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個性的ラインナップで祝宴! METAL VAMPIRE 20周年記念“STRIKE BACK”レポート @2024.11.17 川崎クラブチッタ

YOUNG

METAL VAMPIRE

数多くの国内バンドのMVを手掛ける映像監督:山田貴教。彼が主催するDJイベント:METAL VAMPIREの20周年を記念する屋内フェス“STRIKE BACK”が、2024年11月17日に川崎のクラブチッタで開催された。“METAL”、“VAMPIRE”とイベント名を冠した2つのステージを使い、全10バンドが出演。そのラインナップは、レジェンド級からベテラン、中堅、気鋭の若手まで幅広く、王道HR/HMからエクストリーム系、ヘヴィ系、テクニカル系とバンドのタイプも様々。開演は午後1時で、各バンドの持ち時間は30〜40分。大入りのオーディエンスで終始盛り上がりまくり、その宴は午後9時まで続いた…!

METAL VAMPIRE

メタル/ラウド系バンドのミュージック・ビデオや、アウトレイジの映画『シャイン・オン』(2010年)、『鋼鉄色の空の彼方へ』(2022年)といった作品を手掛けてきた山田貴教監督が主催するDJイベント:METAL VAMPIRE。昨年11月17日に川崎のクラブチッタで開催された“STRIKE BACK”は、その20周年を記念したライヴ・イベントだ。

「出演バンドは、METAL VAMPIREスタッフと仲間たちが意見を出し合い、メジャー、インディーズを問わず、1980年代のレジェンドと呼ばれたバンドから、現在シーンの最前線で活躍しているバンドまで、“自分たちが推せるバンド”を幅広くセレクト。その結果、今まで交わったことないバンドが集結した個性的なフェスになったと思う。他のイベントとは違う“STRIKE BACKらしさ”を追求し、ブレずに次にもつなげげていきたい」(山田貴教)

HADES

“STRIKE BACK”──そのトップを務めたのはヘイディーズ。結成/改名から100回目のライヴということもあってか、気合が入っているように見受けられる。オープニングを飾る「No!!!!!!!!!!」からエンジン全開といったパフォーマンスで、場内をヒート・アップ! 華やかな見た目、そしてしなやかな艶っぽさも見せるが、モーターヘッド感のある暴走ロックン・ロールでもフロアの温度をグイグイと上げていく。

個人的な感想を言えば、空也がこんなに太くて埃っぽい音を出すギタリストだったかと、新鮮な驚きもあった。「EGOIST」以降は、辛抱溜まらんとモッシュ・ピットがフロアに出来上がり、そんなオーディエンスの盛り上がりにSala(vo)はバンド・フラッグを掲げ、トップの役目を十二分に果たした。(別府)

HADES 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. No!!!!!!!!!!
2. POW
3. EGOIST
4. Fall down
5. DISCLOSE
6. BRING IT ON!!!

Sala(vo)

空也(g)

TEARS OF TRAGEDY

舞台を変え、METALステージのトップとして登場したのはTEARS OF TRAGEDYで、昨年夏のワンマン・ライヴから久しぶりのステージ。美しいイントロから一転、激しく展開しいていく「Wonder Arts」、そして「SONIC DRIVE!」「蒼炎」と、序盤から疾走感あふれる曲でギアを上げていく。

煌めくメロディにJ-POP感香る透き通ったHARUKAの歌声が特徴であるが、この日はTORU(g)を前面に出したかの如き攻めのセットで、メタル色強い「The Sweet Scent of a Woman」では、テクニカルなフレーズを織り交ぜ気持ち良さそうに弾きまくり、ファンの目を釘付けにしていた。普段のライヴに比べかなり短めのセットで、彼らのファンにとっては物足りなさがあったかもしれないが、初見の人にとっては、彼らの音と名を知るに十分インパクトあったステージだったろう。(別府)

TEARS OF TRAGEDY 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. Wonder Arts
2. SONIC DRIVE!
3. 蒼炎
4. Void Act
5. The Sweet Scent of a Woman
6. ∞

HARUKA(vo)

TORU(g)

