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二本松駅前のもつ食堂で、春の陽気とやわらか白もつに包まれる

日刊CJ

第91回「左近(さこん)」

第91回の「ふくしま定食部」は、春の陽気に誘われて、小遠征をと東北本線に乗り込み二本松駅へ向かいます。折角なので二本松市街をぐるりウォーキングしたら、戻り足に「二本松神社」を参拝。

門前町として栄えた頃を思い浮かべて二本松神社を参拝

二本松藩領内の総鎮守「二本松神社」は参拝者も多く、かつては茶屋や商家が立ち並ぶ門前町として栄えていました。当時の商家の賑わいを思い浮かべていたら、下町で親しまれる鉄板もつ焼きが頭を過ったので、2024年5月オープンの『左近(さこん)』さんへ向かうことにします。

神社から駅前通りを下り、アーバンホテルの交差点からひょいと路地を覗いて、のぼりが見えたらオープンの合図。

石田三成の「大一大万大吉」を彷彿とさせる総白の大きな暖簾

白地の大きな暖簾には毛筆体の店名と、遠目に見たら「SE○YU」のようなロゴマーク。石田三成が掲げる「大一大万大吉」の総白の旗のようなカッコよさ。それもそのはず、店名の由来は石田三成に仕えた武将・島左近から。

遊園地で、もつアトラクションを楽しむかのような店内

引き戸を開けると、遊園地のコーヒーカップのように配置されたテーブル。その奥から関西イントネーションで「いらっしゃい♪」と温かく迎え入れていただきました。

厨房に向かって右手の席に陣取り、壁のメニューを眺めます。『左近』さんのメニューは、潔くもつ焼き・もつ煮・もつ焼きうどんのみなので迷いも少ないんです。

壁に貼られた厳選メニュー

福島ではもつ焼きと聞けば、串に刺さったやきとんか、野菜と濃厚味噌で炒めるホルモン炒めなイメージ。

しかし、『左近』さんのもつ焼きは、大阪の鉄板もつ焼きがベース。ウォーキング後ということも相まって、下町スタイルに倣い、もつ焼き定食に瓶ビールを添えましょう。

先行して到着した瓶ビール(600円)
ファイヤー調理で炒められるもつは、鉄板もつ焼きさながら

ビールとグラスが供されたら調理開始。程なく厨房に立ち上るファイヤー!高温で焼かれるもつが奏でるソプラノ。タレが焼ける香ばしい香り立ち込めれば、その香りをアテにビールを煽ります。

最初は、褐色のもつ焼きに誘われての訪問でしたが、いつしか店主との関西談義が楽しくて何度も寄らせていただいています。

ボリューミーなもつ煮(単品690円)

もちろん、メニューもほぼ制覇。もつ煮は、いわゆるもつ煮込みの範疇を超える、もつ入りの煮物とも言うべき、根菜たっぷりの食べ応え。

じっくり煮込まれた柔らかいもつは、差し込まれた炒めもやしの香ばしさも良いアクセント、ゆで玉子も丸々入って豪勢なひと皿。

鉄板がうれしいもつ焼きうどん(790円)

もつ焼きうどんは、もつ焼きの甘辛い特製タレがよく絡んだうどん。丁寧に処理された大振りなもつのコクと、トップの紅生姜の爽やかさを一緒に頬張れば、クセになる関西ライクな濃厚旨味。

大阪出身の店主は縁あって二本松市へ。元々、肉関連の飲食店で働かれていたこともあり、この辺りにはあまりないもつ焼きの味を広めたいと一念発起。もつは硬いんじゃないかという概念を変えたいと、丁寧な下処理で臭みの無いやわらかなもつを提供されています。

紅生姜トップはまるで活火山!アツアツで供されるもつ焼き定食は890円

BGMの80年代洋楽に揺れながら待つこと10分ほど。鉄板に乗った零れんばかりのもつ焼きが、ライスと味噌汁を伴って運ばれてきました。

店主がドラマーだからか、ライスギターと味噌汁ベースの後ろにどっしりと構えたもつ焼きドラムはまるで湯気をたてたもつライブの開演を待つよう。

店内にドラムセットが置かれたもつ専門店はここだけかも

さて、コチュジャンの効いた特製甘辛タレが絡むふっくらもつと、たっぷりたまねぎを箸で摘まめるだけ摘まんだら、ひと口目のドラムロール!

口の中で混然一体となったもつ焼きは、食道から胃、毛細血管の隅々にまで旨みがじんわり染み渡って行くよう。

大阪スタイルはもつのみですが、定食としてライスにも合うようにと、たまねぎを加えているので、価格を抑えたボリューミーが実現。

焼き目も愛おしい大振りもつ
“もつ”ろん、ライスに乗せても最高!

もつの食感も、白もつならではのフワフワ寄りのプリプリ!特製ダレの濃厚さと、溶ろけるもつの優しさの緩急。それはまるで、マラソン選手への叱咤激励とゴール後に包まれるタオルの優しさ。

タレの染みたたまねぎは、予想以上にライスを加速させるので、BGMが「シスコはロック・シティ」に変わったタイミングで、ハイボールを追加して後半戦へ突入。

濃淡ブラウンの競演。もつ越しに届いたハイボールは500円
駅前でいただく地酒がまさかの500円

メニューは単品オーダー可で、しかも11時半からの通し営業ですから、お昼のちょい飲み…。訂正、ウォーキングの給水ポイントとしても好適地。

ハイボールともつ焼きの同時フィニッシュに成功して、下り列車の時間まで店主としばし談笑。

せっかくの二本松。お店から最も近い「檜物屋酒造店」の千功成。しかも地元の方が愛飲する地酒オブ地酒の「金瓢」ですから、逆に二本松市外にはあまり出回らないかもしれませんね。これは〆の一杯に…が自然の流れ。

しっかり胃袋の隙間まで埋めつくしたらお会計です。提灯祭りの太鼓台が繰り出す二本松で、ドラマー店主が作るもつ焼きに腹鼓を打つ幸せ。二本松の人と人、大阪と福島の繋がりを、取り“もつ”熱いもつ食堂。

少年隊像の切っ先をマトリックスのようにかわして「二本もつ駅」へ

『左近』さんは、二本松駅まで徒歩2分、ムーンウォークで3分。少年隊像の切っ先をかわせる程度のほろ酔いに抑えて、再び東北本線に揺られて帰ります。

次回は塩味のもつ焼きで寄らせてくださいね、ごちそうさまでした!

左近

住所
二本松市本町2-197

電話番号
070-1302-8588

営業時間
11:30~21:00

休み
不定休

駐車場
あり

リンク
https://sakon-nihonmatsu.com/

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