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なくても乗り切れそうだけど備えるべき? コスパが良い「ポータブル電源」を防災士が試してみた

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なくても乗り切れそうだけど備えるべき? コスパが良い「ポータブル電源」を防災士が試してみた

自分や大切な人の命を守るライフハック、防災グッズレビューなどを防災士がお届けしている本連載。12回目となる今回は、防災目的でポータブル電源を備えておくメリットや、おすすめのポータブル電源について解説していきます。 ポータブル電源は安いものでも数万円はするので、そもそも必要なのか、緊急時のために購入したとしてどれくらいのメリットがあるのかなど、悩まれている方も多いと思います。 結論からいえば、ポータブル電源はどんなご家庭でも備えておくのがベターです。今回はその理由について詳しく紹介していきます。

被災しても必ず避難所に行けるとは限らない

東京都防災ホームページによると、都内に確保されている避難所の数は約3200か所、収容可能人数は約310万人です(2023年4月1日現在)。一方、東京都の人口は約1426万人(2025年9月1日現在)。このような状況下でもし今、首都直下地震が起こってしまったら……。「災害が起こっても、避難所に逃げれば大丈夫」という考えの人ばかりであれば、避難所はあっという間に人であふれかえってしまいます。

現在では高い耐震性を備えた建物が多く、備えさえしっかりしていれば、災害が起きても在宅避難が可能になるケースは多いです。災害で家を失ってしまった人、壊れて住み続けられなくなった人など、本当に困った人が避難所を使えるようにするためにも、全ての人が、日頃の備えによって、在宅避難が可能な環境を整えておくことが大切です。

在宅避難の安全・安心を支えるものとして、ぜひ備えに加えておいていただきたいアイテムの一つが、今回ご紹介するポータブル電源です。地震や豪雨などの災害によってもし電気の供給がストップしてしまっても、ポータブル電源があれば、生活に欠かせない電気を確保することができます。

電気はすぐ復旧するから、ポータブル電源は不要?

「そうはいっても電気はすぐに復旧するし、1日、2日なら電気がなくてもなんとかなりそう」と思う方もいらっしゃると思います。

確かに過去の災害では、ライフラインの中でも電気は、数日内と比較的早く復旧しています。とはいえ、東日本大震災では一部地域で、最大3か月以上も電気を使えなかった例があります。

また、内閣府の発表によれば、首都直下地震が発生した場合、「発災直後に約5割の地域で停電が発生し、1週間以上電気の供給が不安定な状況が続く」と想定されています。電気が欠かせない現代の生活において、1週間以上もまともに電気が使えないとなると、生活の不安はかなり大きなものになるのではないでしょうか。

日常生活にも役立つ! ポータブル電源を備えておく10のメリット

防災の観点からいえば、ポータブル電源を備えておくことの最大のメリットは、災害時でもスマートフォンやタブレット、PCの充電を確保できることです。孤立しがちな在宅避難において、たとえ電気の供給がストップしてしまっても、情報が遮断されない環境をつくれます。

夏場は扇風機や冷蔵庫などが利用できるようになりますので、温度管理や食料の管理にも役立ちます。だんだんと寒さが増してくるこれからの季節は、電気毛布などの暖房器具が使えたり、IHヒーターや電気ケトルが使えることで温かい食事ができるようになったりすることもメリットとして大きいですね。

そのほか、日常生活においても次のようなメリットがあります。

図表1:ポータブル電源を備えておくことで得られる10のメリット

災害時

 ・スマホなどの通信機器の充電を確保でき、停電時にも常に情報が得られる

 ・冷蔵庫などが利用でき、特に夏場の食材管理が可能に

 ・扇風機や電気毛布などが利用でき、夏冬の温度管理が可能に

 ・IHヒーターや電気ケトルが利用でき、災害時の食の選択肢が広がる

 ・電気の供給がストップしても、明かりの確保が可能に

 ・持ち運び可能なため、車中泊や避難所生活でも電気を利用できる

日常生活

 ・電気代が安い時間に蓄電したり、ソーラーパネルを使ったりして効率良く電気を使うことで、電気代の節約が可能に

 ・ブレーカー落ちが気になるときのサブ電源として

 ・屋外等で延長コードを使用せずに電源が確保できる

 ・キャンプや車での長距離移動時に電気が使え、より快適に

防災用として買って置いておくだけではもったいない! ポータブル電源は日常的に使うことで電池も長持ちしますので、ぜひ日常生活の中にも取り入れてみてください。

防災士が実際に試してレビュー! 初めてのポータブル電源としてもおすすめの商品は?

ポータブル電源は日常使いにも便利なアイテムですが、安いものではありません。そこで今回は、特にコストパフォーマンスを重視して選んでみました。

購入したのは、「PECRON E300LFP ポータブル電源」(288Wh・600W)で、購入時の価格は2万1800円(2025年10月現在)でした。

ポートの装備が充実しており、複数の電子機器を同時充電可能

実際に使ってみてまず感じたのは、操作性の良さ。ポータブル電源にはなんとなく操作が複雑なイメージを持っていましたが、本商品は液晶パネルが見やすく、直感的に操作できるため、商品が到着してすぐに使い始めることができました。

5kg未満の小型製品ながら、性能面もかなり優秀です。2人暮らしのわが家で現在普段使いしていますが、合計9ポートの装備があり、同時に4、5台の電子機器をつないでも、問題なく使えています。

LEDライトを搭載しており、ソーラー充電に対応している点は、防災グッズとしても高評価。容量は小さめなので利用できる家電は限られますが、「2~3人暮らしで、緊急時に最低限の電源を確保する」という目的にはぴったりだと思います。

搭載されているLEDライトは3段階に変化できる。非常に明るく、緊急時の明かりの確保に最適

図表2:「PECRON E300LFP ポータブル電源」のメリット・デメリット

メリットデメリット

 ・コスパ◎

 ・操作が簡単で誰でも使いやすい

 ・小型で場所を取らない

 ・LEDライト付き・ソーラー充電対応(ソーラーパネルは別売り)で災害対応◎

 ・最短80分の急速充電、オートオフ機能あり、パススルー充電対応など、性能面も◎

 ・リン酸鉄リチウムイオンバッテリー使用、BMS安全管理システム搭載で、安全性◎

 ・出力多彩な9ポート搭載で、スマートフォンやタブレットなど複数同時充電可能

 ・4.8kgとはいえ、女性が持ち運ぶには若干重く感じる

 ・容量が小さいため、利用できる電子機器は限定される

ポータブル電源を実際に購入してみて最も良かったことは、「これで何か起こっても、家族全員分の最低限の電気は確保できそう」という安心が手に入ったことでした。小さなお子さんや高齢者の方と一緒に住んでいるご家庭などは特に、備えておくと安心でしょう。

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