HAGANE

新メンバー/新体制となり、活動休止期間の鬱憤を晴らすように、精力的に活動しているHAGANEがVAMPIREステージに登場。「BlackCult」で幕を開けると、ヘドバンで応えるフロアに対し、凪希(vo)は「今日は盛り上がっていくよ!」と煽る。彼女達もどちらかと言えば攻めのセットといった印象で、パワー・メタリックな曲を軸に畳みかけていく。過去曲をまるで自分の持ち歌だったといった風に堂々と歌いきる凪希のポテンシャルの高さにも驚いたが、決して大きくない身体をフルに使い、パワー・ヒッター振りを見せつけたJUNNA(dr)にも驚かされた。ツイン・ギターからシングルとなり、曲の表情も変わったが、それを感じさせぬアレンジ力と、ソロでは美麗メロディを奏でる巧者っぷりを見せたリーダー:Sakura(g)の堂々としたプレイも光っていた。終盤2曲は昨年発表EP『Life Goes On!』からの「天下五剣」&「Life goes on!」で、新生HAGANEを誇らしげにアピールしてステージを去っていった。(別府)

HAGANE 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. BlackCult
2. SoulBeats
3. Connect
4. 天下五剣
5. Life goes on!

凪希(vo)

Sakura(g)

TERRA ROSA

午後3時、METALステージにテラ・ローザが降臨! 全体で4バンド目と、キャリア40年超を誇る様式美HR/HMの大御所にはちょっと早い出番だが、観客の殆どにまだ体力が有り余っている時間帯と考えれば、それはそれで良かったのかも。バンド・ラインナップは、唯一のオリジナル・メンバーである首魁キーボーダー:岡垣“JILL”正志に、三宅庸介(g)&堀江睦男(dr)とデビュー・アルバム『THE ENDLESS BASIS』(1987年)の2人、さらには、岡垣が率いるアフロディーテの荒木真為(vo)、OIL、クラウド・フォレスト他の宇都宮“LEO”清志(b)を加えた5名。演目はすべて『THE ENDLESS BASIS』からとなっていた。

まず注目は、何と言っても三宅のギター・プレイ。メンバー・クレジットなどで、“ギター”ではなく敢えて“ストラトキャスター”とするぐらいストラト愛に溢れる彼の、自然体でありながらあまりに情感豊かな熱奏は、ギター本来の鳴りが何とも美味で、独特なタメも実に味わい深い。1986年のテラ・ローザ加入時、無名の新人だった彼は当時若干19歳。ただその頃より、ネオ・クラシカルな様式美路線から逸脱しないまでも、エモーショナル&オーガニックに奔放さを全開させまくっていた持ち味は、50代半ばを過ぎた今も大健在。岡垣によるヴィンテージなオルガン・サウンドとの相性も、今もって抜群と言う他ない。

注目の荒木は、冒頭曲「One Of Sections “Lap”」を歌い始めるや、すぐに観客を掌握。基本オリジナルを忠実に再現しつつ、決してコピーには終わらない巧みさと、関西のオバチャ…もとい熟女の魅力(笑)でフレンドリーなオーラもまとい、見事に大役を果たしてみせた。圧巻は10分超の「もの言わぬ顔」! 40分ステージの真ん中にこの大曲をもってくるなんて流石だが、レインボーやディープ・パープルのフレーズを盛り込んだ岡垣の独奏に導かれてスタートし、エモ過ぎるギター・ソロもたっぷり堪能出来て、テラ・ローザの旨味のすべてを内包しているとも言えるこの重厚エピック・チューンを、堂々感動的に歌い切った荒木には、満員のフロアから大きな拍手と歓声が贈られていた。様式美一筋40年──その重みを受け止められるだけでなく、最良の形で表現し尽くすメンバーを集めての、貫禄のステージ、最高のパフォーマンスだったと断言したい…!!(奥村)

TERRA ROSA 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. SE〜One Of Sections “Lap”
2. Friday’s Free Fair
3. Key Solo〜もの言わぬ顔
4. The Endless Basis
5. Vision Of The Lake Bottom

荒木真為(vo/写真右)

三宅庸介(g)

岡垣正志(key)

