【夜泣き、ハイハイ、言葉の発達】育児相談で多い「子育ての悩み・心配」Q&A<専門家監修>
私たちが一人ひとり、体や物事の考え方が違うように、子育ても100人いれば100通り。子育てには「お子さんに何を与え、どう育てたいか」というママやパパの生き方が反映されます。
32年間、助産師として妊産婦や生後すぐからの子育ての支援や乳幼児の育児相談に応じ、45,000組の親子を支えたゴッドマザー川島智世さんとInstagram育児マンガで人気の「ぐっちゃんママ」ことchiikoの著書『はじめての赤ちゃん育児お助けQ&Aブック』(Gakken)から、細かいけど気になってしまう「赤ちゃん育児のギモン」を、いくつか抜粋してご紹介していきます。
【0か月】抱っこから下ろすと泣くのでずっと抱っこで何もできません
おくるみにくるみ、抱っこ布団にのせて授乳。そのまま寝かせてみましょう。
赤ちゃんはママやパパのぬくもりとにおいに包まれる抱っこが大好き。そのぬくもりとにおいを保ったまま、 寝かせることが対策の一つになります。
そこで、おすすめなのがママのにおいがついたおくるみやバスタオルで赤ちゃんをくるみ、 “抱っこ布団”の上に寝かせて抱っこすること。抱っこ布団とは、赤ちゃんを抱っこしたまま寝かしつけることができる小さな布団のことです。
授乳もそのスタイルで行うと、 ウトウトした赤ちゃんをそのまま寝かせることができます。
ひとことアドバイス
おくるみをゆるめにくるんでおくと、授乳後、そのままげっぷさせることができます。
げっぷが出たら再び、抱っこ布団に寝かせましょう。
【2か月】予防接種を受ける予定。 注意することはありますか?
赤ちゃんの体調がいいときに接種しましょう
予防接種を「病気にかからない。かかっても軽くすむ薬」と勘違いしているママやパパがいます。しかし、予防接種とは毒性を弱めたりなくしたりした病原体を投与して、免疫をつけるもの。
健康な状態であれば、効果的に作用しますが、免疫機能が低下しているタイミングで受けると、その病原体が弱った体に悪さを働いたり副反応が強く出たりすることがあります。
ですから、赤ちゃんの体調を何より優先。免疫力の高い状態で受けることを心がけてください。
ひとことアドバイス
予防接種を受けた後は、激しい運動などをひかえ、ゆったりと過ごしましょう。
【3か月】まだ首がぐらつきます。 縦抱きするのは早いでしょうか
首をしっかり支えれば 縦抱きしてもO Kです
肩と手で赤ちゃんの頭をしっかり支えれば 生後すぐから縦抱きが可能です。
首がすわれば、赤ちゃんは同じ抱っこの仕方で自分で頭を持ち上げられるようになります。
赤ちゃんの頭を肩にのせるように置き、手を後頭部にやさしく当てて、 首を支えます。胎児姿勢のように赤ちゃんの体を丸め、包み込むイメー ジで抱っこしましょう。
ひとことアドバイス
頭を支えるとき、手首はまっすぐに保ちましょう。 手首をねじると腱鞘炎を起こしやすくなります。
【4か月】あやしても笑ってくれません
笑う時期にも個人差があります
インターネットの情報や育児本に「3~ 4か月頃に笑うようになる」とあるため、不安になるママやパパは多いようです。
しかし、発達の個人差や個性があるため、この月齢になれば必ず笑うとはいいきれません。
ママやパパがネガティブな気持ちになれば、それが伝わり、赤ちゃんも不安になります。ですから、目の前の赤ちゃんだけを見つめてその成長を笑顔で見守り、親子で楽しみながら 次の方法を試してみましょう。
① スキンシップや親子あそびを行う
歌に合わせて手足やおなかなどをマッサージしたり、抱っこして上下にやさしく揺らしたりすると、その心地よさで赤ちゃんは笑顔に。子育て広場で親子あそびを一緒に実践したところ、 それまで笑ったことがなかった赤ちゃんが、はじめてキャッキャッと声を出して笑ったこともありました。
② 擬音語や擬態語を連呼する
赤ちゃんは「ワンワン」など音や声を表す擬音語や、「ビヨンビヨン」など物事の状態を表す擬態語の連呼が大好き。ある赤ちゃんは私が発したこれらの言葉がツボにはまり、ご両親が驚くほどゲラゲラ笑っていました。これまで赤ちゃんに大ウケしたものを紹介します。
●ひもを揺らしたり、引っ張り合ったりしながら「ビロビロビー、ビロビロブー」
●くすぐりながら「ドドドドドドドー」「ダダダダダダー」
●「いないいないばあ」の声かけをアレンジして「ベロベロブー」「ベロベロピー」
【8か月】夜泣きが始まりました。どう対処したらいい?
