子孫繁栄の象徴として伝説に登場する「ザクロ(石榴・柘榴)」
ザクロの歴史と信仰の背景
ザクロはイランやパキスタンを原産とする小高木で、観賞用の「花ザクロ」と食用の「実ザクロ」があります。
品種も多く、果樹としての実ザクロは紀元前から古代ヨーロッパで栽培されてきた歴史があり、世界最古の果実の一つともいわれています。
種子の多さから、ヨーロッパでは子孫繁栄の象徴ともされ、結婚式や絵画などにも登場。
一方、日本には中国を経て伝わり、平安時代には文献にも記録が見られます。
釈迦(しゃか)に諭された鬼子母神の伝説にちなみ、安産や育児の信仰対象としても親しまれ、神前にザクロの実を供える風習が生まれました。
食べ方に見られる文化の違い
日本の在来種は、熟すと果皮が自然に割れ、果粒をそのまま口に含んで果汁を味わいます。
一方、欧米のザクロは果皮が割れにくいため、果実をもんで果粒をつぶし、ストローで果汁を飲むという習慣の違いがあります。
(樹木医Y・K)