兀突骨

イベント中盤の15時45分を少し回った頃、VAMPIREステージに“川越の残虐王”が見参! 無慈悲にテクニカルでブルータルなトリオ:兀突骨だ。その異名からカーカス・タイプなのかと思う人もいるかもしれないが、実はさにあらず。ラフな和装にて、戦乱の世の“もののあはれ”を体現する突撃エクストリーム・メタラーである。バンド名の由来は、『三国志演義』の登場キャラクター。そういえば、ベース兼シンガーの高畑治央はMCで侍言葉を使うのに、その風貌はどこか三国志の英雄:関羽を思わせる。またギタリストのJoe-Gこと円城寺慶一は、筋肉ギタリストとしてYG読者にもお馴染みだろう。

彼等は今回、現時点での最新作『黄泉ガヘリ』(2023年)収録曲を演目に加えず、それ以前のアルバムからのみセレクト。そう、デビュー15周年を祝う2枚のコンピ──ベスト盤『血塗ラレタ旅路』とレア音源集『疾風ノ如ク』の昨年末リリースに伴うセットリストを組んでいたのだ。長尺曲が多いため4曲しか演奏されなかったが、どの曲も激烈&激速の超難曲だからして、みんな充分お腹いっぱいになったのでは? 実際、マッチョなJoe-Gだからこそ可能な、文字通り力技の鬼刻みと殺人的シュレッドは、そのピッキング&運指に吸い込まれてしまいそうなぐらい濃密この上ナシ! あのBPMであれだけ正確に弾ききるには、やはり並外れたフィジカルが必須と痛感し、Joe-G筋肉道場への入門者が続出…か? いや〜しかし、あの暴虐的激しさであの整合性は眼福としか言いようがない。正に、ありがたき幸せに存じ奉り候…!!!(奥村)

兀突骨 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. SE〜復讐ノ祝詞
2. 文物ト戦
3. 殉教者
4. 兵ドモガ夢ノ跡

高畑治央(b, vo)

円城寺慶一(g)

SABBRABELLS

今年、ドイツのフェス“Keep It True”への出演が決定している大ベテラン:サブラベルズが、折り返しの16時半に登場。関口文一(dr)の病欠により、先日の大阪でのイベント参戦時と同じく青木直義をサポート起用しての出演だ。名曲スピード・ナンバー「Metal Saber」でショウはスタート。息が合わずにヒヤリとする場面もあったが、あっという間に立て直してフロアを盛り上げていくのは流石と思わせた。そこからヘヴィでメッセージ性の強い「破壊」へとつなげていく。

かつて“埼玉のブラック・サバス”と形容された彼ら。メジャー・デビュー以降は抑え気味となった、本来のヘヴィネスを堪能できる名曲に、身体も自然に揺れる。この日のセットは短めということもあって、定番曲中心ながら、どちらかと言えば、メジャー・デビュー以降のドラマティック路線を意識したような選曲でもあり、松川順一郎と佐野博之の攻撃的かつ美しいツイン・ギター・チームが曲を引っ張っていく。精密かつ技巧派な松川と、何をやるか分からない破天荒なノリのある佐野は、それぞれ正反対とも言えるソロを聴かせるが、ツインを駆使した展開となると、一糸乱れぬ流麗なハーモニーを聴かせるのはいつも驚く。それが彼らの魅力であるし、ドラマティックな面の牽引力となっているのも、この日のパフォーマンスが証明していたと思う。

完全体ではなかったかもしれないが、それでもインパクト充分で、来場者に爪痕を残したパフォーマンスであったと言いたい。最後に──フロアの盛り上がりにメロイック・サインで何度も返す高橋喜一(vo)は、やはり日本一“それ”が似合うヴォーカリストだと再確認させてもらった…!(別府)

SABBRABELLS 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. SE〜Metal Saber
2. 破壊
3. Cold Bloody Men
4. Running My Way
5. Water Night
6. Dog Fight
7. Devil’s Rondo

高橋喜一(vo)

松川純一郎(g)

佐野博之(g)

宮尾敬一(b)

青木直義(support dr)

