兵庫・豊岡に音楽の熱狂を、フレデリックとDENIMSが10年ぶりの対バンで届けたい想い、ルーツと地方でのライブの意義を語る
11月9日(土)、『TOYOOKA MUSIC DAY’24』が兵庫・豊岡市民会館文化ホールで開催され、フレデリックとDENIMSが出演する。本イベントは、芸術に力を入れる豊岡市の街づくりの一環として企画されたもの。「アーティスト・イン・レジデンス(滞在型芸術制作)」や『豊岡演劇祭』などを行う豊岡市が、街や若者に音楽を根付かせるため「都市部へのアクセスがしにくい豊岡市に、生のエンタメの迫力や熱狂を届けるべく」実現した。フレデリックの赤頭隆児(Gt)は豊岡市のお隣の朝来市出身ということもあり、思い入れは強い様子。
今回SPICEでは、開催に先駆けてフレデリックの三原健司(Vo.Gt)、赤頭、DENIMSの釜中健伍(Vo.Gt)、岡本悠亮(Gt)の座談会を実施。さらに豊岡市民会館の藤原孝行氏も加わり、イベントへの想いや意気込みを語ってもらった。フレデリックとDENIMSはどちらも関西出身で、実は10年以上の付き合いがある間柄。両者共に、豊岡でのライブは今回が初めてだ。お互いのストーリーとライブへの想いを知ってもらい、ぜひ『TOYOOKA MUSIC DAY’24』に参加して、豊岡観光も楽しんでほしい。
街ぐるみで芸術を盛り上げようとしていることに、熱い気持ちを感じる(釜中)
ーーまず豊岡市民会館の藤原さんから、豊岡市の取り組みと『TOYOOKA MUSIC DAY’24』への想いをお話いただけますでしょうか。
藤原:はい。豊岡はなにが有名かと言うと、コウノトリと植村直己さんの出身の町です。
赤頭:植村さんは登山家です。
藤原:日本人で初めてエベレストに登った方です。
赤頭:植村さんの名前がついた球場とかもありますよね。
三原:アシストがすごい(笑)。
藤原:兵庫県北部の但馬地区の中でも、豊岡は特徴ある街づくりをしてきました。「アーティスト・イン・レジデンス(滞在型芸術制作)」という事業をスタートし、ダンスや演劇をされている皆さんが城崎に滞在して創作活動をして、「メイド イン 豊岡・メイド イン 城崎」を世界に発信する仕組みができました。2020年からは舞台芸術フェスティバル『豊岡演劇祭』を開催し、2021年には芸術文化観光専門職大学を開校して、演劇は比較的ベースがつきましたが、やはり音楽の部分がまだまだ薄いんです。若者が音楽に触れる機会を作っていきたいという想いから、今「ミュージシャン・イン・レジデンス」ということで音楽家の皆さんにも滞在していただいて、「メイドイン豊岡」を作って、若者と一緒に全国発信しようとしています。そのアプローチを担うとすれば、やはり音楽のホールである豊岡市民会館が中心になっていかなければならない。ここから第2・第3の波を作っていくためにも、『TOYOOKA MUSIC DAY’24』では会場をいっぱいにしたいんです。
ーーありがとうございます。どういったキッカケで豊岡で開催されることになったのでしょうか?
『TOYOOKA MUSIC DAY』スタッフ:そもそもは、自身がこれまで5〜6年、豊岡市とお仕事をさせていただいている流れがありまして、「若い子たちにバンドの音楽を届けたい」というお話からこのイベントに至りました。フレデリックとDENIMSを選んだ理由としては、フレデリックは隆児が豊岡近くの朝来市出身、健司と康司(三原/Ba)が宝塚出身で、DENIMSは関西でも知名度と影響力があって、組み合わせとしても面白そうだなと。それでこの2組で提案させていただき、豊岡市さんと相談しながら決めました。
ーー実際に呼ばれて、どんなお気持ちですか?
釜中:シンプルに嬉しいですね。
岡本:ツアーで行きたくても行けない場所はいっぱいあるので、そういう場所でライブができたり、若い人に見てもらえる機会をいただけたのは本当にありがたいですね。他の各地のイベントも呼んでもらえたら、僕はどんどんやりたいなと思ってます。
三原:フレデリックも1年を通してフェスやイベントに呼んでいただけることが多いんですけど、自分たちは「こういう人がこういう趣旨でやっていて、自分たちが出たことによって、お客さんや来てくれた人たちが変わるキッカケがあるかもしれない」と、ちゃんと意味を見出さないと出ないようにしていて。という点で言うと、今回は隆児の地元の近くだし、隆児もここで何かしらのキッカケで音楽を知って、大阪で自分たちに出会ってバンドを組んで、今は全国でライブをしているわけで。逆に自分たちが豊岡の人にそういうキッカケを作りに行ける機会なんじゃないかなと。それにこういう経緯があると、話せることやイベントに対する気持ちも変わっていくので、僕も嬉しい話やなと思いました。
ーーこれまで地方でライブをした時に、地元の方との交流を通して感じることはあったりされました?
