長野県上田市の美術館「無言館」で行われた成人式。共同館主・内田也哉子氏が新成人14人に贈ったメッセージとは
5月2日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーでは、長野県上田市の郊外にある小さな美術館「無言館」で行われた成人式について、白鴎大学教授・元TBSアナウンサーの下村健一氏に話を伺った。
無言館の開館は1997年 (平成9年) 。創設者は小説家・水上勉の長男で作家の窪島誠一郎氏。戦争によって夢を絶たれて言葉を残せなかった画学生たちの声なき声を、作品を通して伝えたいという思いから名付けられたという。
下村健一「いま情報が溢れる饒舌な時代にあって『無言館』っていう名前を敢えて付けて。行ってみると静かな展示場で、そこに画学生たちが残した絵、出征する直前まで『もうちょっとだけ、もうちょっとだけ』と言って描いていた絵が飾られていて。まさに言葉無しで訴えかけてくるんですよね。一人一人がいろんなものを受け取れる。ぜひ一度は行ってほしい所なんですけども。そこの本館の前庭で毎年、実は成人式を敢えてこの時期にやっているんですね」
長野智子「そうなんですね」
下村「(参加者は)地元が長野の成人が多いんですけども、国内各地から申し込んできた新成人たちと、お付き添いのご家族が集まって」
長野「じゃあ、いろんな地方からいらっしゃるんですね」
下村「そうです。28年間ずっと館主として窪島誠一郎さんが(無言館を)作ってから一人で運営されてきたんですけども、去年6月に内田也哉子さんが共同館主に就任したということで、今回は窪島・内田体制になってから初めての成人式だったわけです」
長野「内田也哉子さんは、お母様の樹木希林さんから生前、『あなたもちゃんと人のためにお役に立てるようなことをしなさい』って言われて、(共同館主を)始められたということですよね」
下村「そうなんですよね。本当にいい式でしたよ。窪島さんって善人ぶらないことをわざと言う人なんですよ。で、今回も挨拶の中で『也哉子さんをナンパしたのは成功でした』っておっしゃっていましたけども(笑)」
長野「(笑)」
下村「でも『本当に成功だったな、このナンパは』と思いました。(館主の)2人の息も合っているし、也哉子さんのスピーチもすごく良くて」
長野「そうですか!」
下村「前庭で木漏れ日溢れる中で、前日までの雨が上がって本当に綺麗だったんですよ、緑が。そんな中で、也哉子さんが14人の今年応募した若者たちに向かって『実は、自分は最近すごく大きな失敗をしたんだ』と。その中身については触れませんでしたけども、『みんなも失敗したときこそ自分を振り返ることができるから、ほんの1ミリかもしれないけど、そこで成長ができるんだ』と。『だからみんなたくさん失敗してください。その傷が癒えたら大きな力になるから、恐れずにいろんな経験をしてください』というようなことをメッセージで贈りましたね」