秦野市消防本部 救急現場にマイナ保険証 9月6日から実証実験
秦野市消防本部は、救急現場で搬送先医療機関を選定する際、救急隊が傷病者のマイナンバーカードを活用する実証事業を9月6日(金)から開始する。期間は2カ月で、市内の全救急隊6隊で実施される。
同事業は、総務省消防庁によるマイナ救急のシステム構築に向けたもの。マイナ保険証を活用して傷病者情報を正確かつ早期に把握することで、救急業務の迅速化・円滑化を図る。今年5月から順次、全国67の消防本部で進められている。
搬送先選定を円滑に
現状の救急活動における傷病者の情報聴取では名前、生年月日などの基本的事項から、傷病者の掛かり付け病院、服用薬、病歴など、詳細事項の聴き取りが必要。傷病者本人や関係者から主に口頭で行われているため、近くに関係者がいない場合、症状に苦しむ傷病者本人から聴取することになる。また、病名や掛かり付け医療機関が分からないと適切な医療機関の選定が困難となり、時間を要する場合があるという。傷病者のマイナンバーカードが活用できると、傷病者が救急隊員に説明する負担が軽減。救急隊員は正確な情報を取得し、搬送先医療機関の選定が円滑になる。
救急医療支援システムと併用
秦野市では救急活動におけるデジタル化の取り組みとして、2024年4月から傷病者情報の伝達を迅速・確実に行うために救急医療支援システムが導入されている。このシステムとマイナ救急を併用することで、傷病者、救急隊及び医療機関の有用性に関する相乗効果が期待できることから実証事業に応募したという。神奈川県内では5月から平塚市が開始。8月中に横須賀市、逗子市、葉山町、茅ヶ崎市、厚木市が実施し、秦野市は伊勢原市、川崎市とともに7番目の実施となる。
日頃からの携行を
市消防本部によると、市内のマイナンバーカード保有率は73・6%。(7月末時点)。担当者は「救急隊がマイナ保険証を活用することで、傷病者の負担軽減や医療機関選定に役立てることができる。万が一に備え、日頃から外出の際などにマイナンバーカードの携行をお願いします」と話す。
本格的な導入については、国の検証結果や動向を踏まえ、検討を図る予定だ。