少しでも楽に乗りきれるように工夫を
夜泣きとは、夜間に赤ちゃんが突然、理由なく泣き始め、なかなか泣き止まないことをいいます。 夜泣きの原因は、残念ながら未解明で、こうすればいい、といった対処法もわかっていません。
ただ一ついえるのは、 いつかは必ず治まるということ。ですから、周囲の手も借りて、 少しでも楽に乗りきれるように工夫していきましょう。
<夜泣きを乗りきる工夫>
① 考え方を変える
夜泣きは期間限定のものと腹をくくって受け入れると、気持ちが楽になります。泣き始めたら「やってきました、夜泣きタイム」と心の中で実況中継。状況を客観視することで、つらいという感情に振り回されにくくなります。
② 夜泣き中の過ごし方を探す
好きな飲み物を飲みながら赤ちゃんをあやしたり、好きな音楽を聴きながら抱っこしたり、少しでも快適に過ごせる方法を探してみましょう。あやすのがつらくなったら、部屋で泣きじゃくるわが子を見守るだけでもOKです。
③ 周囲の手を借りる
パパと相談して、夜泣きの対応を当番制にするのも手。シングルママやパパの手が借りられない場合、自治体に相談して産後ケアを受けたり、民間の産後ケアホテルを利用したりすることも検討してみましょう。
【9か月】はいはいをしないのですが 見守っていて平気でしょうか?
はいはいしなくても発達に問題はありません
赤ちゃんの発達には個人差があり、はいはいをしないままつかまり立ちを始める赤ちゃんもいます。
ですから、心配しなくても大丈夫。はいはいにこだわらないでよいのです。
ソファの上り下りで 腕や体幹の筋肉を鍛えたり あそびの中で体の様々な部位の筋肉を刺激することもはいはいと同じ効果があります。
ソファに寄りかかっている赤ちゃんに声かけしてから、足裏をママやパパの手のひらにのせます。 そのままやさしく押し上げると、赤ちゃんは全身の筋肉を使って、ソファに上ります。
【11か月】食べ物を投げてあそびます
日中に物を投げるあそびを行いましょう
離乳食は食べる練習でもありますから、最初のうちはなかなかうまくできず、食べ物を落としたり投げたりするものです。
ただ投げたものをママやパパがすぐに拾うと、投げれば拾ってくれると赤ちゃんが学習して、それがあそびの一つとなってしまいます。なので、食事が終わってから、まとめて拾うようにしましょう。
また投げる行為には上半身の筋肉を鍛える効果があり、赤ちゃんは好んで行います。ですから、日中に物を投げるあそびをたくさんするといいでしょう。それで満足すると、自然に食事中に食べ物を投げなくなっていきます。
【1歳】指差しやバイバイなどの物まねをしません
まずは手あそび歌を親子で一緒に楽しみましょう
1 歳で指差しや物まねをしなくても、あまり心配する必要はありません。この頃の赤ちゃんは、手あそび歌や体を使ったあそびが大好きですから、指差しやまねっこにこだわらず、楽しみながら一緒にあそぶといいでしょう。
赤ちゃんは最初、ママやパパ の動きをじっと見ているだけかもしれませんが、やがてできることからまねて、自分なりに手や体を動 かしていきます。
指差しやバイバイも、まずは日常の場面でママやパパがくり返し行い、次にさりげなく赤ちゃんの手をとってやらせてみましょう。その後に「バイバイできたね」と笑顔でほめることも忘 れずに。
【1歳3か月】「ワンワン」「マンマ」などの言葉がまだなく心配です
聞こえと言葉の意味の 理解に問題がなければ大丈夫
言葉の発達は個人差が大きいため、1歳3か月ならまだまだ様子を見ていい時期。気になるようなら、次の二つを確かめてみましょう。
●いろいろな物音に反応しているか
耳が聞こえていなければ、言葉の発達は難しいので、音や声に反応するかを確認。
●言葉の意味を理解できているか
「〇〇ちょうだい」などと話しかけて、それを持ってきてくれるなら言葉を理解できています。
この二つに問題がないなら、安心して大丈夫。
ひとことアドバイス
2歳になっても言葉が出ないときは、発達外来などを受診するといいでしょう。
【1歳6か月】母乳をそろそろやめたいけど子どもが飲みたがります
計画的卒乳に取り組んでみましょう
歩けるようになった子の場合、栄養バランスのいい食事を1日3食しっかり食べているなら、卒乳しても大丈夫。ここでは段階的に授乳回数を減らして卒乳する計画的卒乳の方法を紹介します。
① おっぱいが張ったら授乳する
卒乳を決心したら、子どもに求められるまま授乳するのではなく、おっぱいが張ってつらくなったら、少量を吸ってもらう授乳方法に変更します。「子どもの唇=搾乳器」と考えると、ママの気持ちが切り替えやすくなります。
② 段階的に授乳回数を減らす
徐々に授乳回数を減らしていき、最終的に授乳しない日が出てきたところで、思いきって母乳育児にピリオドを打ちます。この方法なら母乳の分泌量が自然に減るので、乳腺炎などのトラブルを防ぐことができます。
1日8回授乳していた場合の例
8回→7回→8回→7回→6回→7回→6回→5回~(中略)~1回 →0回→1回→0回→0回。
0回の日が増えてきたので卒乳!
