京のお雑煮は白味噌が決め手! ~京都で白味噌雑煮が食べられるお店やお正月のお菓子・花びら餅もご紹介~
お正月に食べるお雑煮は、地域によって、具材や味、お餅の形状などの中身に違いがあることがよく知られています。京都のお雑煮は白味噌仕立てが多いことから、なんと白色なんです!
今回はお雑煮だけでなく、京料理に欠かせない「白味噌(しろみそ)」の魅力について、ご紹介します。記事の後半では、白味噌雑煮が食べられるお店も合わせてご案内!
西京白味噌(本田味噌本店)
京都のお雑煮とは
何をもって「京都のお雑煮」とするのでしょうか?京都に住んでいても他地域出身という方もおられるので全てではありませんが、やはり白味噌仕立てで作る家が多いです。具は頭(かしら)いも、大根、まるく切った人参(日の出人参)などがよく使われます。お餅はやっぱり丸餅です!丸餅は「円満」を意味しており、他の具も「角が立たない」ように丸形に切って入れます。
京都ではなぜ白味噌を使うようになったのでしょう?200年前より京料理を支える本田味噌本店に、その理由をお聞きしてみました。
なぜ京都では白味噌なのか?
本田味噌本店
本田味噌本店は約200年前に初代・丹波屋茂助が御所の用命をうけ、宮中のお料理用に味噌を献上したのが始まりです。明治維新後には一般の方にも味噌を販売するようになり、今ではすっかりお馴染みです。今回は本田味噌本店 営業部副部長の田中淳子さんと、営業部販売課係長の人見さゆりさんに白味噌についてお話をお聞きしました。
「京都で白味噌を使う理由は、宮中の正月を始めとするハレの節会で重用されたからではないでしょうか。砂糖が貴重品だった頃には、甘味料としても使われています。当社の味噌は、明治維新で江戸が東京になり、東京に対して京都を西京とも呼んだことから『西京味噌』と呼ばれるようになりました。西京味噌は米麹を大豆の約2倍使用し、塩分5%で仕込んだ甘味の強い味噌。短期間で醸造するため、色は白く仕上がります。保存食としてではなく、嗜好品として楽しめるのが京都ならではの贅沢だったのかもしれません。
おすすめしている白味噌雑煮の作り方は、出汁を使わず西京味噌を水(お湯)に溶かして、具材に丸餅・頭いも※1・祝大根※2・小芋を使います。白味噌雑煮を食べたことがない方は、ぜひ一度作ってお召し上がりください。まろやかで美味しいですよ。
実は、お雑煮以外にも西京味噌はいろいろな料理に使われており、幽庵(ゆうあん)焼きや西京漬け、賀茂なすの田楽などが挙げられます。お菓子だと松風※3、白味噌ダレのあぶり餅、祇園祭のちご餅、柏餅、花びら餅などです。意外と気づかずに食べていることもありますよ。ひとくちに白味噌と言っても造られるお店ごとのこだわりがあり、特徴も異なります。食べ比べてお好みの味を見つける楽しみもありますね。」
※1 サトイモの親芋のこと、縁起物として使われる。
※2 輪切りにした時、丁度いい大きさになるように作られている正月の雑煮用大根。
※3 小麦粉、砂糖、麦芽飴、白味噌を混ぜ合せて自然発酵させ、生地表面にケシの実を振って焼き上げた京菓子のこと。
京都では白味噌を使った食べ物が多く、色々な方法で美味しく食べられているのですね。お二人からご家庭でも作れるレシピを教えてもらいましたのでご紹介します。
お家でも作れる!白味噌雑煮レシピ
白味噌雑煮 画像提供:本田味噌本店
それでは、本田味噌本店がオススメする白味噌雑煮のレシピをご紹介します。
材料4人分
・西京白味噌 140g(※大さじ1杯で約20g)
・水400㏄
・頭いも 4個
・小芋(里芋)4個
・祝大根1本
・丸餅 4個
・花かつお 適量
作り方
(1)頭いもと小芋、輪切りにした祝大根を下茹でして、火を通します。
(2)丸餅は焼かずにやわらかくゆでます。
(3)水に西京白味噌を溶かし、軽く煮立てます。
(4)(3)と具材をあわせてお椀に盛り付け、花かつおをかけて頂きましょう。
(※白味噌の風味を生かすために、だしをとらずに水だけでも美味しくいただけます。)
西京白味噌があれば作れそうなレシピですね!
