にゃんこ好きは今年がチャンス【2024黒部峡谷・紅葉】降りられない“秘境駅”「猫又」にフォトスポット誕生!愛猫の助役就任も!?
日本一深くて険しいV字峡を縫うように走り抜ける、黒部峡谷トロッコ電車。
四季それぞれの自然美が美しい秘境ですが、なかでも山肌が赤や黄色に染まる紅葉のシーズンは格別な絶景を楽しむことができます。
黒部峡谷鉄道の旅客営業区間は、宇奈月駅から欅平駅までの20.1km。片道約1時間20分のトロッコ電車の旅を楽しむことができます。
しかし、2024年1月に発生した能登半島地震の影響で、黒部川にかかる「鐘釣橋」が損傷し、今シーズンはおおよそ中間地点に位置する「猫又駅」までの往復運転をしています。
「え、猫又駅?」と思ったあなたは、かなりの通。
実は、「猫又駅」は工事関係者が利用するための駅で、通常は一般の乗客が乗り降りすることができない駅。しかし、鐘釣橋の復旧までの間も黒部峡谷とトロッコ電車の旅を少しでも多くの人に楽しんでもらいたいと、紅葉シーズンにあわせてホームを新設。さらに、猫又という駅名にちなんだフォトスポットも誕生しました。
まもなく紅葉が見ごろ迎える黒部峡谷、「猫又駅」までの見どころをまとめて紹介します。
宇奈月駅~黒薙駅
黒部峡谷への出発地となるのが、宇奈月駅。2023年に開湯100周年を迎えた宇奈月温泉のホテルや旅館が立ち並ぶ温泉街にあります。
温泉街には歴史ある温泉旅館のほかにも、日帰り入浴ができる総湯や足湯などの施設もあります。宇奈月グルメとあわせて楽しめそう。
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新旧の山彦橋
宇奈月駅を出発すると、すぐに現れるのが、峡谷にかかる2本の赤いアーチ橋。
約100年前に建設された「旧 山彦橋」と、1986(昭和61)年に新設された現役の「新 山彦橋」です。
トロッコが走るのは、新山彦橋の上。車窓からは、エメラルドグリーンの川に生える真っ赤な旧 山彦橋のコントラストを楽しむことができます。
一方、旧 山彦橋は遊歩道になっていて、上流のほうを見上げる形で山々の紅葉と新山彦橋、その上を走るトロッコ電車を眺めることができます。この時期はカメラを手に絶景を収めようとする人も多く、トロッコ電車の旅と一緒に散策してみてください。
トロッコ電車のゆったりとどこか懐かしいガタゴト音や汽笛が聞こえてきたかと思うと、その音が峡谷にしずかにこだましているのがわかります。そう、「山彦橋」とは、汽笛が“やまびこ”となって温泉街に響くことから名付けられた橋なのです。
うなづき湖
エメラルドグリーンの湖面と赤い湖面橋のコントラストが印象的な、うなづき湖。周辺が黄金色に色づいてくるのは例年11月上旬です。
ここからさらに上流に進んでいくと、サルが対岸に渡れるように作られた吊り橋(サル橋)があり、運がよければ実際に渡って移動する様子が見られるかもしれません。
黒薙駅と黒薙温泉
宇奈月温泉街の源泉をすべてまかなう、深山の秘湯「黒薙温泉」
宇奈月駅からトロッコ電車に乗ること約25分、到着するのは黒薙駅です。
県内随一の温泉街を抱える宇奈月温泉は、透明度の高い泉質と豊富な湯量で知られます。そのすべての湯をまかなうのが約7km上流にある源泉、黒薙駅から訪れることができる黒薙温泉です。
辺りを見わたしても開けた場所がないので戸惑ってしまうかもしれませんが、深山の中にある秘湯なだけあって、駅からは少し歩かないとたどり着けません。
まずは看板の奥にある坂を登ります。
黒薙駅から温泉までの距離は、約600m。
数字だけ見ると大したことないように思えるかもしれませんが、かなり急な登り坂を歩く必要があるため、体調とペースには気をつけて進んでください。
山道を歩くこと、約20分…
黒薙温泉に到着です。
黒薙温泉は1645年、江戸幕府3代将軍 家光のころに現在の黒部市音沢村の村人によって発見されたと言われています。しかし、藩境に近かったことから加賀藩により開湯を許されず、正式に開湯されたのは1868年。それ以前は、深山幽谷の「隠れ湯」として利用されていたんだとか。
野趣あふれる河原に隣接したの大露天風呂
野趣あふれる秘湯の醍醐味を感じることができるのが、大露天風呂の「源泉(いずみ)」。
黒薙川の河原に隣接し、広さは28畳敷に相当します。
温泉のまわりや浴底には黒部川の天然石が敷き詰められていて、ゴツゴツした岩と透き通ったブルーの湯は、黒部峡谷の雄大さを満喫できます。
見上げれば、紅葉した黒部の山々を360度楽しむことができる別天地です。
「源泉」は混浴ですが、水着、バスタオルの着用が可能で、女性専用の時間も設けられています。また、女性専用露天風呂「天女の湯」もあります。
湯温は41℃前後で無色透明、やわらかな肌触り。ほのかな硫黄臭がしますが、温泉成分の中には含まれていません。