③ おっぱい以外のものに子どもの気持ちをそらす
おっぱいを求めてきたら、「たかいたかい」など体を使ったあそびをしたり、おもちゃあそびに誘ったり、おやつを食べさせたりして、子どもの関心をおっぱいからそらしましょう。2人きりで過ごすと、子どもがおっぱいに執着するので、公園や広場に出かけるのがおすすめです。
【1歳11か月】思い通りにならないとひっくり返ってギャン泣きします
叱るのは逆効果。おだやかに子どもを教え導くことを心がけてみましょう
イヤイヤ期といわれる時期によく見られる行動。本人はそのときの自分の感情を表現しているだけなので、それを叱られたり否定されたりすると逆ギレして、泣き叫んだりひっくり返って暴れたりします。
このとき、子どもはパニック状態ですから「静かにしなさい」などと叱りつけるのは逆効果。
まず気持ちを落ち着かせることが肝心なので、スーパーなど、まわりに人がいるときは誰もいない場所に連れていって泣きたいだけ泣かせるのもよいでしょう。
ギュッと抱きしめて、耳元でささやくように「静かに」「落ち着いて」とくり返し、どんなに泣いても自分の思いどおりにならないことを言い聞かせます。子どもは徐々に落ち着きを取り戻し、泣きやむはずです。
【2歳】人見知りが直らない。ずっとこのまま?
警戒心の強さは長所にもなります。温かい目で見守って
人見知りの子は、「警戒心が強い」「慎重」「自分を守ろうとする自己防衛感情が強い」といった特徴があります。
ママやパパは心配になるかもしれませんが、短所と長所は紙一重。子どもによっては自分の関心の向くままに行動し迷子になることがありますが、このタイプの子にその心配はありません。
今後の人生においても、警戒心の強さが功を奏して危険を避けることができるはず。ですからその子ならではの気質として、温かい目で見守りましょう。
また新しい人や場所への警戒心が強くとも、繰り返し同じ経験を積むことでその警戒心は徐々にゆるんでいくはず。様子を見ながら、様々な経験をさせてあげましょう。
自分らしく笑顔で過ごせる方法を探していくことが一番、大切
現代は、楽しく子育てができるように、育児グッズが日々改良され、販売されている時代。手軽にスマホで育児情報を手にできる時代です。
そんな時代の中、数多ある育児情報に振り回されず、自分たちの生活スタイルに合った子育て術や情報を選択して上手に育児をされているママやパパもいれば、何一つ問題のない育児をされて健やかにお子さんが成長しているのに、自信がもてないママやパパもいらっしゃいます。
育児雑誌やインターネットで発信される、赤ちゃんの成長や発達、疾患についての情報で不安になったり、赤ちゃんの発達や成長、育児の仕方を周囲と比較して悩んだりして、相談に来られる方は少なくないのです。
子育ては生き方そのものですから、自分らしく笑顔で過ごせる方法を探していくことが一番、大切です。
自分とお子さんに合った方法や情報を選んで、自分が目指すオリジナルの子育てを手探りでつくり上げていく。現代はそんな時代です。そのヒントとして、本書のアイデアを活用していただければ、と願っております。
※記事でご紹介した内容は『はじめての赤ちゃん育児お助けQ&Aブックこんなときどうする!?』(Gakken)から、抜粋・再編集しています。