釜中:今回みたいに地元をあげてイベントをしようという人に誘ってもらった時は、やっぱりみんな熱い気持ちがある人たちだなというのがすごく伝わるので、いつも良いイベントになる気がします。街ぐるみで芸術を盛り上げようとしてるのが素晴らしい。そういうプロジェクトがあること自体に熱い気持ちを感じます。僕たちの地元もそこまで栄えてはいないような場所だったんですけど、もし中学生の時にそういうプロジェクトがあったらすごく良かったなと思うから、羨ましいしアツいですよね。
岡本:ほんまに羨ましいですよね。僕も大阪の南の方にある和泉市の山奥に住んでたので、難波に出るのも遠いし。最寄駅は和泉中央駅なんですけど、自転車で40分かかるんです。だから中学生の時は難波に出るのも「そんな恐ろしいとこよう行かんわ」みたいな。怖いイメージもあったし大冒険でしたね。(堺市の)中百舌鳥でも大都会やと思ったから。
ーー宝塚出身の健司さんは、豊岡にどんなイメージがありますか?
三原:全然想像ついてないですね。宝塚も割と栄えてるといったらあれですけど、何かに不自由になるようなことはあまりなくて。遊び場もライブハウスもあるし、宝塚にないものでもすぐ梅田に行けるとか、そういう感じでした。だから豊岡はもうちょっと田舎というイメージですかね。
ーー豊岡から大阪へは電車で約2時間半〜3時間かかりますから、学生さんやなかなか外に出れない人にとっては、バンドが来てくれるのは大きなことですよね。隆児さんが学生の時に、このイベントがあったらどう感じたでしょう?
赤頭:嬉しかったと思います。当時地元にはライブハウスもリハーサルスタジオもなかったし、テレビで音楽を見ても身近には感じないし、親近感はあまり湧かない。僕が音楽の専門学校に行くと決めた時も、一緒の専門学校に行こうとしていた友達が「そんなとこ行ってどうするの」みたいな意見を言われていて。それで行くのをやめた友達もいたので、こういうイベントがあったらバンドとか音楽の仕事への親近感とか理解が深まっていたのかなと思いますね。
ーーチケット代が高校生以下3000円というのは、若い人に来てほしいというお気持ちが大きいんですよね。
赤頭:学生の時に触れたものは多分ずっと残るので、中高生に触れてほしい。
岡本:みんなバンドとか始めてくれたらいいね。
釜中:DENIMSも親子でライブに来る人がここ何年かで急に増えてきたので、親子や家族でも来ても楽しめるんじゃないかな。そういうライブをしたいなと思います。
藤原:当日は市役所の方と協力して、ライブ中は託児サービスと一時保育サービスを設けています。
釜中:めっちゃ良い!
赤頭:素晴らしいですね。
ーー例えば、お子さんと一緒に来たお父さんお母さんで、ずっと豊岡に住んでいてあまり普段はライブに行かれないような方は、もしかすると『TOYOOKA MUSIC DAY’24』が最初で最後のライブになる、ということもあるかもしれないですね。
赤頭:そうですよね、ありえると思う。
岡本:確かに。僕らはバンドやってるのでライブは日常的ですけど、普通は行ったことない人の方が多いかもしれない。僕だって親父に連れてってもらった記憶なんかないし、自分がバンドやってなかったら一生行かんかったかもしれない。よう考えたらハードルが高いですよね。なんか改めてハッとしました。
釜中:僕も音楽好きやったけど、中学生の時はライブに行くってあまり考えたことなかった。そっかー。うわー、絶対楽しんでもらおう。
ーーフレデリックは親子で来られるお客さんはいますか?
三原:めっちゃ多いですよ。東京でラジオやってるんですけど、40〜50代の方からのメッセージも多くて。お子さんにフレデリックを教えたとか、お子さんから教えてもらったパターンもあるし、なんなら3世代でライブ来てるという方も。今回は会場が市民会館というのが良いですよね。ライブハウスはちょっと怖いけどホールは行きやすいというので、ライブハウスとホールって違うんやと気付かされました。
釜中:確かになー。
赤頭:豊岡の人は市民会館にコンクールとかで行ったことがあるかもしれないから、来やすいかも。椅子もありますからね。
ーー隆児さんは市民会館に行かれたことはありますか?
