10周年祝い 思いを語る みどり「ひと・まち」スクール
地域に貢献したいと考えている人の発掘、育成を目的にした区民向け講座「みどり『ひと・まち』スクール」の10周年を記念したイベントが3月22日、緑区役所内で開催された。同スクールの受講生らを中心に76人が参加。講演会やトークセッションに聴き入ったほか、世代を越えた交流を深めていた。
2015年5月に初開講した「みどり『ひと・まち』スクール」。毎年、5カ月ほどの期間中に6〜8回の講座が開かれ、参加者はそれぞれ地域課題の解決や街の魅力づくりなどに向けて学び合いを重ねながら、自分が取り組みたい内容をまとめた「夢プラン」を作成する。区によると受講生数はこれまでに170人を超え、昨年11月、10期生が修了を迎えた。
気楽さが大切
10周年イベントでは、コーディネーターとして受講生を支えてきた一級建築士の山路清貴さんが「地域で学び仲間をつくる」と題して講演した。山路さんは、コロナ禍で抑うつの有病率が世界的に増加した中、地域でのラジオ体操はむしろ盛んに実施されていたことなどを紹介。「ラジオ体操は屋外で行い、休みたい時に休める。人とのつながりをつくるには、そういった気楽さが非常に大切」と伝えた。
経験を課題解決の力に
その後は1〜9期生のうち、「山下エコ生活を考える会」の上田クニ江会長ら5人が登場。自身が作成した夢プランを紹介したほか、山路さんとのトークセッションに臨んだ。このうちの一人で8期生の星樹里亜さんは、自身が児童養護施設で育った経験から「退所後の1人暮らしに掛かる費用を想定し、高校卒業までに100万円を目安にバイト代を稼がなければならなかった」など、実際に自身が体験した困りごとを例示。こうした課題の解決に向け、これまでに退所予定の人のために必要な家具・家電を集めて施設に届ける活動を実施したことなどを語り、注目を集めた。
来場した4期生の女性は「自分のできることを止めずに進んでいきたいという気持ちが強くなった」と語った。山路さんは「活動が10年も元気に続いてきたことを誇りに思う」と話していた。
区の担当者は「地域の協力を得て、10年間歩んで来られた。感謝です」と述べたほか「2025年度は、居場所づくりをテーマにした地域の担い手育成事業を進めていきたい」とした。