北海道ならではの「グリーンエネルギー」が世界を変える!?帯広で「とかち発 農林水産業から拓く GX地方創生シンポジウム」
地域資源✕GX
グリーンエネルギーで地域を元気に!その先進事例を紹介するイベント「とかち発 農林水産業から拓く GX地方創生シンポジウム 〜『地域資源』✕『GX・AI』による持続的な発展を目指して」が2025年11月10日(月)から2日間の日程で帯広で開催されました。主催したのは北海道経済産業局。十勝は日本最大の食料基地で、地域とGXが共生していく事例が多くあり、飛躍できる可能性が高いということで帯広で開催されました。その一部を覗いてきました。(sodane編集部)
GXとは?
「グリーン・トランスフォーメーション」の略。温室効果ガスの排出削減を経済成長の機会と捉え、脱炭素社会と経済成長を同時に実現することを目指す取り組み。化石燃料からクリーンエネルギーへの転換、エネルギーシステムの変革、産業構造の転換、市場やルールの整備などが含まれる。
鹿追町 「バイオガスの取り組み」
お邪魔したセッションでは、道内6つの自治体によるGXへの取り組みのプレゼンが行われました。今回は道東の一大農業地域・十勝の「鹿追町」の話をご紹介します。喜井知己鹿追町町長が登壇し、“バイオガスプラントを中心としたまちづくり”として「家畜ふん尿由来の水素事業」などGXへの取り組み事例を説明しました。
家畜のふん尿をバイオガスに活用!
鹿追町では「家畜のふん尿処理」という問題を解決しようということをきっかけに、バイオガス事業に取り組み始めました。具体的には2007年に、ふん尿や生ごみをメタン発酵させる工場「鹿追町環境保全センター 中鹿追バイオガスプラント」の運転を開始。メタンガスを利用した発電や精製して燃料とするなど活用してきました。施設の運営は売電によりまかなっています。
2016年には二機目を増設。250kwhの発電機を4台備えて常時3台を稼働し750kwhを発電。匂いなどふん尿処理の問題などを解決するとともに、「余剰熱の活用事業」にも着手してきたそうです。
鹿追町ウェブサイトより引用
「余剰熱」で水耕栽培やチョウザメの養殖に成功!
余剰熱の活用事業では、「マンゴーの栽培」や「チョウザメの養殖」に取り組んでいます。マンゴーの栽培は、夏は雪冷房で冷やして、秋からは余剰熱を使って温めて、付加価値の高い冬に出荷をしています。その水耕栽培ハウスでは「ミニトマト」や「葉物野菜」「干し芋」なども栽培しています。
鹿追町ウェブサイトより引用
チョウザメの養殖は、チョウザメの卵である「キャビア」の生産を目的にスタート。10度の地下水を余剰熱を使ってチョウザメの養殖に適した20度にして育ててきました。そして11年目の今年、商品化に成功。ふるさと納税等で販売を始めました。
鹿追町ウェブサイトより引用
「水素」の利活用事業に着手!
また日本で唯一の取り組みとして「ふん尿由来の水素」を生成する事業にも着手しています。環境省の実証事業や民間事業者の提案で7年実施。現在は民間事業者が引継ぎ、水素の製造販売事業をしています。現在は自動車の利用が中心で、町・事業者・個人を併せて水素自動車「トヨタMIRAI」を22台導入し、稼働しています。
鹿追町ウェブサイトより引用
さらに、水素エネルギーをもっと身近に感じてもらうために「水素燃料自転車」の実証実験も行いました。電気の代わりに水素で動かす取り組みです。この水素アシスト自転車は、先月、鹿追~士幌~上士幌の90キロの走行を無事終えました。
喜井町長のGXの取り組みに関するプレゼンはまだまだ続き、以上はその先進事例の一端です。古河電工との「グリーンLPG」の実証事業も本格的に始まるそうです。
喜井町長は「グリーンLPGの事業、水素の事業、非常に重要なことだと思っています。展開に大きな期待を寄せています。エネルギーへの取り組みをしっかり続けて、脱炭素を図っていきたいと思っています」と延べ、GXを活用した活力あるまちづくりに強い意欲を見せていました。