ETERNAL ELYSIUM

海外でも人気の名古屋出身トリオ:エターナル・イリジアム──日本屈指のドゥーム/ストーナーの雄がVAMPIREステージに登場すると、場内の空気が一変した。そのサウンドは、ヘヴィで、エモーショナルで、フリーキー。メンバー脱退などでしばらく動きを止めていたが、2024年に首魁Okazaki(g, vo)以下、Togawa(b)、Ume(dr)という新体制にて再始動し、この“STRIKE BACK”出演が復活第2弾ライヴであった。

ドゥームといってもどす黒さはなく、ストーナーといってもトリップし過ぎない独自サウンドには、常に温かみが備わっている。リズムはタイトでありながらスウィングし、時に跳ね、その上でOkazakiのヘヴィ・ギターが奔放に舞う。興味深いのは、Okazakiが「新生エターナルは癒し系でいきます」とMCしたこと。日本語詞を歌うようになって、実際そのギター・プレイはサイケな柔らかさをまとい、そうした傾向は現体制にてより強まっていた…との印象。演目は新曲中心だったようだが、多くの観客が心地好いヘヴィネスに身を委ね、静かに体を揺らしていた。(奥村)

ETERNAL ELYSIUM 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. Trick Or Steal
2. Torus
3. Ingah
4. Anything We Have
5. SonoMono

Togawa(b)、Okazaki(g, vo)

PUNISH

結成直後で曲も殆ど揃っていなかった頃──2017年にこのクラブチッタのステージに立っていたPUNISHにとって、この日はある意味、凱旋ライヴだったと言えるかもしれない。2024年8月にリリースされたベスト盤『PUNISH ME MORE』のトップに収録されていた「Trace Of The Roamers」でショウはスタート。PUNISH流激情を内包した曲に、観客の反応は満更でもない。アースシェイカーの石原“SHARA”愼一郎(g)を中核に、“ジャパニーズ・メタルのスーパー・バンド”とでも言うべきキャリアを誇るメンバーが揃った彼らならではの、貫禄や余裕を感じさせるステージでの佇まいだが、曲は各メンバーが在籍する/していたどれとも違う不思議な魅力がある。馴染み易いメロディにグルーヴ感あるヘヴィネスが滲み、懐かしいようで新しい感覚も覚えるPUNISHワールドに惹き込まれていく。

日本人に馴染易いメロディを奏でるSHARA──アースシェイカーでは、どこか歌謡曲的側面を作曲面でもプレイ面でも感じさせる彼だが、ここでは似た感覚の情感を湛えながらも、SLYにも通じる硬派な質感のあるギター・ワークが肝だと言えるだろう。次々と印象的なナンバーを繰り出し、2024年末をもって脱退となる西田“DORAGON”竜一のドラムに導かれ、「Tide Of The Times」がラストに披露。同曲のサビでは、いくつもの拳が突き上げられていた。この日のセットは、彼らのハードさを打ち出したような構成だったのもあってか、名バラード「ダリア」が演奏されず、個人的にはそこが残念だったが、短いセットの中でどうPUNISHのインパクトを与えるかを考えたら、その選択肢は間違いではなかったと思う。(別府)

PUNISH 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. SE〜Trace Of The Roamers
2. Snake
3. No Regrets
4. Just A Blink
5. Cling Onto The Earth
6. Bumpy Road
7. アカイツキ
8. Tide Of The Times

久保田陽子(vo)

石原“SHARA”愼一郎(g)

寺沢功一(b)

CAUSE FOR PAUSE

VAMPIREステージのトリを務めたのは、OUTRAGEの別動隊とも言うべきCAUSE FOR PAUSE。ここ最近、彼らのライヴを何度か観ていたが、轟音とファンを巻き込んでの緩さが同居したステージで、それはそれで彼ららしいものであったが、この日はギラリと伝家の宝刀を抜いた極上極悪な素晴らしいパフォーマンスを披露していた。オープニングの「Bleed Out」から5曲目の「Cat & Nines」までMCもなく、暴虐的なグルーヴで畳みかけてくる。ここ最近の“fun”な感じも良かったが、個人的にはこの“STRIKE BACK”で披露したような、ひたすら轟音で攻め立ててくるステージの方が好みなので、これは嬉しいサプライズとも言えた。

