するんだって……」私が伝えると「あら! それはすごい!」と喜んでいる様子の母。その嬉しそうな声を聞いた私はイラっとします。

「でもマリカも今、仕事で英語を使ってるんでしょ?」私の気持ちも知らずそう返されたので、怒りが沸いてきました。「私なんてぜんぜん使いものにならないよ」

「あーあ、私だって、大学時代に留学さえしていればな……」思わず両親を責めるような言い方をしてしまいます。まさか昔のことを持ち出されるとは思わなかったのでしょう。両親は驚いて顔を見合わせました。

「私は毒親に夢を潰された気持ちだったよ?」私が少し強いものの言い方をしたので、両親の顔色がサッと変わったのがわかります。しばらく沈黙が続いたあと、父が口を開きました。「……マリカも覚えてるだろ? その頃ちょうど母さんが入院してバタバタしてたよな」

父が私を諭すように言いました。そんなに深刻な病状だったとは……。母もポツリと呟きました。

「ごめんね……私がそんな時期に病気になったから。健康でいればマリカを留学させてあげられたのに。本当にごめんね……」

留学の件でつい両親に文句を言いたくなった私。のんきそうな両親を目の前にして、思わず強い言葉を投げかけてしまいました。海外へ行って成功したサキと自分を比べてしまい、あまりにもみじめな気持ちだったのです。でも留学を反対された本当の理由が「母の病状がいつどうなるか分からなかった」からとは……。きっと当時の私にはショックを与えたくなくて伝えなかったのでしょう。うつむいたままこちらを見ない母親。父親は「母さんは悪くない」と背中をさすっています。私はそれ以上何も言えず、息子を連れて実家を後にしたのでした。

夢叶えた友人に気づかされる「行動を起こさなかったのは自分」

同窓会の翌週、私は駅前のカフェでサキと会いました。サキの華々しい活躍を考えると、自分のことがよけいにみじめになってしまいます。だから誘いを受けて少し迷ったのですが、これを逃すとサキとはしばらく会えなくなると思ったのです。

「私も留学したかったなあ。でも親に反対されたんだ、当時うちの母が入院してて。私、留学を許してもらえなかったショックをまだ引きずっているみたい」

「サキはいいなー、留学させてもらえて」私がうらやましそうにすると、サキからは思ってもみなかった言葉が返ってきました。「……私も、親には反対されたよ?」「えっ?」

「だから私、バイトしまくってお金貯めて、大学には休学届出してアメリカに行ったの。親は一銭も出してないよ?」サキはいたずらっぽく笑います。

私は自分の大学時代を思い出していました。決して不真面目な学生ではなかったものの、サキのような熱量を持って自分の夢を叶えようとしていたでしょうか。親から「留学は無理」と言われたとき、「仕方ない」とあきらめたのは自分です。なんだか猛烈に恥ずかしくなりました。

「私も英語できるようになりたいけど、もう無理かな……」「えー、どうして? そんなことないでしょ!」「だって私、子ども小さいし……」

サキは私を励ますように力強く言います。「今はオンライン英会話もあるし、英語学習用のアプリだってあるでしょ? やる気さえあればいつでも始められるよ。私も帰国したあと英語を忘れないように、オンラインで現地の人としゃべるとかいろいろ工夫してたよ!」

サキの言葉にハッとしました。両親のせいにしたりして、私自身は何も行動を起こしていなかった。私はいつの間にか「やらない理由」ばかり探していたのです。

夢を叶えたサキと話してみて、甘えていた自分に気付きました。「親が留学させてくれなかった!」と被害者ぶっていましたが、結局行動を起こさなかったのは私自身です。それなのに親に対して「毒親」なんてひどい言葉を言ってしまった……。今となっては後悔、そして恥ずかしい思いでいっぱいです。子どもから「毒親」と呼ばれて、両親はどんな気持ちだったのでしょうか……。「親不孝な娘でごめんなさい」と謝りたいです。

誰かのせいにしない生き方「甘えていた自分を反省」両親へ謝罪

「この間はごめんなさい。留学できなかったことを両親のせいにして……。私自身が努力してこなかっただけなのに……」両親はしばらく何も話さず、いたたまれない空気が流れます。3歳の息子がただ無邪気にしていることだけが救いです。すると父が問いかけてきました。

「……マリカは子どものことが大切だろう?」急に子どもの話を向けられ、驚く私。ヒザに乗る息子をぎゅっと抱きしめながら「もちろん」と答えます。

「子どものことがどんなに大切でも、親にもできることとできないことがある。経済的な事情はもちろん、体力的な事情、精神的な事情、他にもいろいろだ。親は万能じゃないからな」父親の言葉に、ぐうの音も出ませんでした。

もし息子が大きくなったとき「毒親のせいで夢を潰された」と言われたら、どんな気持ちになるでしょうか……。「自分はこんなに大切に育ててきたのに」と寂しく思うかもしれません。私はようやく自分が言ったことの罪深さに気づきました。

「甘えていました……親不孝な娘でごめんなさい」私が深々と頭を下げると、両親はほっとしたように穏やかな表情を見せてくれました。

母の笑顔を見たら、申し訳ない気持ちが込み上げました。自分が恥ずかしいです。守られることや与えられることが当たり前になって、私はいつしか傲慢になっていたのでしょう。心から反省したいです。そして3ヶ月ほどが経ち……。

私は相変わらず職場で忙しく働いています。チームリーダーとしててきぱきと指示を出しながら、頼らざるをえない場面ではお願いして同僚たちに頼り……。

あれから私は語学力向上を目指し、まずはオンラインの英会話レッスンに申し込みました。「やらない理由」を探すのではなく、できることから始めようと決意したのです。目標にはまだまだ遠いですが、努力する毎日は充実しているし、頑張っている自分自身を認められるようになりました。

人生において「こんなはずじゃなかった」と考えることは、誰にでもあることなのかもしれません。しかしそれに気付いたとき、どのように向き合うかが大切なのだと思います。今となっては「自信を持てないのは語学力がないからだ」「両親のせいで留学の機会を奪われた」と思いこんでいた自分が恥ずかしいです。これからは他人のせいにせず、自分の至らない点ともしっかりと向き合いたいと思います。自分がどんな人間になるかを決めるのは、他の誰でもない自分なのですから。


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