個性を生かす和モダンな鞄作り。たつの市で見つけた手作り工房『こみち』 たつの市
レトロな街並みが今も残るたつの市の城下町。その一角にある手作り工房『こみち』は、オンリーワンが叶うセミオーダーメードの鞄屋さん。
場所は、市営駐車場からすぐ近く。お向かいには以前取材した『菓子処 朔』があります。
古民家をリノベーションした趣のある店舗の中は、レトロな雰囲気を醸し出す鞄や雑貨が並べてあります。
店舗に置いてある商品は購入出来、また、内布だけ数色から選べるセミオーダーメードも注文可能。(※オーダーの場合は、数か月程お時間がかかるそう。詳しくはお問合せ下さい)
「子供の頃、欲しいカバンを買って貰えなかったんです」。そう答えるのは店主の大田黒さん。母親が鞄工場を経営し、幼い頃から鞄のパーツ作りが”家でのお手伝い”だったのだとか。ボタンを50個付けた。ポケットを100個裏返した…なんて日常茶飯事だったそう。
鞄は買って貰えない代わりに、“生地”だけは買ってもらえたという大田黒さん。「気に入らないなら、自分で好きな鞄を作りなさい」と母言われ、自然と鞄作りが当たり前になっていったそうです。
本格的に鞄作りを始めたのは子供の幼稚園バックを作った時の事。周りから“同じもの”が欲しいという要望が強く、その時初めて、自分の鞄作りに需要があるのを知ったのだとか。
その後、姫路のクラフトグループのイベントに参加したり、奈良の老舗鞄メーカーでの修行など、地道な活動が実を結び、今では審査に認めらないと出店出来ない姫路・神戸などの有名百貨店へ出店されるほどの有名店になりました。
こみちのカバンの生地は完全オリジナル。帆布(はんぷ)では無く、オックス生地を使用。薄く目が詰まり、強い耐久性もあるのが特徴です。
洗っても縮まない、アイロンをかけてもプリントが溶けない、プリントがひび割れない、色あせないなど命一杯自分の要望を盛り込んだ生地の提案に、一度は布の製造業者を怒らせたこともあるのだとか。
また、縫い終わりが分からないように丁寧に処理してあるなど、他のお店とは一味違う丁寧な造りが人気を呼んでいます。
人気なのはこの「がま口リュック」。がばっと大きく開くがま口はレトロな雰囲気がまた似合う一品。
こみちの鞄に使用されている持ち手の紐や肩紐は朱に近い真っ赤な赤が特徴的。
実はこの紐は前掛けに使われている紐と同じ紐。インパクトの強さからこの“赤”を選んだ大田黒さん。印象的なそのデザインから、コアなファンからは、根強いリピーターも多いそう。
これなら居酒屋さんにもバッチリ似合うデザインかも!
ちなみに筆者がコレかわいい!と思ったのは、この「ぷらりポーチ」。紐は取り外しも出来、ベルトなどに引っ掛ける事も可能と機能性も充実。
中には黄色い裏地と渦巻模様のポケットが。ちなみにこみちではセミオーダーも受注でき、赤・紫・黄・紫の4色、ポケットは赤・緑・藍色の唐草模様から選ぶ事が出来るのだとか。
ドリンクホルダーも人気商品の一つ。どの商品も同じものが無いので好きな柄を選んで買われるお客様もおられるそう。
変わり種なのは、こちらのオリジナル下駄。大阪の業者に依頼して、一つ一つ丁寧に作って頂いているのだとか。
「どれもこれも大切な子達なんです」と大事そうに商品を抱える大田黒さん。「母は量産型の鞄を大量生産していましたが、私は一つ一つ丁寧に時間と手間暇をかけて作っていくのが本当に楽しいんです」。そう嬉しそうにおっしゃっていました。
「どこにいても認められる、信用してもらえる鞄屋でありたい」と、さわやかな笑顔で語る大田黒さん。少し控え目ながらも、周りから注目されるその存在感は、彼女のインパクトのある鞄と同じよう。
長く使い続けれるレトロな『こみち』の鞄。百貨店を含めたイベントでも販売されることがあるそうで、お店のInstagramで告知されます。
場所
手作り工房 こみち
(たつの市龍野町川原町134)
時間
11:00~17:00
TEL
090-6209-5639