未来に残そう!青い海 釜石海保 甲東こども園で教室 海洋環境の大切さ伝える
釜石海上保安部(尾野村研吾部長)は23日、釜石市野田町の甲東こども園(野田摩理子園長、園児88人)で海洋環境保全教室を開いた。海上保安庁が定める6月の「海洋環境保全推進月間」に合わせた取り組み。釜石海保の職員6人が訪れ、紙芝居や○×クイズなどで子どもたちに海を守る大切さを伝えた。
年中、年長児約60人が参加した。始めに、海上保安官の仕事を紹介。釜石海保の職員が「何(の仕事)をしていると思う?」と聞くと、園児は「海の安全、守ってくれる人ー!」と元気に答えた。海の治安を確保する業務に船、ヘリコプター、飛行機などを使っていることを説明したほか、「きれいな海を守ることも仕事の一つ」と改めて強調した。
紙芝居は、ウミガメがクラゲと間違えてビニール袋を食べて病気になってしまう物語。同庁の職員が製作したオリジナル作品で、タイトルは「うみがめマリンの大冒険」。海上保安官に助けられ、手術を受けて元気になったウミガメが無事に海に戻ると、園児たちは「よかったねー」と笑顔を見せた。
物語ではなく、実際の海で生き物たちが命に関わる被害を受けていることから、▽ごみはごみ箱に入れる▽ごみが落ちていたら拾うーといった行動をクイズ形式で解説。幼少期から海をきれいにしようとする気持ちが一番大事だとし、「未来に残そう 青い海」とのキーワードを記憶してもらった。
今回は、この春からプラスチックごみの分別収集を始めた釜石市とも連携。市生活環境課の職員2人がクイズを通じ、「ペットボトルはラベルをはがして、きれいに洗ってから捨てよう」「買い物に行くときはマイバッグを持っていこう」などとお願い。「ごみを減らしてきれいなまちにしよう」と呼びかけも加えた。
「はーい」と理解を示す子どもたちだったが、「なんで(ペットボトルを)あらわなきゃいけないの?」「どうして海にごみをすてちゃダメなの?」と気になったことを質問する場面も。紙芝居で聞いた物語のようなことになるかもと想像した平松杏理ちゃん(5)は「海にごみをすてない」とうなずいた。同庁のマスコットキャラクター「うみまる」が登場し、触れ合う時間も。杏理ちゃんは海上保安官の仕事を知って「船に乗るの、かっこいい」と憧れた。
この教室は、幼い時から海を大事にする意識を持ってもらうことを狙いにする。同園を含む市内2カ所のこども園で実施する予定。釜石海保警備救難課の池田隆課長は「海洋などに流出したプラスチックごみは細分化され、微小な粒、マイクロプラスチックとなるが、2050年には魚の数を超えると言われる。減らすためには子どもの頃から気持ちを育み、大人、年代に関わらず地道な活動が重要だ」との認識を示した。
このほか、釜石東中など海上保安協力校との海岸のごみ拾いや、海事関係者らを対象に海洋ごみ削減への協力などを呼びかける啓発活動も行うことにしている。