水の惑星・地球にある<水の総量>はどのくらい? 人間が使える真水は0.01%に過ぎない
蛇口をひねるとすぐに出てくる「水」。
この当たり前の存在である「水」は、実は非常に量が少なく、貴重であることを知っていますか。
地球上に存在する水量と、そこから考える淡水環境・淡水生物の貴重さをご紹介します。
地球の水は○○トン
地球上に存在する水量はどのくらいか?
これは「約145京トン」と言われています。京は兆の1万倍です。
なかなか想像ができない数字ですね。
もちろん、そのほとんどは海の水です。約145京トンのうち、海の水は97.5パーセントです。
さすが地球表面の約70パーセントを占める海、その総量もすごい量。この広く大きな海にたくさんのいきものたちがいるのも頷けます。
海水量が約145京トン中の97.5パーセントということは、ヒトが使える水(淡水)は2.5パーセントだと思うかもしれませんが、実際はもっと少なくなります。
人間が使える<真水>の少なさ
淡水2.5パーセントのうち、約70パーセントは極地の氷床や雪床です。
北極や南極が如何に雪や氷で覆われているかがわかりますね。もちろん、これらの氷床を私たちが普段の生活で使うことはまずありません。
余談ですが、世界最大の氷山「A23a」の大きさは面積3672平方キロメートル(2024年8月時点)と、東京都の2倍の大きさがあります。氷山は私たちが思ってるよりも、ずっと大きいのです。
以前足を運んだ博物館で南極展が開催されており、南極の氷に触る機会がありました。当時、とても興奮したのを覚えています。しかしよく考えると、地球上の水量的には、普段私たちが使っている水の方が貴重だと言えるのかもしれません。
さらには、地球上の地下水の半分以上は掘り出すことができません。
よって、私たちが利用可能な水は、川や湖、浅い地表を流れる地下水に限られ、その量は地球表面の約0.01パーセントに過ぎないのです。
淡水環境が貴重な理由
ここで勘のいい方は気づくかもしれません。
世界には海水魚のみならず、多種多様な淡水魚もいます。アマゾンに生息するピラルクなどの巨大熱帯魚もいれば、日本に生息する小さな淡水魚もいます。
このうち、そのほとんどが前述のごくわずかな淡水の中で暮らしているのです。
さらに同じ生き物でも棲んでいる水系(ひとつの大きな川に繋がる全ての川や池のこと)ごとに持っている遺伝子が違う場合があります。地球上のごくわずかな淡水環境中にこれだけ多種多様な淡水生物が生息しているのは驚愕です。
何百万年とかけて作られてきたこの環境を無理やり破壊したり、外来種を放流したりするとどうなるか……。環境保全や外来種の問題はそうした側面も含んでいるのです。
当たり前じゃない、水のありがたさ
地球上の水の総量は、生命が誕生してからほとんど変わっていません。
絶えず蒸発して大気に戻り、また地表に降り注ぐという循環を繰り返しています。そこにヒトが下水を直接流したり、地下水を蓄えている山々を過度に削ったり、マイクロプラスチックなどを流してしまうと、その循環が機能不全となり壊れかねないのです。
先に述べたような外来種問題はもちろん、水環境の破壊は私たちの生活にも悪影響を及ぼしかねません。
水や水生生物、環境への意識を高めることで、普段水を使う際や淡水の生き物を扱う際に、少しでも節水したり、淡水生物を無下に扱うことを防いだりしませんか。
(サカナトライター:みのり)