小泉進次郎氏が自民党員を「がっかり」させた3つの原因とは?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、10月3日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。自民党総裁選挙における小泉進次郎氏の結果について解説した。
長野智子「小泉進次郎さんの話ということで、今回の総裁選についてはどうご覧になりましたか?」
常井健一「前回、公示日(9月12日)に『アップデート』にお邪魔したんです。そのときなんとなく『危ないですよ』という話をして、そのとおりになりました。1回目の投票で進次郎さんは敗退しましたが、国会議員票はトップ。地方の党員票が3位。結果として1位の高市さんと2位の石破さんにダブルスコアをつけられています。党員からの不人気は埋められませんでした」
長野「はい」
常井「実際、公示される前はいろんな世論調査で進次郎さんがトップでした。告示された最初の週末、一気に3番手、という世論調査がどんどん出てきた。そうなった分かれ目、公示3日目の9月14日に日本記者クラブで記者会見があったじゃないですか。集中砲火を浴びて、おかしな軽い発言、もっと悪くいうと支離滅裂な発言が目立って。あのときビックリしたんですが、小泉進次郎さんと話すとき新聞社の重鎮の方ってすごく甘いんですよ」
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「ああ~……」
常井「あの討論会を見たとき、新聞社の重鎮たちってこんなに厳しく追及してジャーナリズム精神を発揮すると思わなかった。私は小泉進次郎さんをずっと批判してきましたけど、もう批判する必要ないや、と思いながら見ていた」
長野「印象的なやりとりはありました?」
常井「トルドー首相と43歳で一緒だから外交は大丈夫です、みたいなことを言うけどトルドーさんは首相になったのが43歳で、いま全然違う。金正恩総書記とも同世代だからいい、父親同士が渡り合ったからいい……そんなに外交は単純じゃない」
鈴木「全然関係ない話ですね」
常井「党員票3位という結果は、100万人以上いる自民党の党員からすると、見たとき『これはダメだ』『話にならない』という狼狽が聞こえてきた感じがします。敗因、党員をがっかりさせた原因は3つあると思います。1つは取り巻きのブレーンたちが優秀すぎた」
鈴木「優秀すぎた?」
常井「官僚上がりの若手議員や政策通と呼ばれる人たちが集まってきた。でも優秀すぎるって裏を返せば、土の匂いがしない。上から目線、と見えるんです。自民党員ってどういう人かというと、地域で商店を営んだり、工場を経営したり、田畑を耕したり海へ漁に出たり、祭りになったら前に出て神輿をいちばん前で担いだり、というような人たち。上から目線をいちばん嫌うわけです」
長野「はい」
常井「選択的夫婦別姓、憲法改正、確かに大事だけど総裁選で掲げる一丁目一番地ってもっと目線を低くした日常生活の話をしてほしい、と。小泉進次郎さんはそういう目線をしっかり持っていて、サラブレッドなのに土の匂いがする、という不思議な人。今回の小泉陣営って、頭はいいけど庶民の暮らしや生活の機微に疎い人たちが集まって、本当は庶民派のイメージだった小泉進次郎さんを、スター気取りのインテリキャスターを演じさせてしまった、という感じなんです」
常井は小泉進次郎氏の敗因についてさらに続けた。2つ目が「菅義偉元首相の存在感を出しすぎたこと」、3つ目が「野田聖子さんを急に取り込んだこと」だという。