赤頭:ないんです(笑)。でも新大阪からJRで1本ですもんね。あと今は高速も作ってるんですよね。
三原:めっちゃ詳しい(笑)。
豊岡から城崎温泉へは電車で10分。ライブと旅行がセットで楽しめる
ーー改めて、豊岡はどんな町ですか?
赤頭:豊岡はあのあたりで1番栄えてますよね。
藤原:人口が約7万6000人。兵庫県北部では1番の中心都市ですね。
赤頭:豊岡駅の周辺に「アイティ」と「コープ」というショッピングモールが2つもあるんですよ。デートするならあそこです。城崎マリンワールドもあります。
藤原:神鍋高原とかハチ北スキー場も有名ですね。
岡本:ハチ北覚えてる! 小学校の時に学校のスキー教室で行きましたね。
赤頭:出石そばも有名。食べました?
岡本:小学校の行事でそばは食べへんやろ(笑)。
赤頭:(笑)。
ーー城崎温泉もありますよね。豊岡から城崎までのアクセスはどれぐらいなんですか?
藤原:JRが通っていて、大体10分ぐらいです。
釜中:めっちゃ近いですね。
赤頭:「特急こうのとり」ですね。
ーーライブで遊びに来れば、城崎温泉にもすぐ行けると。きっとそれが一番良い遊び方ですね! ライブは土曜日ですし、大阪や京都に住んでる人にもライブに来ていただいて、ついでに城崎温泉にも行って宿泊して、旅行気分で楽しんでいただいたり。有名な松葉カニの解禁はまだですか?
藤原:松葉ガニは11月22日頃からですね。今は香住ガニが出ています。
ーー隆児さんが行ってほしい豊岡のスポットはありますか?
赤頭:今もあるかわからないですけど……高校生の頃はサッカー部やったんですけど、試合で豊岡によく行ってたんです。その時サッカー部の友達と「アイティ」の雑貨屋さんで、みんなでお揃いのミサンガを買いました。
釜中:かわいい(笑)。
赤頭:ちゃんと高校生らしいことしてます。その雑貨屋さんでぜひ……みんなで買いに行こう。
三原:いいけど(笑)。
釜中:近い?
藤原:市民会館から歩いて20分ぐらいです。
赤頭:ライブに来てくれる方は、駅のすぐ近くなので「アイティ」にも行きやすいですよね。
ーー聖地巡りもしてもらいましょう!
10年以上の旧知の仲。久しぶりの対バンが実現
ーー改めてなんですけど、フレデリックとDENIMSの関係性でいうと、デビュー前からずっとお付き合いがあるんですよね。
三原:そうです。
岡本:初めて会ったのは『Love sofa(大阪で24年続くライブイベント)』やったっけ?
釜中:心斎橋Conpassで対バンしたの覚えてる。
岡本:当時は今よりミドルな曲が多くて、ダークな感じやったね。
釜中:「峠の幽霊」とかね。フレデリックのインディーズ時代の楽曲で、このMVを作ってるのが、僕たちも昔から繋がりのある地元の友達の樽井(克哉/株式会社CapWorks CEO)で。対バンはその『Love sofa』以来やっけ?
三原:その後、うちの企画(『フレデリック presents UMIMOYASU Vol.8 うちゅうにむちゅうだしろくじちゅう』2014年4月5日@渋谷チェルシーホテル)に出てもらったんですよ。今もやってる『UMIMOYASU』という対バンイベント。
釜中:覚えてる!
岡本:ステッカー家にあるもん。
三原:マジですか。
赤頭:ミソッカスとThe Flickersも出てたよな。懐かしいな〜。
岡本:健司が「DENIMS呼びたい」と言ってくれたって聞いたよね。
三原:DENIMSの前身バンド・AWAYOKUBAのあんどう(Key)さんが、フレデリックのライブによう来てくれてて。それで繋がりはなんとなくあったんですけど、その時代から「かっけー人たちだな」と思ってたので、絶対バンドとして絡みたかったんです。だから自分たちの企画にちゃんと呼んで。
釜中:嬉しい。あとBBQせんかったっけ。僕が大阪芸大を卒業してから、なぜかその近くで1人暮らしを始めて。家の前に川があったから、関西のバンドの同世代とか友達呼んでBBQしようみたいな。空きっ腹に酒とか愛はズボーンとか、結構すごいメンツやった気がする。あれが10年前とかかな。楽しかった。
赤頭:上京して健司くんと康司くんと3人で住んでたんですけど、おかゆくんはその家にも1回遊びに来てくれて。スマブラしたよね。
岡本:スマブラした。康司に気持ち悪いホラー映画いっぱい見させられた記憶しかない(笑)。
赤頭:面白かった。武(高橋/Dr)くんもその時からサポートしてもらってたけど、武くんすら来たことない(笑)。
三原:壁が薄すぎて1年ぐらいで退去したんです。喋って笑ってたらクレーム来るみたいな家で。
岡本:あとは康司も僕も「トラウマ新年会」という関西ミュージシャンの旅行サークルみたいな変なグループに入ってて、この夏も一緒に虫採りに行ったり、博物館行ったりしました。
DENIMSとは、地元の友達に久しぶりに会ったような
グルーヴが生まれるんじゃないかな(三原)
ーーお互いのライブの印象はいかがですか?
