【東京街角クイズ】この写真、どこの踏切でしょう?
鉄道好きのなかには、とりわけ踏切がお気に入りという人もいるそうだ。「ウチの子が近所の踏切に夢中で……」なんて話も聞く。マニアや子供じゃなくたって、なんとなく魅力はわかるという人も少なくないだろう。音が鳴り、ランプが光り、遮断機が動き、電車が間近を横切る様子は独特の風景だ。そして、地域や路線によって特徴もある。というわけで、写真の踏切がどこなのかを当てるクイズ!出題範囲は東京23区内。拡大すれば住所などの記載が見られる写真も多いが、まずは文字に頼らず風景だけで言い当てることを目指してほしい。また、エリアや路線名だけでなく踏切の名前も当てることができれば達人……いや、鉄人の域だ。【ご注意!】各出題画像の下、矢印のすぐ後に解答・解説を記載している。勢い余って答えが見えちゃうことのないよう、ゆっくりとスクロールしながら挑戦されたし。それでは、チャレンジスタート!
第1問
正解は……高田馬場2号踏切@高田馬場(西武新宿線)
新宿区下落合1丁目、西武新宿線の高田馬場駅~下落合駅間の高田馬場駅寄りにある。踏切の北から撮影したもので、すぐ後ろが新目白通り。それなりに細い道だが一方通行ではなく、人通りも多い場所だ。
文字情報を除けば、一番のヒントは間違いなく黄色い電車。西武線といえば黄色! というイメージもあるが、このカラーの編成数は徐々に減っているのだとか。また、周辺は外国人留学生向けの日本語学校が多く、写真にも「日本外国語専門学校」のビルが写っていて、その看板の文字の一部が見える。
第2問
正解は……穴守稲荷第1踏切@穴守稲荷(京急空港線)
大田区羽田4丁目、京急空港線の穴守稲荷駅のすぐ東で、穴守ふれあい通りと交差する踏切だ。写真は駅の南側から撮影。写っているのは京急ではなく、乗り入れている地下鉄浅草線の車両だというのがなかなかのトラップだったかもしれない。
商店街を電車が横切る踏切とあって、青果店の軒先に積まれた野菜や果物のすぐそばを電車が通り抜けてゆくところが趣深い。羽田空港方面への線路は、ここから東側で地下に潜っていく。
第3問
正解は……戸越公園1号踏切@戸越公園(東急大井町線)
品川区戸越5丁目、東急大井町線戸越公園駅の西側にある踏切。線路がゆるくカーブを描く地点にあり、とごし公園通りを横切っている。写真は南から見たところだ。
両隣の下神明駅と中延駅は高架化されているが、戸越公園駅付近は地上を走っているため踏切が多い区間。東側から下神明1号と2号、この戸越公園1号の先に2~4号まである。この区間は立体交差化されることが既に決まっていて、いずれ様変わりする景色だ。
第4問
正解は……第一雲雀ヶ谷踏切・東第3号踏切@北池袋(JR埼京線・東武東上線)
豊島区池袋本町1丁目・上池袋3・4丁目、東武東上線北池袋駅の北にある踏切。写真は踏切の西側から見たところで、右に写っているのが北池袋駅のホームだ。
東武東上線だけでなくJR埼京線の線路も並行して東側を走っているため、横断する距離は長い。それぞれに名前がついているが、踏切としてはひとつだ。雲雀ヶ谷(ひばりがや)はこの付近の古い地名で、大正時代の地図などでその地名が確認できる。
第5問
正解は……北千住一丁目踏切@北千住(JR常磐線・上野東京ライン)
足立区千住1丁目・千住東2丁目・千住旭町1丁目などの境界付近で、北千住駅の南にある踏切。写真は西側から見ているところ。ここを通る線路はJR常磐線と上野東京ラインだが、すぐ東には東武伊勢崎線の伊勢崎線第22号踏切も並んでいる。そのほかにも、高架の地下鉄日比谷線やつくばエクスプレスが立体交差している地点でもある。横切る道路は大踏切通りという名前だが、まさしく“大踏切”といった貫禄ある規模だ。
