静岡県内にも次々オープン カプセルトイの大型専門店 ブーム再来のターゲットは…
■バンダイ公式の専門店 焼津市や静岡市などにオープン
カプセルトイの大型専門店が静岡県内で次々にオープンしている。かつては「男の子のおもちゃ」という印象の強かったカプセルトイは今、大人をターゲットにし、中でも女性や外国人を意識しているという。
静岡市にある「トイズキャビン」 カプセルトイを求めて市外や県外から来る人も
カプセルトイのブーム再来は静岡県にも訪れている。中でも勢いを感じさせるのがバンダイ公式のガシャポン大型専門店「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」だ。
ガシャポンバンダイオフィシャルショップは9月13日、イオン焼津に入っている総合型書店「未来屋書店焼津店」の中にオープンした。6月に焼津市初のショップを「BOOKえみたす焼津店」に開店してから早くも市内2店舗目となる。7月には静岡市や裾野市でもオープンし、ハイペースで店舗が増えている。
ガシャポンバンダイオフィシャルショップの特徴は、圧倒的な台数とバラエティ豊かなラインナップにある。未来屋書店焼津店には300面のガシャポンが設置され、アニメのキャラクターや生物や商品を精巧に再現したミニチュアなどが並ぶ。
■「優越感に浸れる」 ブーム再来はSNSの影響
カプセルトイの大型店はマシンが100台以上並ぶのが一般的で、1000台を超える規模も珍しくない。1回の料金は、ひと昔前の100円から大幅に値上がりして300円~500円が多い。中には1回1000円以上のマシンもある。
1回500円、1000円となれば、子どもがお小遣いで購入するには少し高い。この価格設定は、大人をメインターゲットにしていることが背景にある。特に、女性や外国人への拡大を意識しているという。カプセルトイを販売する企業の経営者は、こう話す。
「ブーム再来となっているのはSNSの存在が大きいですね。1回500円は子どもにとっては高くても、大人にはお手頃です。コンプリートしたり、レアアイテムを手にしたりした時はSNSに投稿して、ちょっとした優越感に浸っている人が多い印象です。洋服やアクセサリーと比べれば、カプセルトイは安いですから」
この経営者は「収集癖があるのは男性だけではない」と指摘する。最近は20代から40代の女性客が増えており、その層をターゲットにしたキャラクター、「かわいい」や「キラキラ」をテーマにしたカプセルトイを積極的に展開している。
SNSを意識した事業展開には、外国人の存在もある。新型コロナウイルス感染拡大による規制が解除され、外国人観光客は回復した。円安も追い風となって、旅行先に日本が選ばれやすくなっている。
■増加する大型専門店 設置する側にもメリット
日本のアニメは海外でも人気で、日本を訪れた際にグッズを購入する観光客は多い。また、精巧につくられたカプセルトイ、さらにはカプセルを開けるまで中身が分からないワクワク感は海外では珍しい。外国人観光客によるSNS発信がカプセルトイの認知度を高めている。
カプセルトイの大型専門店が増えている背景には、店側のメリットも大きいという。前出の経営者が説明する。
「カプセルトイ専門店は人件費がほとんどかかりません。仕組みが単純なので外国人を含めて店員が説明する必要はありませんし、仕事は商品の補充や空になったカプセルの回収くらいですから。今後も大型専門店は増えていくと思います」
女性や外国人を中心に大人をターゲットにするカプセルトイ。100円玉を手にした子どもがハンドルを回す姿は過去の光景になりつつある。
(SHIZUOKA Life編集部)