釜中:最後にフレデリックを見たのは、もう5年以上前の『OTODAMA』か『RUSH BALL』。泉大津フェニックスの大きなステージで見たの覚えてる。すごく人気になったフレデリックを久々に見て、改めてめちゃくちゃ上手いなって。ミュージシャンがたくさん出てる中で抜群に音が良くて、「隆児くんギターうまあ!」って思った。
赤頭:ほんますか。やったー!
岡本:隆児のフレーズってめっちゃ音符多いけど、多分リズム感がむっちゃ良くて。だから邪魔にならへんのかなと、聴いてて思ったりした。
赤頭:嬉しい。
釜中:ギターソロかアドリブかわからへんけど、めっちゃブルージーなフレーズを弾いてて、それが結構意外やったというか。最近のフレデリックの4つ打ちの早い感じは、ニュー・ウェイヴみたいな解釈ができて。勝手やけど大人になってまた1個再解釈した感じ。
岡本:フレデリックの音楽は奇妙やし、どういうとこがルーツなんやろうと思ってたけど、クラフトワークのアー写かジャケットのパロディを見て「そういうことか」って俺も腑に落ちた。鋭角的な音でダンサブルで。
赤頭:解釈はあまり絞りたくないけど、僕もブルージーな音楽とかも聴いてきてて、テンポの早い音楽をやる時にどう昇華するかみたいなリファレンスにはなかなかしづらくて。今ブルージーなところを感じたと言ってくれたのは、本当に伝わってほしいところの一部でもあるので、気付いてもらえて嬉しい。DENIMSのライブは多幸感があるよね。ほんまに好きで、どの曲も楽しく聴ける。
三原:自分らは、何もないところから自分らで土台を作って今メジャーでやってて、色んなタイプのアーティストを見てきて。もちろん技術は当たり前に必要で、そこに行くまでの過程もスキルも確実に必要だし、たまには虚勢張ったりも大事だと思うんです。けど、結局1番大事なのは、ライブが終わった後に何が残るかで、それはツーマンとかになった時にめっちゃ顕著に出るんですよ。「誘ってくれてすげえ嬉しいけど、フレデリックだから出てほしいというよりかは、フレデリックという全国で活動するバンドとして出てほしいんだろうな」みたいなのもわかる瞬間があったりする。それがイベントの熱量なんですよね。本当に音楽が好きというよりかは、「仕事としてたくさんある中の1つとして見られてるな」と思うこともある中で、自分はそういう垣根を越えていくバンドがすごく好きだなと。つい先日、Wiennersとツーマンしたんですけど、マジで良すぎて。本当に好きで誘ってくれてるし、「オドループ」のカバーが完全に玉屋(2060%/Vo.Gt)節になってて、それも良い。自分たちの色を混ぜ合わせてアレンジするけど、リスペクトも込められてるから歌詞を全部覚えてるんですよ。音楽への想いや「ただ好き」という気持ちが先行してるからこそ、その空間はもうジャンル関係なしに、みんな好きになっちゃう。
岡本:お客さんもわかるよな。
三原:そうそう。Wiennersとフレデリック、音楽性で交わる部分ももちろんあるけど、うちはダイブする人もいないし。でも「玉屋さんが、Wiennersが好きと言ってるんだから」という空気の中でフレデリックを好きでいてくれる。そういうものを持っているバンドがすげえ良いんだろうなと。周りくどくなったけど、そういう想いに行き着いた時、DENIMSも同じものを持ってると思ってて。それが10年経ってより広がってるんだろうなというのが、僕は魅力やと思ってます。
釜中:嬉しい。
三原:最終的に持ち帰れるものって、隆児が言った多幸感。そこは1番自分たちも失いたくないし、そこを持ってるバンドとずっとやり続けるんだろうなと思うので、今回もめちゃくちゃ楽しみ。
赤頭:入りが多幸感で、その後「この人は何が好きなんやろう」みたいなので、ルーツの音楽に触れてもらっても嬉しいね。
三原:キッカケができるからいいよな。「楽しかったなー」で終わんない感じというか。
ーー10年越しでのDENIMSとの対バンは、どんな雰囲気になりそうですか?