第6問
正解は……芦花公園5号踏切@千歳烏山(京王線)
世田谷区南烏山4~6丁目、京王線千歳烏山駅の東側すぐにある踏切。横切るのは、えるもーる烏山のメイン通りで、穴守稲荷と同様に商店街の通りを横切るかたちだ。写真は南から見たところ。
踏切のそばには地下自由通路があり、その利用を促す歩行者向けの案内板も立っている。撮影時は平日の日中だったが、かなりの数の人が踏切が開くのを待って通っていた。
第7問
正解は……第二中里踏切@駒込(JR山手線)
北区中里1~3丁目、JR山手線の駒込駅~田端駅間にある。2025年時点では、山手線で唯一の踏切だ。写真は南から見たところで、撮影地点の足元は跨線橋。下を湘南新宿ラインの線路が通っていて、2路線はここより少し東で交差して湘南新宿ラインが北上していく。駒込駅の東側あたりから徐々に高低差が開いていくため、線路の脇を歩いていくと立体的な景色が楽しめる。
第8問
正解は……新宿1号踏切@代々木(小田急線)
渋谷区代々木2丁目、小田急小田原線の新宿駅~南新宿駅間にある。ちょうどカーブの部分にあたり、そのため横断する距離も長い。新宿駅から小田急小田原線に乗ると、ホームを発車後、視界が開けたらいきなりこの踏切の風景が車窓に現れる。
ここから新宿駅方面に向かって道路は上り坂になっていて、さらに新宿サザンテラスから続くデッキもあるため、行き交う電車を見下ろすこともできる踏切だ。
第9問
正解は……亀第22号踏切道@亀戸(東武亀戸線)
江東区亀戸5丁目、東武亀戸線の亀戸駅東側にある踏切。すぐ南をJR総武線が並走している地点で、その下をくぐるトンネルから小道がつづく形でこの踏切になる。今回出題した踏切のなかでは唯一、車が通れない歩行者専用の道だ。
東武亀戸線は、曳舟駅~亀戸駅を結ぶ約3.4kmの路線のなかに20カ所以上の踏切があり、ここは最も亀戸駅に近い踏切。ローカル線の風情が強めで、乗車して車窓からひとつひとつ踏切を眺めるのも楽しそうだ。
第10問
正解は……上野車検区の踏切@上野(地下鉄銀座線)
台東区東上野4丁目、地下鉄銀座線の踏切。上野駅から離れ、昭和通りの1本東の通りに突如現れる踏切だ。「地下鉄の踏切」という矛盾した言葉が成立しているのは、営業区間ではなく車両基地に出入りするための線路だから。地下から上がってきた線路が、上野車検区に入る手前で道路を横切る地点というわけだ。
出題したなかには“開かずの踏切”も多数あったが、ここは閉まっているところに出会えることの方がレアな踏切。朝夕のラッシュの時間帯には電車の出入りを目撃できる可能性が高いようだ。
全10問、終了! おつかれさまでした。
今回は、街の風景に彩りを添えてくれるものとして踏切をのんきに鑑賞してみたが、インフラとしては課題があるのも事実。立体交差化や地下化によって年々その数を減らしているのも、やむを得ない流れなのだろう。でも、いやだからこそ、待ち時間が長いからとうんざりせず、いずれ見納めになるかもしれない風景だと思って観察してみよう。思いがけない発見があるかもしれない。
文・撮影=中村こより
中村こより
もの書き・もの描き
1993年東京生まれ、北海道育ち。中央線沿線に憧れて三鷹で暮らした後、坂のある街に憧れて現在は谷中在住。好きなものは凸凹地形、地図、路上観察、夕立。挑戦したいことは測量と東海道踏破。