太さの中に叙情的繊細さをさりげなく織り込む、職人っぷりを見せつける阿部洋介(g, vo)のプレイも流石と思わせる。8曲を全力で駆け抜け、ラストは彼らが敬愛するモーターヘッド色の濃い爆走ロックンロール「Outta Change」で、サビの歌詞を“Metal Vampire”と変えて、このイベントに参加した喜びをファンと分かち合っていた。ひとつ前のVAMPIREステージに登場したエターナル・イリジアムが、癒しとも言える優しさに溢れるグルーヴで会場を包んでいたのとは対照的なステージで、ファンを魅了していたのも印象的で、同じ名古屋出身ヘヴィ・ミュージック対決という意味でも、興味深く比較して楽しんだ人も多かったと思う。色々と事情はあると思うが、アウトレイジとしてではなく、CAUSE FOR PAUSE名義での作品も聴きたいと思わせる素晴らしいパフォーマンスだった。(別府)

CAUSE FOR PAUSE 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. Bleed Out
2. This Zombie Nation
3. Brain Storm
4. Tough Shit
5. Cat & Nines
6. Diamonds To Dust
7. Tonight Is The Night
8. Deadbeat
9. Outta Change

阿部洋介(g, vo)

安井義博(b, vo)

丹下真也(dr)

SABER TIGER

約8時間に及んだ本イベントの大トリを飾ったのは、“北の凶獣”サーベル・タイガー。昨年9月にニュー・アルバム『ELIMINATED』をリリースしたばかりの彼等は、当時ちょうど全国15ヵ所を廻る同作に伴うツアーの真っ最中。というか、この“STRIKE BACK”出演は、同ツアーの一環──神奈川公演として行なわれたようだ。驚いたのは、セットリスト本編がすべて『ELIMINATED』収録曲で固められていたこと。こうしたフェス形式のイベントに出る場合、多くのバンドが初見の観客を見越して、代表曲や定番人気曲を軸に演目を組み立てていくもの。しかし、サーベルにそんな定石など無用。飽くまで攻めの姿勢を貫き、初見なら新曲も旧曲も同じこと…とばかりに、唯我独尊のサーベル流メタル道を邁進するのみだ。

かねてより“最新作こそ常に最強”を信条としているバンドとしては、全曲に日本語詞を採用した『ELIMINATED』で“新たなスタートを切った”との思いも強くしていたのだろう。その意気は、ストイックさ満点の鬼気迫るパフォーマンスからも窺えた。ただ、言うまでもなくその頑固一徹さは諸刃の剣となる。熱心なファンが「流石サーベル!」と激賞する一方で──キャリアが長く、知名度もあるバンドだけに、初体験のオーディエンスに敷居の高さを必要以上に感じさせてしまったとしたら、何とも勿体ない…。いや勿論、その熱き信念に感服した新たなファンも、少なからず獲得したに違いないのだが。

その演奏力の高さ、バンド・サウンドに漲るパワー&パッションが、無条件に聴く者/観る者を惹き付けて止まないのも事実だ。エモーショナルだがテクニカルで、緻密さと大胆さを併せ持つ木下昭仁&田中“マシーン”康治のツイン・ギター攻勢には、誰しもが圧倒され、目を奪われること必至。また、昨今の不穏な世界情勢に“怒り”と“憂い”を持って対峙する下山武徳の激唱に、ひたすら魅了されまくった観客も少なくなかったろう。

ちなみに、ショウ本編ラストにプレイされた「Strike Back」は、本イベントのタイトルと同じだったり。そしてアンコールでは、2015年作『BYSTANDER EFFECT』から「Sin Eater」を披露。これまた現行ラインナップによるレパートリーであるから、今回サーベルは、過去を振り返らない姿勢を最後の最後まで突き通したのであった…!!(奥村)

SABER TIGER 2024.11.17@川崎クラブチッタ セットリスト

1. Intro(SE)〜斑の鳥
2. 昏い箱庭 3. 鬼哭の亡霊
4. 孤独と霧の彼方
5. Resist The Pressure
6. Strike Back

[encore]
7. Sin Eater
8. Outro:End Eternal(SE)

下山武徳(vo)

木下昭仁(g)

田中康治(g)

hibiki(b)

水野泰宏(dr

(レポート●別府伸朗、奥村裕司 Pics : Yuzi Okumura)

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