宇奈月温泉街へと湯を送る専用のパイプを見ることもできますよ。
噴泉の見学ツアーも
一般の人が普段は見ることができない噴泉を見る特別な見学ツアーが組まれることもあります。
毎分2000リットルもの豊富な温泉が、噴水のように高さ7~8mも噴き上がる様子は迫力満点。まるで大地の鼓動が聞こえてくるようです。
今シーズンのラストツアーは11月15日(金)の予定です。
【トロッコ電車で行く黒薙温泉満喫噴泉見学ツアー】※要予約
開催日:2024年11月15日(金)
料 金:おとな 8000円、こども(小学生)7000円
定 員:先着20人※11月10日締切
問合せ:0765-62-1284(黒部峡谷ガイドセンター/9:30~16:30)
内 容
① 富山名産品『ます寿司』づくりを体験
② 黒部峡谷についてガイドから説明
③ 黒薙温泉について黒部観光開発 所長から説明
④ トロッコ電車で黒薙駅へ。歩いてしか行けない黒薙温泉へ
⑤ 温泉を使って『温泉たまご』づくり体験
⑥ 迫力満点の噴泉見学
⑦ 昼食の山菜定食に舌鼓
⑧ 28畳敷相当の大露天風呂(混浴水着着用可)や女性専用露天風呂で入浴
(入浴料は別途900円必要です)
詳しくは黒部峡谷鉄道のホームページで確認してください。
黒薙駅~猫又駅
後曳橋(あとひきばし)
年間4000mmを超える多雨多雪地帯の上流域から水を集める黒部川。
トロッコ電車からは、そんな黒部川が山を削り取って形作った深い谷の絶景と、軽々しく人を寄せ付けない荘厳な大自然を楽しむことができます。
黒薙駅を出てすぐに渡ることになるのが、支流の黒薙川にかかる青い鉄橋。沿線で最も険しい谷にかかる橋で、下をのぞくと…川底までは約60m。入山者が谷の深さに思わず後ずさりしたことから「後曳橋(あとびきばし)」と呼ばれています。
高いところも平気という人は、トロッコ電車の車窓から真下をのぞいてみてください。秘境ならではのスリリングな景観は想像以上かもしれません。
ネズミ返しの岩壁
黒薙駅を出発し、しばらくすると屏風のようにそそり立つ岩壁が見えてきます。高さは約200m。ネコに追われたネズミも登れないほど切り立っているということから「ネズミ返しの岩壁」と呼ばれています。
秋は荒々しい岩肌を赤や黄色に色づいた木々の葉がやさしく包み込む、オススメの紅葉スポットです。
猫又駅
黒薙駅を出発してから約20分、猫又駅に到着です。
工事関係者のための駅ということで、これまで一般旅客用のホームなどは整備されていませんでしたが、2024年10月から期間限定で新設されました。
ところで、猫がつく駅名ってあまり聞きませんよね。
実は、全国で唯一なんだそう。
猫に追われたネズミがどうしても岸壁を登れずに引き返したことから名づけられた「ネズミ返しの岩壁」。さらに、追ってきた猫もまた同じように引き返したため、「猫又」と呼ばれるようになったんだそう。
期間限定! 今だけ下車できる超レア駅に新フォトスポット誕生
新しく設置された展望台からは、違う角度から対岸の景色を楽しむことができます。
標高が358mの猫又。山々の木々が色づくのは、例年10月下旬から11月上旬にかけてということです。
さらに、「猫又駅」にちなんだフォトスポットも誕生!
ネコとネズミがデザインされていて・・・
「猫に追われているネズミに追われている自分」をカメラに収めることができます。
超レアスポットの「猫又駅」で思い出に残る1枚を撮れそうです。
愛しのにゃんこが猫又駅の名誉助役に就任!?
もうひとつ、にゃんこ好きには必見の限定企画が11月22日(金)まで行われています。
それが、愛猫が猫又駅の名誉助役に就任できるというキャンペーンです。
猫又駅までの折返し運行の期間だけ、募集は11月22日までです。
愛猫の写真を送ると「名誉助役任命書」と「缶バッジ」が宇奈月駅の2階に展示されます。
猫の写真大募集
募集期間:2024年10月22日(火)~11月22日(金)
募集方法:メールで送付(1人1点)
問い合せ:0765-62-1800(黒部峡谷鉄道)
現地に行ってトロッコに乗車すると、愛猫の「名誉助役任命書」と「缶バッジ」を受け取ることができます。
11/2~4は臨時列車の早朝トロッコ「朝焼け号」が運行!
トロッコ電車の始発は8時17分ですが、11月2日(土)から4日(月)までの3日間は「朝焼け号」を運行します。
朝日が色づき始めた黒部峡谷の山肌をさらに赤く照らし出すなか、トロッコ電車が山の中へと進んでゆききす。秋の澄んだ空気、朝日に輝く紅葉…いつもとは違う宇奈月の秋を満喫してみてはいかがですか?
早朝トロッコ「朝焼け号」(臨時列車)運行
期 間:11月2日(土)~11月4日(月・振休)
往 路:宇奈月駅発 7:41/黒薙駅発 8:05/猫又駅着 8:25
復 路:猫又駅発 8:43/黒薙駅発 9:09/宇奈月駅着 9:35
【黒部峡谷トロッコ電車】
住所 富山県黒部市黒部峡谷口11番地