株式会社本田味噌本店
店舗:本田味噌本店
住所:京都市上京区室町通一条上ル小島町558
営業時間:10:00~18:00
定休日:日曜※12月は日曜日も営業
※2025年1月1日~1月3日は休業
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=5&tourism_id=2512
また、お料理が苦手な方や京都に行くご予定がある方のために、白味噌雑煮が食べられるお店を探しました!初詣で冷えた体をお雑煮で温めるのにもピッタリです!
京都で白味噌雑煮が食べられるお店紹介
1.一乗寺中谷
詩仙堂や圓光寺に近い一乗寺中谷では「京雑煮のいろどりごはん」が食べられます。和菓子屋さんなので丸餅は毎朝つきたてで、お赤飯も蒸したてなのが嬉しいポイントです。ランチにぴったりのボリュームでお腹いっぱいになりそうですね。
店舗:一乗寺中谷(いちじょうじなかたに)
住所:京都市左京区一乗寺花ノ木町5番地
営業時間:通常 9時~18時(ラストオーダー17時)(定休日:水曜)
年始 2025年1月1日~4日10時~17時(ラストオーダー16時)※1月5日~9日は店休日
白味噌雑煮の発売期間:年中
価格:1,200円(税込)※2024年12月現在
https://www.ichijouji-nakatani.com/
2.大阪屋こうじ店 三条神宮道
画像提供:糀屋cafe
糀屋(こうじや)caféは、糀を作るのに適した土地である舞鶴に本店を構えており、京都府北部のお雑煮を頂けます。京白味噌にカツオ出汁、鰹節、丸餅というシンプルなお雑煮で糀屋ならではのお味を楽しめます。平安神宮すぐそばの神宮道にあるので初詣の行き帰りに寄りやすいですね。
店舗:糀屋cafe
住所:京都市東山区三条通神宮道東入中之町181
営業時間:11時~17時(ラストオーダー16時)(定休日:月曜)
2024年12月30日・31日は定休日、2025年1月1日から通常営業、1月6日は定休日。
白味噌雑煮の発売期間:年中 ※年始は正月雑煮という別メニューに変更。
https://www.namakouji.com/shop/sanjyo.html
京都のお正月には花びら餅も欠かせない
画像提供:とらや
京都のお正月に欠かせない、白味噌を使ったお菓子といえば「花びら餅」です。花びら餅はどんなもので、いつ始まったのか。なぜお正月に食べられるのか。とらやさんにお聞きしました。
「花びら餅とは、お正月にいただく味噌餡仕立ての上品な和菓子です。とらやの『花びら餅』は、円い餅に小豆色の菱形の餅を重ね、中央に甘く煮た牛蒡(ごぼう)と味噌餡を置いて、半月状に折ったものです。
これは、宮中の正月料理の祝膳の一つである「菱葩(ひしはなびら)」をもとに考案されたお菓子です。「菱葩」は、平安時代から行われていた、長寿を願って固いものを食べる「歯固め」の風習から生まれたと言われています。
餅は望月(満月)の「望」に通じることから円満の象徴であり、牛蒡は地中深く根をはることから家の安泰を願う意味が込められています」
花びら餅は平安時代の風習から生まれたお菓子なんですね。現代では、新年で最初に行われるお茶会「初釜」で用いられるお菓子としても知られています。だいたい年末から1月上旬くらいまでしか販売されないので、食べたことがない方はぜひこの期間に探してみてくださいね。
◆とらやでの取扱期間や販売店舗
取扱期間:2024年12月29日(日)~2025年1月15日(水)
価格:648円(2024年12月現在)
販売店舗:京都一条店・京都四條南座店・京都髙島屋S.C.売店・京都大丸売店・ジェイアール京都伊勢丹売店
<参考>
京都駅周辺で正月料理が食べられるお店一覧
https://global.kyoto.travel/resource/global/download/72-pdf.pdf
お雑煮が食べられるお店一覧
https://global.kyoto.travel/resource/global/download/237-pdf.pdf
記事を書いた人:Kyoto Love.Kyoto
京都の街、そして京都にかかわる人たちの役に立ちたい。そんな想いを原点に、人と人、人と地域との交流のなかで見つけた物語をまちかどの語り部たちが発信しています。智恵の循環が紡ぎ出す、京都人でもよく知らない京都、そして深遠なる京都の魅力を伝えていきます。
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