大通りを貨物列車が横切る圧巻の光景!山口県岩国市で今なお現役な知られざる専用線に行ってみた!
取材日:2025.9.1
text & photo:福島鷺栖
■山陽本線の拠点「岩国」の専用線とは?
【写真】令和の今でも「専用線」らしい魅惑の光景が広がる!詳しい写真をもっと見る!
山口県岩国市は、錦帯橋などの観光名所がありながら瀬戸内海沿いの臨海地区には大手メーカーの工場が数多く軒を連ねており、工業地域としての側面を持ち合わせた山口県東端の街です。その工場地域の中に、大手製紙メーカーである日本製紙の工場があります。今回ご紹介する専用線はこの日本製紙の岩国工場に併設された路線です。
朝の8時ごろの入換風景。工場入口から出てくる貨物列車は圧巻!
■草生した線路、貨車門…求めていた専用線の光景がここに!
広島駅から227系に揺られること約1時間弱。山口地区と広島地区の境でもある岩国駅に着くとその広い構内が現在も交通の要衝であることを感じることができます。リニューアルされ、きれいになった駅の東口に出て広島方面へ線路沿いに北側へ進むと、ほぼ北へ真っすぐ延びる山陽本線とは別に東へ草生した線路が伸びていきます。この線路こそがまさしく今回ご紹介する専用線です。工場の手前では幹線道路を横切る立地にありながらも遮断機が設けられていない非常にディープな光景が広がっています。
さらに、工場の入り口までは駅から徒歩10分ほどと観察もしやすいのも魅力です。
工場入口に設けられた専用線。
朝の入換は8時頃に始まるという目撃情報を頼りに訪れたところ、この日は8時過ぎに貨車門が開きました。工場構内での入換のため何度か機関車が顔を出しますが、発車前に組成を行うため、出発はもう少し先のようです。
8時過ぎに貨車門が開く。専用線ファンとしてはテンションが上がる瞬間だ。
ところで、岩国駅の専用線といえば、その界隈ではかつてDD16タイプの入換機が活躍したことでも知られていますが、現在は北陸重機製の青い入換機となっています。DD16タイプが現役のころは車扱いもあったそうですが、現在はコンテナのみの取り扱いとなっています。
現在の入換機。北陸重機製の4軸のものが使用されている。
かつて使用されていたDD16タイプの入換機(DD521)。国鉄色にゼブラ柄のスカートが印象的だった。
‘08.04.08 日本製紙岩国工場専用線 P:倉田秀夫
(今日の一枚Memoriesより)
■JR線での引き渡し光景も必見!
列車の組成が完了し、9時前ごろになると列車が遮断機のない踏切をゆっくりと横断していきます。遮断機がないため踏切手前でいったん停止して、係員の誘導に合わせてゆっくり長編成のコキ車が横断する光景は、まさに専用線観察の醍醐味といえるでしょう。
大きな幹線道路を専用線が横切る光景は圧巻。機関車は変わってもこの光景の魅力は変わらない。
工場を出発した列車は、岩国駅構内の手前まで進んでいきます。構内にはHD300が待機しており、ここでHD300は工場からの貨車を、入換機は構内に留置されていた着便の貨車をそれぞれ交換する形で付け替えます。
「HD300が先に貨車を引き上げたのち、入換機が専用線へ貨車を引き込む。入換の様子は国道2号線の山陽本線との交差部から観察することができる。
帰りは着便の貨車を工場内に引き上げるため、行きと同じく幹線道路を長い貨車が横断する光景を見ることができます。また、工場内は専用線を横切る形で構内道路が設けられている関係か、編成を複数に分割する必要があるため遠目にその光景を見ることも可能です。
なお、周辺は国道2号線など交通量の多い道路が多いので、撮影時は周囲に十分注意して臨んでいただきたいところです。