三原:バンドによって対バンのタイプは変わってくると思いますけど、DENIMSとのグルーヴは、また違った形でこの日にできあがりそうな気もしますね。この2バンドにこれだけ関係性があることを知らなかった方も多いと思いますし、なんだかんだ地元の友達みたいな感じで、久しぶりに会ったら生まれるグルーヴがあるじゃないですか。そういうのができるんじゃないかなと思う。
釜中:うわー楽しみ。めっちゃ嬉しいし!
岡本:久々に会って、俺もっと緊張するかなと思ったら、全く緊張せずに「よっ」みたいな感じで喋れたし、この感じで当日もやれるといいよね。またみんなでも遊びたいな。ライブ終わってから虫採って。
赤頭:多分、虫いっぱいいますよ。
岡本:それも楽しみやなっていう話を康司とした(笑)。
「同じ地元の人が武道館でライブをするんや。
自分にもできるんじゃないかな」と思ってもらえたら嬉しい(赤頭)
ーー豊岡でエンタメやライブに興味はあるけど、行こうか迷ってるという人たちに、メッセージをお願いします。
三原:僕は冒頭で言った通り、イベントには意味を持って行くことを決めていて。その中で『TOYOOKA MUSIC DAY’24』では、色んなお話を聞いた上で、ちゃんと「次を作る」ことを大事にしようと思っています。来てくれた若い子たちが「自分も何かやってみよう」と思えたり、「地元から出て何かやってみよう」というキッカケを作ったり。親御さんだと「こんな熱量でやってる人たちがいるなら、自分の子どもにも勧めてみよう」とか、何か次を作るキッカケを作るために行くという目的があるので、そこはもう確約してもらって大丈夫。そのぐらいの気合いで行こうと思ってます。だから来てくださいですし、来たら絶対に次を作りますよという自信はあります。
ーー頼もしいですね。
三原:具体的に何かわからんけど、そのぐらいの熱量はあります。
釜中:ちょうど僕らも『RICORITA』というアルバムのツアーが終わって、MCで似たようなことを言ってたんです。音楽を作るのはすごく利己的に自分がやりたい創作活動をやるけど、届けるのは利他的に、他の人に向けてライブを楽しんでもらいたい。自分自身のために作った音楽の熱量が届いて、ライブを観た人がその熱量を持って帰った時に、音楽じゃなくても、絵を描きたいとか文章を書きたいとか、何か行動を起こしたいと思うようになったらいいなと思う。健司が言ったことと似てるけど、それはやっぱり、自分自身も音楽にそうさせてもらってたところが絶対にあるので。別に「明日好きな子に告白しよう」とかでもいい。行動や熱を持ち帰ってもらえたら嬉しいです。それができるように、僕らもライブ熱く頑張ります!
岡本:僕も駅まで40分の場所に住んでたから、似た境遇の人のキッカケになれればいいなというのは、一生涯言ってること。友達5〜6人とかで、帰りにショッピングモールでプリクラ撮ったりミサンガ買ったり、みんなの思い出作りとしても来てもらえたらいいなと思います。
赤頭:僕の地元の感覚で言うと「車で30分=近所」なので、豊岡から車で30分の朝来市出身の僕は豊岡の人達とも同じ地元の人だと思っています。フレデリックは来年、神戸ワールド記念ホールと日本武道館でワンマンライブをやるんですけど、自分がよく全く知らないバンドがテレビで「武道館やります」と言ってるのと、同じ地元の人が「武道館やります」と言うのでは、親近感とか現実味が違う気がして。僕たちが武道館でライブをすることで、「できるはずない」って決めつけてたようなことがあっても、「自分にもできるんじゃないか」と思うキッカケになればすごく嬉しいです。あとライブはステージに立つバンドの音楽だけじゃなくて、音響さんや照明さんとかたくさんのスタッフと一緒につくっているので、その様子を見て「自分も音楽に関わる仕事をやってみたいな」と思える人がちょっとでも増えたらいいな。当日、僕たちはそう思ってもらえるような信頼できるスタッフを連れて行くので、純粋にライブを楽しんで欲しいし、ライブを作る仕事に興味がある人はそういう見方でもライブに触れてもらえたらなと思います。
取材・文=久保田瑛理 撮影=河上 良